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2015年2月15日実技part2

2015年2月15日実技part2

part2 問題文

●設 例●
首都圏の都心から約40分のK市に住むAさん(70歳)は、5年前にそれまで勤めていた電機メーカーを退職し、妻Bさん(67歳)とガーデニング、旅行等で健康な日々を過ごしている。2人の子(長男、長女)はすでに独立し、それぞれ住まいを取得して円満な家庭を築いており、心配はない。
現在の収入は、夫婦2人の年金が月額30万円(年額360万円)と、株式の配当金が年30万円である。資産は、自宅のほか、Aさん名義の預貯金・株式等の金融資産が3,500万円あり、住宅ローンは完済し、借入金はない。
自宅は、Aさんの父親から相続した土地(180u)に、35年前に木造2階建住宅(延べ140u)を建築したもので、リフォームすれば引き続き住居として十分使用が可能である。土地と建物の名義は、退職時に贈与税の配偶者控除を活用し、家屋とその敷地の持分2分の1を妻Bさんに贈与したため、夫婦の共有名義となっている。
自宅から最寄りのN駅まで徒歩約20分であるが、最近2人とも足腰が衰え、買い物にも苦労するようになり、また子どもが使っていた2階の部屋の掃除や庭の手入れ等の負担が重く感じるようになってきた。
このため、Aさん夫婦の先行きを心配した長女から、現在の住まいを処分し、長女宅から近い距離にある新築分譲マンションに買い換えて転居したらどうかと勧められ、長男も賛同したので、Aさん夫婦は買換えについての検討を開始した。
地元不動産会社のX社に相談したところ、「人気のある地域なので売却は比較的容易であり、土地・建物総額5,600万円での売却が可能である。売却する場合は、ぜひ当社に一任してほしい」とのことである。なお、土地の路線価は230千円/u、建物の固定資産税評価額は200万円である。

(買換え物件の概要)
買換え予定物件は、大手不動産会社Y社が分譲中の2LDK・専有面積70uのマンションで、分譲価格は4,800万円、引渡し時に登記関連費用として30万円、修繕積立基金として70万円が必要である。最寄り駅からは徒歩約6分、周辺環境条件等も良好で、夫婦とも気に入っており、この物件をぜひ購入したいと考えている。

〈Aさんの相談事項〉
買換えに際し、Aさんはこれまで不動産取引の経験がないため、ファイナンシャル・プランナーであるあなたに、次の点につき適切なアドバイスをお願いしたい。

1.]社が言っている「売却する場合は、ぜひ当社に一任してほしい」とはどのようなことを意味しているのですか。
2.自宅の買換えを行う場合、特に留意しておくことは何ですか。
設例の場合、自宅の売却を先行させるか、それとも買換えのマンションを先に契約して確保するか、どちらが良いと判断しますか。
3.設例の自宅を売却した場合の「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」の適用について教えてください。

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part2 ポイント解説

 設例で示された情報以外に必要な情報
顧客が関知していない状況や、忘れている事項がある可能性もあるため、Aさんの自宅の登記簿と、現地の確認を行うことで、所有権・抵当権等の権利状況や土地の物理的状況(隣地との境界・付帯設備や物件の劣化状況・周辺環境等)を、実際に確認することが必要。

 顧客の抱える問題と解決策

1. X社の申し出に対する説明

不動産取引を不動産業者に依頼した場合、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類の契約があるが、]社の「売却する場合は、ぜひ当社に一任してほしい」という申し出は、専任媒介もしくは専属専任媒介契約を指していると思われる。

一般媒介契約
・契約期間  :上限無し
・契約先の制限:無し(複数社と契約可、本人取引可
・指定流通機構への登録義務    :無し
・依頼者への業務処理状況の報告義務:無し

専任媒介契約
・契約期間  :上限3ヶ月
・契約先の制限:有り(単独契約、本人取引可
・指定流通機構への登録義務    :有り(7日以内)
・依頼者への業務処理状況の報告義務:有り(2週間に1回以上)

専属専任媒介契約
・契約期間  :上限3ヶ月
・契約先の制限:有り(単独契約、本人取引不可
・指定流通機構への登録義務    :有り(5日以内)
・依頼者への業務処理状況の報告義務:有り(1週間に1回以上)

2.自宅の買換えを行う場合の留意点

自宅の買換えを行う場合、自身は売主・買主それぞれの立場で取引することになるため、それぞれの場合の不動産業者選定が重要となる。つまり、売主としては可能な限り高額・好条件で売却し、買主としては万一の瑕疵のない安心・安全な物件を購入するために、特に業者が選べる売主時は慎重に選定することが必要。
また、買換えにあたっては売り先行とするか、買い先行とするかのそれぞれの契約のタイミングも検討することが必要。

売り先行型のメリット・デメリット
・資金計画に狂いが生じにくく安全性が高いが、買換え先決定までの時間的制約が有り、自宅売却後に仮住まいが必要となることがある。
・じっくりと売却活動できるため、買主との価格交渉にも比較的有利

買い先行型のメリット・デメリット
・売却時を気にせず買換え先をじっくり検討できるが、売却先決定までの時間的制約が有り、買主との価格交渉には比較的不利
・売却がスムーズにいかない場合、二重ローンとなる可能性有り。

本問の場合、買換え先は既に気に入った物件があり、現在の自宅ローンも完済済みで金融資産も潤沢であることから、買い先行型であっても、売却先決定までの時間的制約は少なく(新居入居後、すぐに売却しないといけないわけではない)、買主との価格交渉には不利にならず二重ローンにもならない。また、売り先行の場合、気に入っているマンションが売却後まで残っているかや、Aさん夫婦が高齢であることから、仮住まいが必要になった場合にスムーズに確保できるかという問題もある。
従って、買換え先マンションの購入に当たって住宅ローンの審査に通るようであれば、買い先行型の方が良いと考えられる。

3. 3,000万円の特別控除に関する説明

マイホームを売ったとき、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円控除できる特例。
<主な適用要件>
・所有者自身が居住していた家屋(とその敷地・借地権)の譲渡
・居住しなくなってから3年目の12月31日までに譲渡
・譲渡年の前年・前々年に居住用財産の譲渡所得の特例を受けていないこと
・売り手と買い手が、親子や夫婦などの特別な間柄(生計を一にする親族、内縁関係、特殊な関係にある法人を含む)ではないこと

 FPと関連法規

不動産取引に係る具体的な税金の質問等に関しては、税理士を紹介すべきです。
また、自宅の売却・買換え時の登記については司法書士、不動産取引等の宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、不動産業者に協力を仰ぐべきです。
本問では、顧客は主に自宅買換え時の不動産取引と税制上の特例適用について不安を感じており、特に不動産業者については、必要に応じて信頼できる不動産業者の協力を仰ぐべきと考えます。

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