問65 2016年1月応用

問65 問題文と解答・解説

問65 問題文

X社株式の評価や種類株式等に関する以下の文章T〜Vの下線部(1)〜(3)のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。

T 「類似業種比準価額については、配当を比準要素の1つとしているため、配当を低く抑えることで当該価額を引き下げることができる。また、X社が、(1)経常的な配当に代えて記念配当や特別配当などの非経常的な配当とした場合にも、類似業種比準価額を引き下げる効果が期待できる
純資産価額については、課税時期においてX社が有する資産を相続税評価額により評価して算出するため、相続税評価額が時価よりも低い資産を購入することにより引き下げる効果が期待できる。ただし、(2)純資産価額の計算上、課税時期前3年以内に取得等した土地や建物については、原則として通常の取引価額で評価することになる
また、仮に、Aさんが死亡して相続が開始した場合、死亡退職金をAさんの遺族に支給することで、X社の利益および純資産の額が引き下がり、(3)相続税の課税価格に算入する際のX社株式の類似業種比準価額および純資産価額のいずれも引き下げることができる

U 「無議決権株式や拒否権付株式などの種類株式の活用は、円滑な事業承継を進めるための有効な手段の1つとなり得る。種類株式を発行するためには、原則として、(1)種類株式の内容や発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない
なお、無議決権株式を同族株主が相続または遺贈により取得した場合には、原則として、議決権の有無を考慮せずに評価するが、一定の条件を満たした場合には、(2)その原則的評価方式による評価額の10%を減額し、減額した金額を当該相続または遺贈により同族株主が取得した議決権のある株式の価額に加算することを選択することができることとされている。また、拒否権付株式については、拒否権を考慮せず、(3)普通株式と同様に評価する

V 「Aさんが二男Dさんに子育て資金を贈与し、二男Dさんが『直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税』(以下、『本特例』という)の適用を初めて受けた場合、受贈した子育て資金は、(1)1,000万円を限度として、その年分の贈与税の課税価格に算入されない。
本特例の対象となる育児に要する費用には、幼稚園、保育所等を設置する者に支払う受贈者の子に係る保育料その他の費用で一定のもののほか、(2)受贈者の小学校就学前の子の医療のために要する費用で一定のものも含まれる。
なお、本特例の適用を受けた二男Dさんが50歳に達した日において、本特例の適用を受けた受贈財産から結婚・子育て資金に充当した金額を控除した残額は贈与税の課税対象となるが、二男Dさんが50歳になるまでにAさんが死亡した場合、(3)その死亡時点における当該残額は贈与税や相続税の課税対象とならない

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問65 解答・解説

非上場株式の相続税評価、種類株式、結婚・子育て資金の非課税特例に関する問題です。

T
(1)は、適切。記念配当や特別配当は、類似業種比準価額の比準要素の計算に含まれないため、配当により会社の純資産が減少しても、比準要素の配当金額は変わりません。よって、記念配当や特別配当の実施・増額は、評価額を引き下げる効果があります。

(2)は、適切。純資産価額を計算する場合、課税時期開始前3年以内に取得・新築した土地等家屋等は、課税時期における通常の取引価額相当額で評価します(通常は路線価や固定資産税評価額で評価)。

(3)は、不適切。死亡退職金を支給した場合、会社の純資産が減少しますから、純資産価額の引き下げ効果がありますが、類似業種比準価額の比準要素である直前期の利益額には影響しないため、類似業種比準価額への引き下げ効果はありません(生前退職金の場合は、類似業種比準・純資産価額のいずれも引き下げ効果あり)。

U
(1)は、適切。無議決権株式や拒否権付株式等の種類株式を発行するには、種類株式の内容や発行可能数を定款に定め、登記することが必要です。

(2)は、不適切。議決権の無い株式を、同族株主が相続や遺贈で取得した場合は、評価額の5%を減額し、減額分を相続や遺贈で取得した議決権のある株式の評価額に加算できます。

(3)は、適切。拒否権付株式とは、株主総会や取締役会での決議が必要な事項について、定款で種類株主総会での決議も必要と定めた場合の株式で、種類株主に特定の事項に関して拒否権を与えることになるものです。会社防衛の切り札ともいえるため、「黄金株」ともいわれますが、相続税での評価上は普通株式と同様に評価します。

V
(1)は、適切。結婚・子育ての非課税特例の限度額は、受贈者1人につき1,000万円で、そのうち結婚資金の場合は300万円が限度となります。

(2)は、適切。結婚・子育ての非課税特例は、結婚資金(挙式・婚礼費用、新居・転居費用等)、妊娠・出産資金(不妊治療・妊婦検診費用、分娩費用・産後ケア費用等)、子育て資金(未就学児の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)等)が適用対象です。

(3)は、不適切。結婚・子育ての非課税特例では、受贈者が50歳になって資金管理契約の終了日時点で結婚・子育て資金に充当していない残高がある場合には、その年の贈与とみなされ、残額が贈与税の課税対象とされます。

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