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2015年6月14日実技part2

2015年6月14日実技part2

part2 問題文

●設 例●
大都市近郊のK市に住むAさん(72歳)は、借地である甲土地(地元の資産家Xさん所有、地積200u K駅徒歩10分)に建てた築35年の木造2階建て住宅(120u)に、妻(70歳)と2人で暮らしている。Aさんは、約3,000万円の現預金を保有し、借入金はない。
子どもは男女2人で、長男(47歳)は大手企業に勤務し、K駅近くの分譲マンションに家族4人で住んでいる。長女(45歳)は地方の資産家に嫁ぎ、そちらで夫の家族とともに住んでいる。Aさんは、住んでいる自宅が古くなり、補修も大変なうえ、妻が膝を病み2階に行くのもつらくなったということで、長男に相談したところ、長男が現在のマンションを売却すると多少の利益が出るので、この際、3階建ての良質な二世帯住宅(総面積168.6u、各階56.2u、1階をAさん夫妻、2階、3階を長男家族が使用)を建てて一緒に住まないかと言ってくれた。長男の友人の建築士がすでに甲土地にプランを作成しているが、とてもよくできており、Aさん夫妻も大変気に入っている。Aさんは、Xさんとの借地契約の更新時期も迫っているため、Xさんにこの件を話し、承諾を求めたが、借地関係が長期化するのは嫌なので、できればこの際、借地関係の解消をしたいと言われ、次の提案を受けた。

【Xさんからの提案】
甲土地とは駅の反対口になるが、2カ月ほど前に知り合いに頼まれて時価で取得した閑静な住宅地内の南道路の土地(乙土地 160u K駅徒歩15分)があるので、この土地と甲土地の借地権を等価で交換したい。
乙土地のある住宅地は、地元でも知名度の高い優良住宅地域であり、Aさんは将来のことも考え、借地関係が解消され、乙土地の所有権が無償で手に入るなら、ぜひこの話に乗りたいと考えている。その場合には、今後のことや長男の建物建築資金の借入れのことも考え、土地の名義を長男にしたいと思っている。そこで、この件につきファイナンシャル・プランナーであるあなたに相談したい。

(FPへの質問事項)
1.【Xさんからの提案】を受け入れた場合、等価での交換および二世帯住宅の建築にあたって、何か問題になるようなことはありますか。
2.アドバイスをするにあたり、あらかじめどのような確認(情報収集)が必要ですか。
3.取得する土地の名義を長男にするには、税務面を考慮した場合、どのような方法(手順)で行うのがよいと思いますか。
4.Aさんの事案に関与する不動産関連の専門職業家にはどのような方々がいますか。

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part2 ポイント解説

 顧客の抱える問題と解決策

1.Xさんの提案受入による等価交換・二世帯住宅の建築における留意点

(1)等価交換における留意点
甲土地の借地権と乙土地を等価交換する場合、固定資産の交換の特例を適用することで、譲渡が無かったものとして課税を避けることが可能。ただし、特例適用の要件として、譲渡資産は1年以上保有していたものであること、取得資産は交換の相手が1年以上保有し、かつ交換のために取得したものでないことが必要。
固定資産の交換の特例は、土地や建物などの固定資産を同じ種類の固定資産と交換したときは、譲渡がなかったものとする特例(土地と借地権の交換も適用対象)

本問の場合、XさんはAさんが取得する乙土地を2ヶ月ほど前に取得したばかりであるため、特例を適用するには1年を経過するまで取引を待つ必要がある。

また、設例に示された相続税路線価で計算する限り、甲土地借地権と乙土地は等価であるが、時価で比較した場合に大きな差がないか、事前確認が必要。差がある場合、固定資産の交換の特例は、交換する譲渡資産と取得資産の差額が、高い方の資産の時価の20%以内であることが必要。

(2)二世帯住宅の建築における留意点
甲土地は第2種高度地区で高さ制限は10m+水平距離の1.25倍であるのに対し、乙土地は第1種高度地区で高さ制限は5m+水平距離の0.6倍と、乙土地の方が厳しい規制が設定されている(その他乙土地は絶対高さ制限や日影規制も課せられる)。
長男の友人の建築士によるプランは甲土地での建築を前提にしたものであり、3階建ての二世帯住宅は、乙土地ではプラン通りには建築できない可能性がある。

2.アドバイスに当たってあらかじめ必要な確認(情報収集)

顧客が関知していない状況や、忘れている事項がある可能性もあるため、甲土地の登記簿と、現地の確認を行うことで、所有権・抵当権等の権利状況や土地の物理的状況を、実際に確認することが必要。
同様に、取得予定の乙土地についても登記簿と現地の確認を行うほか、用途地域・地方自治体の都市計画等を確認し、今後の開発予定・環境変化を把握することが必要である。
また、長男夫婦の乙土地居住に関する意向や、後述する乙土地の高さ制限による建築プランへの影響について、建築士に確認し、大きな変更が発生する場合にはAさん夫妻や長男夫婦の意向も確認することが必要。

3.取得する乙土地の長男への名義変更手順

親子間であっても、単純に親から子に不動産の名義変更(所有権の移転登記)をしてしまうと、贈与税の課税対象となる。従って、所有権の移転登記=贈与の翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告が必要
ただし、贈与税の申告時に相続時精算課税の適用を申請すると、特別控除2,500万円までの贈与には贈与税がかからず、2,500万円を超える部分については一律20%課税となる。
贈与税の評価額は相続税評価額が用いられるが、本問の場合、乙土地は相続税路線価で2,400万円(160u×150千円/1u)になるため、相続時精算課税の適用が適当と考えられる。

4.関与すべき専門職業家

固定資産の交換の特例の適用による納税額の変化等、具体的な税金の質問等に関しては、税理士が適当。 また、乙土地と新築する二世帯住宅における不動産の所有権の移転・保存登記については司法書士、甲土地の借地権と乙土地の等価交換に関する適正な土地取引額の算定には不動産鑑定士が適当。

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