問56 2021年5月応用
問56 問題文
Mさんは、Aさんに対して、株式取引や上場株式の配当の課税上の取扱いについて説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)〜(8)に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。
〈株式取引〉
I 「 国内の証券取引所に上場している内国株式を普通取引により売買する場合、その売買単位は( 1 )株単位です。その注文方法には( 2 )注文や指値注文があり、前者は希望する売買価格を明示せず、希望する銘柄、売り買いの別および数量を指定して注文する方法です。
なお、売買立会による売買は、競争売買により行われ、( 3 )優先の原則と時間優先の原則に従って取引が成立します」
〈上場株式の配当の課税上の取扱い〉
II 「 Aさんが特定口座でX社株式を購入し、配当を受け取る場合、原則として、その支払の際に、( 4 )%の税率による所得税(復興特別所得税を含む)と、( 5 )%の税率による住民税が源泉(特別)徴収されます。その配当所得については、確定申告不要制度、申告分離課税、総合課税のいずれかを選択することになり、総合課税の対象とした配当所得については、一定のものを除き、配当控除の適用を受けることができます。
例えば、配当所得の金額が10万円で課税総所得金額等が1,000万円以下である場合、配当控除の控除額は所得税で( 6 )円、住民税で( 7 )円となり、その金額を納付すべき税額の計算上控除することができます。
なお、上場株式の配当を受ける権利を得るためには、その配当に係る権利確定日までに株主になる必要があり、そのためには権利確定日の( 8 )営業日前である権利付最終日までに当該株式を購入する必要があります」
問56 解答・解説
株式取引・配当所得に関する問題です。
〈株式取引〉
I 日本国内の証券取引所の上場株式の売買単位は、100株単位です(以前は8種類の売買単位が存在していましたが、2018年10月1日より統一されました)。
証券取引所での株式売買方法では、買値・売値を指定しない成行注文と、買値・売値を指定する指値注文がありますが、指値注文よりも成行注文が優先されます。
成行注文は、言うなれば相手の言い値で取引しますよ、という注文ですから、値段を指定する指値注文よりも優先されるわけです。
また、同一銘柄の株式に異なる値段で指値注文が出されると、買い注文なら高い価格から、売り注文なら安い価格から優先され(価格優先の法則)、同じ値段で指値注文が出されると、より先に出された注文が優先して取引が成立します(時間優先の法則)。
〈上場株式の配当の課税上の取扱い〉
II 上場株式の配当金は、所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%の合わせて20.315%が源泉徴収(特別徴収)されます。
また、上場株式の配当金は、総合課税を選択すると、確定申告時に一定額を配当控除として税額控除を受けることができます。
<課税総所得金額等が1,000万円以下の場合 >
所得税の配当控除額=配当所得額×10%
住民税の配当控除額=配当所得額×2.8%
<課税総所得金額等が1,000万円超の場合>
所得税の配当控除額=(1,000万円超部分に含まれる配当所得額)×5%+その他の配当所得×10%
住民税の配当控除額=(1,000万円超部分に含まれる配当所得額)×1.4%+その他の配当所得×2.8%
本問の場合、課税総所得金額等が1,000万円以下、配当所得10万円ですから、
所得税の配当控除額=10万円×10%=1万円、
住民税の配当控除額=10万円×2.8%=2,800円 となります。
なお、株式を保有すると、配当金や株主優待を受ける権利がありますが、株式取引において約定日から実際の決済日までの期間は、約定日を含めて3営業日です(約定日から2営業日後に決済)ので、配当や株主優待の権利を得るためには、権利確定日の2営業日前(権利付き最終日)に約定している必要があります。
以上により正解は、(1)100(株) (2)成行(注文) (3)価格(優先) (4)15.315(%)
(5)5(%) (6)10,000(円) (7)2,800(円) (8)2(営業日前)
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