問12 2017年1月基礎
問12 問題文
個人が契約する個人年金保険の課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 一時払変額個人年金保険(終身年金)を保険期間の初日から5年以内に解約し、解約差益が生じた場合、いわゆる金融類似商品として、その解約差益は源泉分離課税の対象となる。
2) 外貨建て変額個人年金保険(10年確定年金)を保険期間の初日から10年経過後に解約し、解約差益が生じた場合、解約差益のうち保険差益に相当する部分の金額は一時所得として所得税の課税対象となり、為替差益に相当する部分の金額は雑所得として所得税の課税対象となる。
3) 定額個人年金保険(保証期間付終身年金)の契約者(=保険料負担者)かつ年金受取人が、年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一括して受け取った場合、当該一時金は雑所得として所得税の課税対象となる。
4) 外貨建て変額個人年金保険(10年確定年金)の契約者(=保険料負担者)かつ被保険者が死亡し、その相続人に死亡保険金が外貨で支払われた場合、その死亡保険金について被保険者が死亡した日のTTM(対顧客電信仲値)により邦貨換算された金額が相続税の課税対象となる。
問12 解答・解説
個人の生命保険の税務に関する問題です。
1) は、不適切。一時払の養老保険や個人年金保険・変額個人年金などを契約から5年以内に解約した場合、金融類似商品として受取差益に20.315%の源泉分離課税となります。
ただし、金融類似商品の対象条件の一つとして、死亡保険金額が満期保険金額の一定倍率以下とされていますので、満期のない終身保険は該当しません。
従って、一時払でも終身年金を選択している場合は、5年以内に解約しても、解約返戻金は一時所得の収入金額として総合課税の対象です。
2) は、不適切。外貨建て個人年金保険の解約差益は、保険差益と為替差益を合わせて、一時所得として所得税の課税対象となります。
3) は、適切。保証期間付終身年金は、保証期間中は被保険者の生死に関係なく年金が受け取れ、保証期間経過後は生存している限り、年金を受け取ることができる保険です。 ただし、年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一時金として受け取ることも可能で、保証期間終了後も被保険者が生存している間は再び年金が受け取れるため、一括して受け取った一時金は雑所得となります(通常、個人年金の一時金は一時所得ですが、保証期間付終身年金の一時金は「将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」に該当しないため、雑所得とされています。)。
4) は、不適切。外貨建ての財産や、国外にある財産は、相続開始日のTTBレート(対顧客電信買相場)で円換算して評価します。
つまり、売値と買値の中間であるTTM(仲値)ではなく、顧客が外貨を円に換える際の為替レートであるTTBで評価するわけです。
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