問15 2011年9月基礎
問15 問題文
法人が受け取る損害保険の保険金と圧縮記帳に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。なお,各選択肢において,ほかに必要とされている要件等はすべて満たしているものとする。
1)
法人所有の工場建物および建物内収容の機械が全焼し,同一事業年度中に受け取った火災保険金で焼失前と同様の工場建物および同一の機械を新たに取得した場合,建物については圧縮記帳の対象となるが,機械については圧縮記帳の対象とならない。
2)
保険金等の額が確定する前に,法人が滅失等をした所有固定資産に係る代替資産の取得等をした場合は,圧縮記帳の対象とならない。
3)
圧縮記帳の対象となる保険金等は,法人所有の固定資産の滅失または損壊により,その滅失または損壊があった日から3年以内に支払の確定した保険金等とされている。
4)
保険金等で取得した代替資産等の圧縮限度額を算出する際,「所有固定資産の滅失または損壊により支出する経費の額」には,類焼者に対する賠償金等の費用についても含めることができる。
問15 解答・解説
損害保険の受取保険金と圧縮記帳に関する問題です。
1)
は、不適切。圧縮記帳の対象は、法人所有の固定資産等ですので、建物や機械装置に適用されます(商品には圧縮記帳は適用されません)。
2)
は、不適切。法人所有の固定資産が滅失し、保険金額が確定する前に代替資産を取得した(先行取得した)場合でも、圧縮記帳の適用対象です。
ただし、圧縮限度額の計算式は以下の通りとなります。
※先行取得資産の圧縮限度額=通常の圧縮限度額×帳簿価額/取得価額
よって、帳簿価額が減価償却等で取得価額より下がっている場合、通常よりも圧縮限度額が少なくなります。
3)
は、適切。圧縮記帳の対象となる保険金は、滅失または損壊のあった日から3年以内に支払の確定した保険金等とされています。
4)
は、不適切。代替資産の圧縮限度額を算出する際に、「滅失または損壊により支出する経費の額」を受け取った保険金額から差し引きます。この経費は取り壊し費用や消火費用、焼け跡の整理費用といった滅失等に直接関連する経費ですので、類焼者への賠償金・見舞金・弔慰金等の直接関連しない費用は含みません。
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