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2014年6月15日実技part2

2014年6月15日実技part2

part2 問題文

●設 例●
Aさん(80歳)は元会社役員で、自宅(甲土地・家屋)と貸宅地(乙土地)、ならびに約1億円の金融資産を所有している。家族は妻Bさん(78歳)と子が2人(長女Cさん、長男Dさん)である。妻Bさんは膝の痛みのため、外出の際はAさんが付き添っている。長女Cさん(52歳)は夫に先立たれ、子どもと賃貸住宅で暮らしていたが、今年から母(Bさん)の介助もあって実家に戻り、Aさん夫婦と一緒に生活している。長男Dさん(48歳)は会社員で、小さいながらもマンションに居住し、生活は安定している。
Aさんは、自身の相続を見据え、以下を検討している。
一つ目は、貸宅地(乙土地)の整理である。乙土地は、戦後まもなくAさんの父が現在の借地人であるE氏の父に住宅建築を目的として貸したものであり、双方とも相続を経ている。地代はAさんからの申入れで何度か変更されているが、賃貸借契約書は、親同士が交わした当初のものしかない。乙土地は優良な住宅地にあり、比較的広さもある。長男Dさんの住み替えや、他の有効活用に充てることもできるので、E氏と良好な関係を保っているうちに借地権を解消しておきたい。E氏も老いて、子どもと同居するために建て替えたい様子がうかがえるので、話合いをするよい機会だと思っている。
二つ目は、自宅についてである。Aさんは、自宅を長女Cさんに与えたいと思っているが、妻Bさんが存命の間は、妻Bさんの住まいとして確保しておきたいとも考えている。これにはどのような策を講じておけばよいか相談したい。
また、Aさんは、友人から、相続税法が改正され課税が厳しくなると聞いたが、とりわけ住宅に関する相続税の取扱いや改正点を知っておきたいと思っている。
Aさんは、ファイナンシャル・プランナーに相談することにした。

(相談事項)
1. 貸宅地(乙土地)を整理するにはどのような方法がありますか。Aさんにとってのメリット・デメリットを挙げながら教えてください。
2. 自宅に関するAさんの希望を叶えるためには、税負担も併せて考えると、どのようにするのがよいですか。
3. 相続税法の主な改正点、とりわけ住宅に関する相続税の取扱いや改正点を教えてください。

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part2 ポイント解説

 設例で示された情報以外に必要な情報
顧客が関知していない状況や、忘れている事項がある可能性もあるため、甲土地の登記簿と、現地の確認を行うことで、所有権・抵当権等の権利状況や土地の物理的状況を、実際に確認することが必要。
また、乙土地の賃貸借契約書を確認し、当初の契約条件とこれまでの更新状況を確認することが必要。

 顧客の抱える問題と解決策

1. 貸宅地を整理する方法

(1)借地権の買い取り
E氏が納得する価格で借地権を買い取り、借地関係を解消する方法。
 ○メリット :借地権解消後の土地を自由に有効活用可能。
 ○デメリット:残存価値がほぼないであろう住宅であるにも関わらず、買い取り費用が発生する(建物の解体費用はE氏負担にできる)。

(2)底地と借地権の共同売却
乙土地の底地と借地権を、共同で他者に売却し、土地から金融資産とする方法。
 ○メリット :分割しやすい金融資産へ整理可能。
 ○デメリット:賃貸収入の消滅譲渡所得税負担の発生。

(3)底地と借地権の交換
乙土地の底地と借地権を、相当の価値に応じて交換し、それぞれの土地の所有権とする方法。
 ○メリット :借地権解消後の土地を自由に有効活用可能。
        交換特例により譲渡所得をなかったものとすることが可能。
 ○デメリット:賃貸収入の消滅。

(4)低層マンション建設に伴う等価交換
デベロッパーとの等価交換事業により、低層マンション(第1種低層住居専用地域のため)を建設し、底地・借地権に応じたマンションの一部を取得する。
 ○メリット :資金負担無しで建物を取得可能。
        建物の専有部分を複数取得することで、分割しやすい資産へ整理可能。
        買換え特例(事業用or立体)により、譲渡所得の繰り延べ可能。
 ○デメリット:土地は実質共有。 

2.税負担も踏まえた自宅の相続方法

小規模宅地の特例は、配偶者には被相続人との同居や相続後の居住継続といった特定居住用宅地に対しての適用要件に制限がなく、必ず適用される。
二次相続の際は、長女が同居親族として申告期限まで継続居住・ 保有していれば、同様に特定居住用宅地として適用される。

従って、Aさんの希望を考慮すると、Aさんの遺言で妻Bさんに自宅を相続させることを明記し、Aさんの相続発生後には妻Bさんもあらかじめ遺言を作成し、長女Cに相続させることを明記することが必要。

3.相続税法の改正点

相続税の基礎控除は、現在は5,000万円+法定相続人の数×1,000万円だが、平成27年1月1日以降は3,000万円+法定相続人の数×600万円に縮小されるため、これまで相続財産が基礎控除の範囲内で相続税が発生しなかった場合でも、今後は課税対象となる可能性がある(特に二次相続では配偶者の税額軽減が受けられず、課税対象となる可能性が高い)。
しかし、平成25年度税制改正により、小規模宅地の特例は、特定居住用宅地の適用面積が240uから330uに拡大された(平成27年1月1日以降の相続・遺贈より)ため、350uの自宅に適用できれば、大部分を80%減額の対象とすることが可能。

 FPと関連法規

自宅相続時の相続税負担等、具体的な税金の質問等に関しては、税理士を紹介すべきです。
また、貸宅地の整理に関しては、土地価格の算定は不動産鑑定士、媒介や契約代理等の宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、不動産業者を紹介すべきです。
本問では、顧客は主に貸宅地の整理や、自宅相続における税負担に不安を感じており、具体的なプランの実施について検討する際は、各専門家の協力を仰ぐべきと考えます。

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