問20 2011年9月実技(資産設計)
問20 問題文
明さんが勤める会社には、定年後の再雇用制度がある。明さんは、FPの氏家さんに、下記<資料>に基づき、再雇用後の賃金、在職老齢年金、雇用保険の高年齢雇用継続給付金を合わせた62歳以降の収入の試算を依頼した。氏家さんが試算した収入月額に関する下表の空欄(ア)〜(ウ)にあてはまる金額の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、問題作成の都合上、一部空欄(****)にしてある。
<明さんの62歳以降の収入月額>
賃金月額(標準報酬月額):25万円(26万円)
高年齢雇用継続給付金の支給額:( ア )
在職老齢年金
年金額(基本月額):10万円
報酬による支給停止額:( イ )
高年齢雇用継続給付を受けたことによる支給停止額:( ウ )
支給停止後の支給額:(****)円
収入月額:25万円+( ア )+(****)円
<資料>
[明さんの年金額など]
・ 62歳からの年金月額 :10万円(この額は在職老齢年金の基本月額に当たる)
・ 60歳到達時の賃金月額:43万円
・
60歳以降の賃金月額 :25万円(標準報酬月額は26万円、60歳以降は賞与なし)
1.(ア)37,500円 (イ)35,000円 (ウ)15,600円
2.(ア)37,500円 (イ)40,000円 (ウ)15,600円
3.(ア)39,000円 (イ)40,000円 (ウ)15,000円
4.(ア)39,000円 (イ)35,000円 (ウ)15,000円
問20 解答・解説
再雇用・在職老齢年金・高年齢雇用継続給付金に関する問題です。
雇用保険の高年齢雇用継続給付は、60歳到達時等の時点に比べて賃金が75%未満に低下した、60歳以上65歳未満の一般被保険者の方に支給されます(高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の2種類)。
支給額は、現在の賃金が60歳時の61%未満の場合は、現在の賃金の15%、61〜75%の場合は低下率に応じて15%以下の額です。
明さんの60歳到達時の賃金月額は43万円で、60歳以降の賃金月額は25万円ですから、
25万円/43万円×100%≒58%
よって、高年齢雇用継続給付の支給額(ア)は、25万円×15%=37,500円
また、年金支給開始年齢に到達した後も、厚生年金の被保険者として勤務する場合には、60歳台前半の「在職老齢年金」の仕組みが適用されます。
これにより、賃金(賞与を含む)の額に応じて、年金の一部または全部が支給停止となる場合があり、支給停止となる基準額は、基本月額(月額換算の年金)と総報酬月額相当額(月額換算の賃金)により決定されます。
明さんの60歳以降の標準報酬月額は26万円で、年金月額(基本月額)は10万円ですから、「総報酬月額相当額+基本月額」は36万円となり、28万円を超えるため、年金の一部が支給停止となります。
※総報酬月額相当額=標準報酬月額+賞与/12
資料より、明さんに適用される支給停止額は、「(総報酬月額相当額+基本月額−28万円)×1/2」です。
従って、支給停止額(イ)=(26万円+10万円−28万円)×1/2=4万円
次に、年金をもらいながら働き続ける場合に、雇用保険の高年齢雇用継続給付が支給される間は、その支給額に応じて、特別支給の老齢厚生年金の一部が支給停止となる場合があり、支給停止される金額は、現在の賃金が60歳時の標準報酬月額の61%未満の場合は、現在の標準報酬月額の6%、61〜75%の場合は低下率に応じて6%以下の額です。
明さんの60歳到達時の賃金月額は43万円で、60歳以降の標準報酬月額は26万円ですから、
26万円/43万円×100%≒60%
よって、高年齢雇用継続給付を受けたことにの支給停止額(ウ)は、26万円×6%=15,600円
以上により正解は、(ア)37,500円 (イ)40,000円 (ウ)15,600円
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