問53 2023年5月応用

問53 問題文と解答・解説

問53 問題文

Aさんが、X社を定年退職し、再就職せずに2023年12月に公的年金の老齢給付の繰上げ支給を請求した場合、繰上げ請求時におけるAさんの老齢給付について、次の【1】および【2】に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、年金額の端数処理は、円未満を四捨五入すること。
なお、計算にあたっては、下記の〈条件〉に基づき、年金額は、2022年度価額に基づいて計算するものとする。

【1】 繰上げ支給の老齢基礎年金の年金額はいくらか。
【2】 繰上げ支給の老齢厚生年金の年金額(本来水準による価額)はいくらか。

〈条件〉
(1) 厚生年金保険の被保険者期間
・総報酬制導入前の被保険者期間 : 204月
・総報酬制導入後の被保険者期間 : 248月

(2) 平均標準報酬月額および平均標準報酬額
(2023年12月時点、2022年度再評価率による額)
・総報酬制導入前の平均標準報酬月額 : 36万円
・総報酬制導入後の平均標準報酬額  : 58万円

(3) 報酬比例部分の給付乗率
・総報酬制導入前の乗率 : 1,000分の7.125
・総報酬制導入後の乗率 : 1,000分の5.481

(4) 経過的加算額
1,621円×被保険者期間の月数−□□□円×{1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間の月数/480}
※「□□□」は、問題の性質上、伏せてある。

(5) 加給年金額
388,900円(要件を満たしている場合のみ加算すること)

ページトップへ戻る

問53 解答・解説

繰上げ支給の老齢基礎年金・老齢厚生年金の支給額に関する問題です。

老齢基礎年金額の計算式は、以下の通りです。
老齢基礎年金=満額の基礎年金×(納付済月数+免除分調整月数)/(加入可能年数×12)

まず、2022年度の満額の基礎年金額は、777,800円。
Aさんには免除期間がなく、納付済月数は国民年金と厚生年金の被保険者期間の合計として、29月+204月+248月=481月ですが、老齢基礎年金は、20歳〜60歳までの40年間(480ヶ月)が加入可能年数の上限となります(昭和16年4月2日以降に生まれた場合)。

以上により、
Aさんの老齢基礎年金=777,800円×480月/(40年×12)
          =777,800円

ここで、老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰上げ受給する場合、2022年4月以降は一ヶ月につき0.4%減額され、減額された年金額で生涯支給されます(2022年3月までは0.5%減額)。
Aさんは1963年11月25日生まれですので、2023年12月の繰上げ申請時点では60歳1ヶ月→65歳になる月の前月までの月数59ヶ月となります。
よって、繰上げ減算額=777,800円×0.4%×59ヶ月=183,560.8円 →183,561 円(円未満四捨五入) となり、この分だけ年金が減額されます。

繰上げ支給の老齢基礎年金額=777,800円−183,561円
             =594,239円

従って、(1)老齢基礎年金の年金額は、594,239円

次に、老齢厚生年金額の報酬比例部分の計算式は以下の通りです。
報酬比例部分=(平均標準報酬月額×乗率×総報酬制導入前までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×乗率×総報酬制導入後の被保険者期間の月数)

また、問題文では「本来水準による価額」を回答するように指示されていますので、「新乗率」を使って計算します。
※実際の年金計算では、新乗率(本来水準額)と旧乗率(従前額保障)それぞれで計算し、高い方が支給額となります。

問題にあるように、Aさんの総報酬制導入前までの平均標準報酬月額36万円・被保険者月数204月で、総報酬制導入後の平均標準報酬額58万円・被保険者月数248月です。
=360,000円×7.125/1000×204月+580,000円×5.481/1000×248月
=523,260円+788,387.04円
=1,311,647.04円 ⇒ 1,311,647円(円未満四捨五入)

次に経過的加算額ですが、これは定額部分の年金額と老齢基礎年金の差額です。
定額部分の年金は、生まれた年によって、被保険者期間の月数の上限が異なりますが、1946年(昭和21年)4月2日以後生まれの場合には上限480月として計算されます。
Aさんの被保険者期間は、204月+248月=452月<480月ですので、452月として計算されます。

また、経過的加算額の算出において、基礎年金相当部分は「1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金の被保険者期間」ですから、Aさんの厚生年金の被保険者期間452月のうち、60歳以降の1月分は除かれます。
よって計算式は
=1,621円×452月−777,800円×(452月−1月)/(40年×12)
=1,884.083…円 → 1,884円(円未満四捨五入)

ここで、老齢厚生年金の繰上げ受給をする場合、本来支給の老齢厚生年金と経過的加算額を加算し、繰上げ減算額を差し引いた額となります。
繰上げ支給の老齢厚生年金額=報酬比例部分+経過的加算−繰上げ減算額
よって、繰上げ減算額=(1,311,647.04円+1,884.083…円)×0.4%×59ヶ月
          =309,993.3… →309,993円(円未満四捨五入)

従って、繰上げ支給の老齢厚生年金額=1,311,647円+1,884円−309,993円
                 =1,003,538円

最後に配偶者の加給年金は、厚生年金の被保険者期間が20年以上で、65歳未満の配偶者がいる場合には、老齢厚生年金に加給年金が加算されます。
支給条件は、上記に加えて、配偶者と生計維持関係にあること(配偶者の年収850万円以下)、配偶者が厚生年金の被保険者期間20年以上の老齢厚生年金等を受給していないこと、もあります。
Aさんの厚生年金の被保険者期間は452月(37年8ヶ月)ですが、加給年金は繰上げ受給できないため、定年退職時点では加給年金の支給対象外です(65歳時点で要件を満たしていれば支給対象となる)。

よって、Aさんが受け取る老齢厚生年金額は、1,003,538円 です。

以上により正解は、(1)594,239(円) (2)1,003,538(円)

問52          第2問

  ●無料アプリ版公開中。
  ●学科も実技も完全無料!

  

  ●広告無しの有料版。
  ●広告無しで集中学習!

  

ページトップへ戻る

関連・類似の過去問

この問題と似ている問題を検索してみよう!「検索」ボタンをクリック!

Yahoo! JAPAN

  • このサイト内を検索
ページトップへ戻る

FP対策講座

<FP対策通信講座>

●LECのFP講座(キーワード検索欄で「1級」と検索) ⇒ FP(ファイナンシャル・プランナー)サイトはこちら

●1級FP技能士(学科試験対策)のWEB講座 ⇒ 1級FP技能士資格対策講座(資格対策ドットコム)

●通勤中に音声学習するなら ⇒ FP 通勤講座

●社労士・宅建・中小企業診断士等も受けるなら ⇒ 月額定額サービス【ウケホーダイ】

ページトップへ戻る

Sponsored Link

実施サービス

Sponsored Link

メインメニュー

Sponsored Link

サイト内検索

Sponsored Link

Copyright(C) 1級FP過去問解説 All Rights Reserved.