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2015年2月15日実技part1

2015年2月15日実技part1

part1 問題文

●設 例●
地方都市在住の会社員Aさん(46歳)は、妻Bさん(44歳、専業主婦)、長男Cさん(20歳)および長女Dさん(18歳)の4人で賃貸住宅に暮らしている。
先日、首都圏で1人暮らしをしていたAさんの父Pさんが、70歳で急死した。Pさんは、生前に自筆証書遺言を作成しており、相続人であるAさんと姉Eさんは、その内容について納得している。Aさんは、今後、遺言書についてどのような手続をしたらよいか、また、財産の名義変更手続等はどのように進めたらよいか、さらに必要書類や、相続税の申告についてなど、わからないことが多い。
Pさんの遺言書の内容は、以下のとおりである。

【遺言書の内容】(すべて相続税評価額)
1.Aさんが相続する財産
自宅土地(330u)       8,000万円
自宅建物            500万円
定期預金           4,000万円
個人向け国債         2,000万円

2.姉Eさんが相続する財産
アパート敷地(200u)     6,000万円
アパート建物         3,000万円
定期預金           5,000万円
投資信託           1,500万円
(財産合計) 3億円
*Pさんの財産は、上記に掲げるものだけとする
*姉Eさんは、すでに自宅を所有している
*遺言書どおりに分割した場合の相続税(小規模宅地等の評価減適用前)の試算額は、Aさんが約3,300万円、姉Eさんが約3,600万円である

Aさんは、ちょうど自宅の購入を検討していたところであったが、Pさんの住んでいた家には住む予定がないため、すぐにでもPさんの住んでいた土地、建物を売却して自宅購入の資金にしようと思っている。
また、Pさんから相続する個人向け国債が近々償還されるようだが、個人向け国債のメリットとデメリットがよくわからない。
さらに、長女Dさんが海外の大学に留学したいと話しており、Aさんはその資金を出してあげたいと思っている。

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part1 ポイント解説

 顧客の相談内容・問題点に対する解決策。

1.自筆証書遺言書の手続き

(1)偽造・変造防止のため、自筆証書遺言は勝手に開封しない
(2)検認の申立書、被相続人・相続人全員の戸籍謄本の用意
(3)上記(2)を家庭裁判所に提出し、検認の請求
(4)家庭裁判所から検認期日の通知
(5)検認期日に、相続人立会いのもと、遺言書の開封と内容確認、検認調書の作成

2.相続財産の名義変更手続き

(1)預金の名義変更手続き(銀行の相談コーナー等)
(2)国債の名義変更手続き(購入した金融機関の窓口等)
(3)不動産の名義変更手続き(法務局で相続登記)
上記いずれも、被相続人・相続人全員の戸籍謄本や遺言書・遺産分割協議書のほか、不動産については登記簿謄本等が必要。
また、財産の名義変更ではないものの、公的年金については未支給年金の請求届出、クレジットカードの未払い分の支払い手続き等が必要になる。

3.相続税の申告手続きの概要

相続税の申告と納税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に行うことが必要。なお、相続税の申告書の提出先は、財産を取得した相続人の住所地の所轄税務署ではなく、被相続人の住所地の所轄税務署となる。
申告と納税は相続人自身でも可能だが、本問の場合相続人は被相続人の住所地とは離れて暮らしており、手続きにも慣れていないと思われるため、税理士に申告と納税手続きの代行を依頼することを提案する。

4.小規模宅地の特例の活用方法

平成25年度税制改正により、小規模宅地の特例は、特定居住用宅地の適用面積が240uから330uに拡大され、居住用宅地と事業用宅地の併用も可能となり、最大730uまで80%減額が可能となった(平成27年1月1日以降の相続・遺贈より)。
本問の場合、自宅土地330uに特定居住用宅地を適用すれば、大幅に相続税負担を軽減することができるが、配偶者以外が取得する場合には、取得する別居親族は、相続開始前3年以内に自宅を所有していないことと、相続開始からの申告期限まで継続保有すること等が必要
アパート敷地については、貸付事業用宅地として200uまで50%の減額対象となるが、2種類以上の宅地に特例適用する場合には一定の調整計算による制限があり、自宅土地330uに適用した場合には適用できない。
Aさんはすぐにでも自宅の売却したい希望があるが、特例適用には相続税の申告期限まで保有継続が必要となるため、売却する場合にはアパート敷地に特例適用が可能。
Aさんと姉Eさんは遺言書の内容に納得しているが、本特例適用による相続税負担の差異についても、税理士の協力を得て事前に確認し、場合によっては代償分割等の検討も提案する。

5.教育資金贈与の非課税措置の説明

教育資金の非課税特例では、直系尊属から教育資金を一括贈与された場合、受贈者ごとに1,500万円まで非課税となる(学校等に直接支払われる入学金や授業料等ついては1,500万円まで、学校等以外の者に支払われる金銭については500万円まで)。海外留学の場合でも、留学先の教育機関がその国の学校教育制度に位置づけられていれば、特例の適用対象となる。ただし、留学の仲介業者に支払う金銭については、「学校等以外の者」となるため、500万円が上限となる。
また、日本政策金融公庫の教育一般貸付により、1年以上の海外留学資金は450万円まで融資を受けることが可能であり、必要に応じて利用を検討することを提案する。

6.個人向け国債の説明

社債や株式同様、国債も金融市場における売買の対象であり、債券の価格は、市場金利が上昇すると下落し、市場金利が低下すると上昇する。ただし、これは銀行等の金融機関が売買する通常の国債に関してであり、個人向け国債は発行から1年経過後には中途換金可能(国が額面金額での買い取りを保証している)であるため、金利が上昇しても、元本割れしない。
個人向け国債の場合、元本割れしないという高い安全性や1万円からの少額投資が可能というメリットがある反面、社債や株式に比べると利回りは低いというデメリットがある。個人向け国債は、固定金利の3年物・5年物と、変動金利の10年物があり、金利の見通しや自身の資金需要に応じて検討することを提案する。

 FPと職業倫理

FPの職業倫理は、顧客利益の優先、守秘義務、説明義務(アカウンタビリティ)、顧客の説明・同意(インフォームド・コンセント)の4つ
本問では、FPと顧客の利益相反や顧客の秘密漏洩を懸念する局面ではなく、個人向け国債に関しても金融商品取引法等における重要事項の説明義務に関わる段階でもなさそうですので、一番重要なのは、様々な相続税の軽減対策・遺産分割対策の方法やそれを適用した結果をきちんと説明し、顧客の理解度を確認する「インフォームド・コンセント」ということになるかと思います。

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