問41 2012年1月基礎
問41 問題文
「固定資産の交換の特例」(以下,「本特例」という)の適用に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。なお,各選択肢において,ほかに必要とされる要件等はすべて満たしており,土地建物の時価は通常の取引価額とする。
1) Aさんが,その所有する建物(小売店舗用,時価10,000千円)とBさん所有の建物(事務所用,時価10,000千円)とを交換し,その交換により取得した建物を1カ月かけて改造し,交換の日の属する年分の確定申告書の提出期限までに小売店舗用として利用を開始した場合,Aさんは,取得した建物を交換譲渡した建物と同一の用途に供したことになり,本特例の適用を受けることができる。
2) Cさんが,路線価図上の借地権割合が60%の地域内に所有する貸宅地(300u,自用地としての時価30,000千円)の底地部分の一部(180u)とその宅地の借地人Dさんの借地権部分の一部(120u)とを交換した場合,Cさんは,土地と土地との交換をしたものとされ,本特例の適用を受けることができる。
3) Eさんが,その所有する土地(1筆,時価15,000千円)とFさん所有の土地(1筆,時価20,000千円)とを交換するに際して,Fさんに土地を5,000千円部分と15,000千円部分とに分筆してもらい,5,000千円部分については,Eさんが現金で購入し,Fさんの残りの土地(15,000千円部分)については,Eさん所有の土地と交換した場合,Eさんは,その交換について,本特例の適用を受けることができる。
4) Gさんが,その所有する自宅(土地時価20,000千円,建物時価10,000千円)とHさん所有の自宅(土地時価18,000千円,建物時価12,000千円)とを交換した場合,Gさんは,土地と土地,建物と建物の価額が同額ではないものの,本特例の適用を受けることができる。
問41 解答・解説
固定資産の交換の特例に関する問題です。
固定資産の交換の特例は、交換する固定資産の差額が、高い方の資産の20%以内であることが必要です。
1) は、適切。固定資産の交換の特例を受ける場合、交換により取得した資産は、交換により譲渡した資産の譲渡直前と同じ用途で使用することが必要です(交換した年分の確定申告書の提出期限までに使用開始することが必要)。
2) は、適切。固定資産の交換の特例では、土地は土地同士、建物は建物同士というように、同種の資産の交換が適用対象ですが、土地と借地権の交換も適用対象です。
Cさんの貸宅地(300u、30,000千円)は、借地権割合60%ですから、底地部分180u分の評価額は、
30,000千円×180u/300u×(1−60%)=7,200千円
Dさんの借地権部分120u分の評価額は、
30,000千円×120u/300u×60%=7,200千円
従って、差額は20%以内のため、特例の適用を受けられます。
3) は、不適切。固定資産の交換の特例は、土地を分筆して交換しても適用されますが、分筆後の交換しなかった土地を同じ相手に売却した場合には、分筆前の土地全体が交換対象とされ、適用の可否が判断されます。
つまり、Fさんは20,000千円の土地を5,000千円部分と15,000千円部分に分筆し、15,000千円部分は交換、5,000千円部分についてはEさんに売却しているため、実態としては分筆前の土地全体を交換していることになります。
従って、土地の売却代金を交換差金として、交換の特例の適否を判定することなり、E土地とF土地の差額5,000千円は、高い方の土地20,000千円の20%(4,000千円)を超えるため、特例の適用を受けられません。
4) は、適切。固定資産の交換の特例では、「土地+建物」⇔「土地+建物」のような交換の場合、土地は土地同士、建物は建物同士で交換したものとして、20%相当額以内かどうかを判断します。
GさんとHさんが交換した土地の差額は、G土地20,000千円・H土地18,000千円ですので、差額は2,000千円で、高い方であるG土地20,000千円の20%(4,000千円)以内ですので、適用対象です。
また、建物の差額は、G建物10,000千円・H建物12,000千円ですので、差額は2,000千円で、高い方であるH建物12,000千円の20%(2,400千円)以内ですので、こちらも適用対象です。
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