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2010年6月13日実技part2

2010年6月13日実技part2

part2 問題文

●設 例●
 大都市近郊のX市に住むAさん(55歳)は8年前、父の死亡と同時に中堅企業を早期退職し、父より相続した既成市街地等内のバイパス沿い小規模メッキ工場(土地650u、建物は昭和60年築の木造平屋建100u)を改修してラーメン店を開業した。当初は目新しさと駐車場の広さで盛況を極めたが、この数年は競合店の増加とともに業績は低迷し、Aさんは今後の経営に不安を抱いている。
 そんな折、隣地の自動車ディーラーから「店舗増築に伴い駐車スペースを増やしたいので、Aさん所有不動産を、総額1億1,000万円、土地実測売買の現況引渡しで至急購入したい」との話が入りこんだ。Aさんはこの申し出を受諾し、今後は不動産賃貸業を中心に生計を立てたいと思っている。元メッキ工場だった事をディーラー担当者に話したところ、一瞬驚いた表情を見せたが、「大きな問題にはならないでしょう」とのことであった。
 これを受けAさんは早速、近くの不動産流通業者に依頼して収益不動産探しを始めたが、そのなかで次の2物件に興味を持った。

物件T  JR駅徒歩5分の鉄筋コンクリート造り3階建て一棟ワンルームマンション。
      全9戸で価格は1億円。満室時想定グロス利回り(単純利回り)8%。竣工予定来年3月。
      周辺には工場団地があり賃借需要は比較的強い。売主は地元有力不動産業者、施工は
      中堅ゼネコン。

物件U  自宅より徒歩5分、築3年の高層マンション20階の2室で計1億円。現在賃貸中でありグロ
      ス利回り8%。ただし、1戸は1カ月後に借主が退出することになっている。同地域初の高層
       マンションで眺望もよく、現状では売買・賃貸ともに市場性が高い。近々結婚する長男に、
      空室に住んでもらってもよいと考えている。売主は大手不動産会社、施工は大手ゼネコン。

Aさんは不動産のことについてよくわからないため、どう進めたらよいかをファイナンシャル・プランナーに相談することにした。なお、Aさんの手持資金は潤沢ではなく、借金はしたくない。
 また、Aさんの家族は、妻(53歳・専業主婦)と長男(28歳・サラリーマン)である。

〈Aさんの相談事項〉
1.譲渡所得税の支払は最小限に抑えたいが、税法上の特例を使えるか。
2.物件Tの竣工・引渡しが来年3月だが支障はないか。
3.特例を使った場合の問題点は何か。
4.特例の使用を前提とした場合、取得物件としてはTとUのどちらがよいか。
5.物件Tは戸数も多く賃貸管理に不安がある。外部に任せる場合、どのような手法があるか。 

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part2 ポイント解説

●顧客の抱える問題と解決策
1. 譲渡所得税対策としての税法上の特例適用可否
  問題
 顧客はラーメン店(元メッキ工場)の敷地を譲渡し、新たに収益不動産を購入しようとしているため、「特定の事業用資産の買換えの特例」を適用できる可能性がある。
 特例が適用された場合、譲渡収入の80%について課税を繰り延べられるが、適用要件の1つとして、譲渡する不動産は所有期間が10年超である必要がある。
  対策
 Aさんは相続でメッキ工場を取得しており、取得日は引き継がれる。所有期間10年超であれば、「特定の事業用資産の買換え特例」が適用されるため、父親がメッキ工場を取得した日を確認する必要がある。
 不明な場合には、法務局で登記簿を確認する。

2. 物件Tの竣工・引渡しが来年3月である点
  問題
 「特定の事業用資産の買換え特例」では、買換え資産は原則として譲渡資産を譲渡した年の前年から翌年までの3年間のうちに取得する必要がある。
  対策
 買換え資産がこれから建築する建物の場合、特例を受ける上で「取得日」とされるのは、「竣工・引渡し」の日
 従って、Aさんがすぐにディーラーに譲渡資産(ラーメン店)を譲渡するのであれば、物件Tの取得日は特例の適用条件に合致するため、問題ない。

3. 特例を使った場合の問題点
  問題
 「特定の事業用資産の買換え特例」では、不動産賃貸業等の場合、その事業が事業的規模に至っているかで適用可否が分かれる。
  (1) 5棟10室基準を満たす  ⇒ 事業用 → 適用可
  (2) 5棟10室基準を満たさず ⇒ 相当の対価を得て継続貸付 → 適用可
  (3) 5棟10室基準を満たさず ⇒ 相当の対価無しor 継続貸付無し → 適用不可
  対策
 物件T、Uともに5棟10室基準を満たしていないが、物件Tは相当の対価(家賃)を得て継続的に貸し付けることとなるため、特例適用可となる。しかし物件Uでは1戸は空き室予定で、長男に対して相当の対価を得ずに貸し付ける場合、特例の適用を受けられない可能性がある。

4. 特例適用を前提とした場合、TとUのどちらが良いか
  問題
 3.に記載の通り、物件Uでは特例適用を受けられない可能性があり、また2室のうち1室が空き室予定のため想定より利回りが下回る可能性がある。
  対策
 特例適用を前提とするならば、物件Tの方が良い。

5. 戸数も多く賃貸管理に不安がある物件Tについて、外部に任せる場合の手法
  概要
 不動産管理を外部に任せる場合、以下の手法が挙げられる。
  (1) 管理委託方式 :管理会社に不動産の管理を委託する方法。
  (2) サブリース方式:管理会社に不動産を一括して貸し付ける方法。
  詳細
 管理委託方式の場合、入居者と所有者が賃貸借契約を締結し、物件の管理業務については所有者と管理会社が管理委託契約を締結する。入居者は所有者に家賃を支払い、所有者は管理会社に管理料を支払う
 サブリース方式の場合、所有者と管理会社が一括借上げ契約を締結し、管理会社と入居者が賃貸借契約を締結する。入居者は管理会社に家賃を支払い、管理会社は所有者に空き室分も含めた一定の保証金を支払う

●FPと関連法規
 相続・遺産分割等に関わる具体的な法律問題に関しては、弁護士を紹介し、具体的な税金の質問等に関しては、税理士を紹介すべきです。
 また、媒介や契約代理等の宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、不動産業者を紹介すべきです。
 本問では、顧客は不動産賃貸業を目指しており、物件取得後の賃貸契約の媒介・代理については宅地建物取引業法に抵触するため、不動産業者の協力を仰ぐべきと考えます。
 また、物件取得前後の具体的な税務相談については税理士を、妻や長男への遺産相続・分割に関する具体的な法律問題については弁護士を紹介するべきと考えます。

  6月13日part1                
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