問50 2011年9月基礎

問50 問題文と解答・解説

問50 問題文

主婦Aさんは,夫と子どもと暮らしており,夫の会社の社宅に引っ越して5年になる。Aさんの母親Bさんは,2年前に夫Cさん(Aさんの父親)に先立たれた後,Cさんから相続した自宅で一人暮らしをしているが,年々身体が衰え,介護を必要とする状態になってきた。
仮に,AさんがBさんの自宅を相続した場合,「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けるにあたり,Bさんの自宅の敷地が特定居住用宅地等の適用の対象にならないケースとして,最も適切なものは次のうちどれか。
なお,Aさん,Bさんともに国内に住所を有し,Bさんの相続人はAさんのみであるものとし,ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

1) Aさんは,夫や子どもの面倒もみなければいけないので,Bさんの自宅まで通ってBさんを介護することにした。介護ヘルパーの助けも借りながら,月のうち半分くらいはBさんを介護したが,介護を始めて半年後,Bさんは死亡した。Bさんの死亡後,AさんはAさんの自宅に戻って生活しており,Bさん宅は,空き家となっている。

2) Aさんは,夫や子どもにもBさんの介護に協力してもらうために,BさんをAさんの自宅に呼び寄せて介護することにした。Bさんの自宅は空き家となったが,ちょうどBさんの知人からBさん宅を借りたいという申出があったので賃貸することにした。賃貸を始めて半年後,Bさんは死亡した。その後もAさんはBさん宅を賃貸している。

3) Bさんは,かねてから申し込んでいた特別養護老人ホームに入居できることとなり,早速転居した。Bさんの自宅は空き家となったが,Bさんがいつでも戻ることができるように,AさんはBさん宅の維持管理をしていた。転居して半年後,Bさんは死亡した。その後も,Bさん宅は空き家のままである。

4) Bさんは,かねてから申し込んでいた特別養護老人ホームに入居できることとなり,早速転居した。Bさんの自宅は空き家となったが,Bさんがいつでも戻ることができるように,AさんがBさん宅の維持管理をしていた。転居して半年後,Bさんは死亡した。その後,AさんはBさん宅を取り壊して賃貸マンションを建築した。

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問50 解答・解説

小規模宅地の特例に関する問題です。

小規模宅地の特例では、特定居住用宅地は240uを上限に、80%減額となります。
ただし、配偶者以外が取得する場合には、取得する別居親族は、相続開始前3年以内に自宅を所有していないことと、相続開始からの申告期限まで継続保有すること等が必要です。
(同居親族の場合は、申告期限まで継続居住・保有が必要)

本問では、母Bさんは一人暮らしですから、娘のAさんは別居親族ですが、5年前から夫の会社の社宅住まい(自宅所有無し)です。

また、3)、4)では母Bさんは特別養護老人ホームに「転居」していますが、以下1.〜4.の条件に該当する場合には、小規模宅地の特例が適用されます。
1. 被相続人が介護を受けるために老人ホームへ入所(特養ホーム含む)したこと。
2. 被相続人がいつでも生活できるような自宅の維持管理が実施されていたこと。
3. 被相続人の入所後、自宅を他者の居住用やその他の用途に供していないこと。
4. その老人ホームが、被相続人が入所するために、被相続人自身や親族によって所有権や終身利用権を取得されたものでないこと。

1) は、不適切。Aさんは5年前から夫の会社の社宅住まいであり、Bさんの死亡後Bさん宅を空き家として継続保有していることから、小規模宅地の特例が適用されます。
(Aさんは介護のために月の半分くらいはBさん宅に通っていましたが、寝起きを共にする同居ではないため、同居親族ではありません)

2) は、適切。AさんはBさんをAさんの自宅に呼び寄せて介護しており、Bさんの自宅は知人に賃貸されたため、被相続人がいつでも生活できる自宅の維持管理にも該当しません。
よって、「相続開始直前に被相続人の居住の用に供されていた宅地等(特定居住用宅地)」に該当しません

ただし、Bさんの自宅は知人に賃貸され、相続開始後もAさんが賃貸を継続していることから、「相続開始直前に被相続人または同一生計の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等(貸付事業用宅地)」に該当します。

3) は、不適切。Aさんは5年前から夫の会社の社宅住まいであり、Bさんの死亡後Bさん宅を空き家として継続保有しています。またBさんは介護を受けるために特別養護老人ホームに入所し、自宅の維持管理も実施されているため、小規模宅地の特例が適用されます。

4) は、不適切。Aさんは5年前から夫の会社の社宅住まいであり、Bさんの死亡後Bさん宅を取り壊したものの、賃貸マンションを建築し、宅地として継続保有しています。またBさんは介護を受けるために特別養護老人ホームに入所し、自宅の維持管理も実施されているため、小規模宅地の特例が適用されます。

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