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2015年2月14日実技part2

2015年2月14日実技part2

part2 問題文

●設 例●
資産家のAさん(52歳)は、父親の相続により取得した甲土地、ならびに貸地を除く甲土地上の建物を所有している(下図)。Aさんは、この相続を機に会社を退職し、父親の事業を引き継いでいる。甲土地の利用用途の概要は、次のとおりである。
・自営店舗は、父親の代で大手コンビニのフランチャイズ店舗に転換しており、経営状態 は良好である。Aさんの営業継続の意欲は強い。
・貸駐車場(自主管理)は、競合先の進出、固定資産税負担等により、収益性が悪化して おり、先行きに不安を感じている。
・貸地は、借地人Bさんの父親の代からの賃貸借で、その人間関係は良好である。店舗兼 自宅として利用され、建物は老朽化が進んでいる。
・貸店舗は、駅近くで建築中のマンションの分譲事務所として、販売会社C社に一時使用  目的の賃貸借契約(期間2年間)で貸している。近々、マンションは竣工する予定である。
・自宅(2階建)は、Aさん夫婦とAさんの母親(75歳)が一緒に生活している。古い造 りで使い勝手が悪いため、バリアフリー仕様の近隣分譲マンションへの住替えを考えて いるが、愛着のある土地から離れることに踏ん切りが付かずにいる。

この度、貸地について借地人Bさんより「老齢と商売の跡取りがいないことにより、店をたたむことにした。娘の近くに移り住むことを決めたので、自分の借地権(建物付)を買い取ってほしい。なお、買取り価格は相続税路線価を基準に考えてほしい」旨の申出があった。ただ、Aさんには、金融資産は十分にあるが、将来に備えて、これを取り崩して充当することには極めて消極的である。
 甲土地は、首都圏の既成市街地に準ずる区域に存し、前面道路沿いは店舗・営業所・マンション等が混在して建ち並び、その背後地は、戸建て住宅が大半を占める良好な住宅街である。最寄駅まで徒歩約5分で、都心部へのアクセスも優れている。
 そういう状況のなか、大手デベロッパー]社より、甲土地全体について、等価交換方式による店舗付マンションの提案があり、Aさんは、これに積極的に対応したいと考えている。子供達も含め家族は、これに賛同している。そこで、]社の提案に応じる前に、何か問題になることがないか、ファイナンシャル・プランナーに相談することにした。

(Aさんの相談事項)
1.Bさんの申出に対してどのように対応したらよいですか。
2.C社との一時使用目的の賃貸借契約では、期間満了による明渡しを請求できますか。
3.等価交換方式の税制上の特例措置はどのようなものですか。また、大規模な賃貸マンション事業を安定的に運営するためには、事業採算性や賃貸管理について、どのように対処したらよいですか。

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part2 ポイント解説

 設例で示された情報以外に必要な情報
顧客が関知していない状況や、忘れている事項がある可能性もあるため、甲土地及びAさんの自宅の登記簿と、現地の確認を行うことで、所有権・抵当権等の権利状況や土地の物理的状況を、実際に確認することが必要。

 顧客の抱える問題と解決策

1. 借地人Bさんの申し出に対する対応方法

貸地の店舗兼自宅については老朽化が進んでおり、Bさんの借地権を買い取ったとしても、有効利用にはリフォームや取り壊しのための費用が必要となる。
よって、まずは借地契約解除時には借地人に原状回復義務(更地にして返す義務)があることをBさんに伝えることから交渉を開始する。
また、借地権の買取も地主の義務ではなく、建物買取請求権に応じる必要がある(普通借地権の存続期間満了後、契約の更新がない場合、借地人は地主に建物等の時価での買い取りを請求可能(建物買取請求権))だけであることから、金融資産を将来のために取り崩したくないというAさんの希望を考慮すれば、Bさんの申し出をそのまま受け入れる必要はない。
ただし、デベロッパーX社から甲土地全体について、等価交換方式による店舗兼マンションの建設の提案がされていることから、BさんについてもX社を相手方とした借地権の等価交換に参加してもらうことで、AさんはBさんとのやり取りの手間やトラブルを回避することが可能。また、借地権と底地の共同売却(交換)となるため、Aさん・Bさん双方にとって土地本来の価値でX社と交換交渉が可能となる(借地権・底地単独での売却では、本来より低い価格でしか買い手がいないことも多い)。

2.一時使用目的の賃貸借契約の期間満了と明け渡し

一時使用目的の賃貸借契約の場合、更新を前提にした賃貸借(普通借家)と異なり、借地借家法の適用外となる。従って、期間満了により契約を終了し、建物を明け渡してもらうことが可能。

3.等価交換方式の税制上の特例と安定的な賃貸マンション運営方法

●立体買い換えの特例
三大都市圏の既成市街地等およびそれに準じる地域であれば、地上3階建て以上で耐火構造の賃貸マンションを建設する場合、立体買い換えの特例の適用を受けることにより、不動産の譲渡益に関する課税を100%繰り延べることが可能。
等価交換方式の場合、他にも固定資産の交換特例や事業用資産の買換え特例の適用も可能だが、それぞれ交換対象や所有期間に制限がある。甲土地は首都圏の既成市街地にあることから、立体買換えの特例が最も適用しやすく税負担軽減効果も高いと考えられる。

●安定的な賃貸マンションの運営方法
甲土地周辺は最寄り駅や都心へのアクセスも良く、マンション用地として適切と思われるが、周辺にも多くのマンション・住宅地があることから、事前に賃貸相場や今後の賃貸需給(開発計画や他のマンションの建設予定)を十分に確認し、慎重な収支予測のもと、運営を行うことが重要。
また、賃貸管理自体はサブリースによりAさん自身の手間をかけずに安定的な収益を確保し、自営店舗の事業運営自体に注力することも検討に値する。

 FPと関連法規

不動産取引に係る具体的な税金の質問等に関しては、税理士を紹介すべきです。
また、等価交換等における権利割合については不動産鑑定士、土地活用等の宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、不動産業者やデベロッパーに協力を仰ぐべきです。
本問では、顧客は主に借地関係の解消・有効活用方法について不安を感じており、借地人との交渉次第で、各専門家の協力を仰ぐべきと考えます。

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