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2013年2月10日実技part2

2013年2月10日実技part2

part2 問題文

●設 例●
Aさん(70歳)は比較的裕福な年金生活者で、妻とマンションで暮らしている。子供は2人いるが、それぞれ独立している。昨年、Aさんの母親が93歳で死亡した(父親は5年前に死亡)。相続人はAさんと弟のBさん(65歳)の2人である。
遺産のなかに、甲土地がある。甲土地は、30年前に、弟のBさんが持ち家を希望していたこともあって2戸建築できるよう一筆480uある大きめの宅地を亡父が購入し、5年前に母親が相続したものである。甲土地には現状、母親が居住していた家屋のほか、公道寄りにBさんが建てた居宅がある。相続税においては、Bさんの居宅の敷地にあたる部分は使用貸借と認定されたため、甲土地全体が自用地評価であった。
母親の遺産は、可能な限りAさんとBさんが均等に取得するという方針で遺産分割がなされ、相続税の申告・納税も済ませた。甲土地は、2分の1ずつの持分によるAさんとBさんの共有として登記された。しかし、母親の1周忌を終えたときAさんとBさんは話し合い、甲土地をこのまま共有状態にしておくのは、お互いの相続を考えると得策ではないという結論になった。
具体的にどうすればよいかについては、漠然と、AさんとBさんの持分に応じて土地を分割(分筆)し、それぞれが単独で所有するのがよさそうだということになった。
Aさんは、その場合にはBさんの居宅を考慮し、旧母親居宅のある北側とで2分割すればよいと考えた。また、実際の境界線については、それぞれが取得する土地の価額がお互い均等となる地積を算出して決めればよいのではないかと思い、Aさんなりに、○ア部分がAさん所有、○イ部分がBさん所有となる境界線を描いてみた(下図)。
以上のように甲土地を分割するプランを立ててみたものの、Aさんは自信がないので、ファイナンシャル・プランナーにアドバイスを求めることにした。

〈Aさんの相談事項〉
1.実際にこの甲土地の分割プランを実行する場合、どのような手順や手続きを踏むべきか。税務上の取扱いとともに教えてほしい。
2.この甲土地の分割プランをどう思うか、メリット・デメリットとともにあなたの考えを聞きたい。また、他によいプランがあれば、併せて教えてほしい。

 

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part2 ポイント解説

 顧客の抱える問題と解決策
1. 甲土地の分割プラン実行における手順・手続きと税務上の取り扱い
一筆の土地を現物分割する場合、まず土地を法務局で分筆登記する。
分筆された土地は各共有持分者による共有のままのため、それぞれ持分全部移転登記することで、それぞれ単独所有の土地二筆とすることができる。
※つまり、文筆した後もそれぞれの土地にお互いの所有権(持分)が残ったままなので、持分全部移転登記でお互いの所有権(持分)を解消するわけです。

また、現物分割の場合、共有持分に応じて現物分割すると、資産の譲渡や贈与に該当せず、課税されない(土地のように、効用を一にする一個の共有資産の場合)。
共有持分に応じた分割として、土地であれば面積を基準にした分割だけでなく、価額に応じて分割面積を定めても、面積算定が合理的なものであれば、認められる
よって、本問のプランでも、それぞれの取得する土地価額が均等となる面積として、専門家によって適切に算定されたものならば、課税対象外となると想定される。

2. 甲土地の分割プランのメリット・デメリットと他のプランの提案
◆メリット
現物分割による税負担や、分割する土地そのものについては現金支出なし
持分に応じた公平な分割が可能。
旗竿地となることで、土地の評価額が下がり、不動産にかかる税負担の軽減が図れる。

◆デメリット
分筆登記のための調査・測量および登記費用の負担が発生する。
Aさんが取得する○ア部分は、間口が3mと狭小な旗竿地となってしまうため、公道からのアクセスが不便となってしまい、土地の有効活用がしにくく、売却する際の評価額も下がってしまう可能性がある。
また、旗竿地は将来相続が発生した際に、接道義務を満たさない等で、さらなる分筆が難しくなってしまうため、スムーズな遺産分割にならない可能性がある。

◆分割プランに対する考え方と他のプランの提案
甲土地の分割プランは分かりやすく、公平な分割として双方が納得しやすいものではあるが、将来的な土地活用や相続の面からは、マイナス面も多い。
Bさん居宅は築30年程度である程度老朽化も進んでいると思われるため、甲土地の代償分割を提案する。
具体的には、甲土地のBさんの持分をAさんに移転登記し、その対価として、近隣にAさんの負担でBさんの新しい居宅を用意する(Bさんは持分をAさんに譲渡し、その対価を新居の購入資金に充当する)。
ただし、Bさんには持分の譲渡所得が発生したとして、譲渡所得税の負担が発生する。
また、Aさんにそこまでの資金的余力がない場合、甲土地を担保とした借り入れが必要となるため、その後の有効活用(例えば低層の共同住宅の建築)も含めた資金調達計画が重要となる。

 FPと関連法規
不動産の分割等における、具体的な税金の質問等に関しては、税理士を紹介すべきです。
また、土地の分割における調査・測量や分筆登記については土地家屋調査士、土地の所有権移転登記等については司法書士を紹介すべきです。
本問では、顧客は主に土地の分割プランや具体的な手続きに不安を感じており、具体的なプランの実施について検討する際は、各専門家の協力を仰ぐべきと考えます。

2月10日part1                 目次に戻る
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