問54 2017年1月応用

問54 問題文と解答・解説

問54 問題文

《設例》の〈X社の財務データ〉に基づいて、Mさんが、Aさんに対して説明した
以下の文章TおよびUの下線部(1)〜(3)のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。また、計算にあたっては、すべて期末の数値を使用すること。

T 「X社の平成28年3月期の当期純利益は大幅に減少して前期比約6割となっていますが、経常利益は微減であるため、特別損失の金額が大きいことが推察されます。
そのため、(1)平成28年3月期の自己資本当期純利益率は3.93%であり、前期と比べて大きく悪化しています。一方、特別損益の影響を受けない(2)総資産経常利益率については、平成28年3月期は4.98%であり、前期とほぼ変わりません
なお、総資産経常利益率は、売上高経常利益率と総資産回転率の2指標に分解することができます。この(3)売上高経常利益率と総資産回転率の2指標を前期と比較すると、前者は悪化し、後者は良化しています

U 「株主への利益還元の度合いを測る指標として、配当性向や純資産配当率があります。X社では、増配と大幅な減益の影響を受け、(1)配当性向について、平成27年3月期は33.64%でしたが、平成28年3月期は62.50%となっています。一方、(2)純資産配当率については、平成27年3月期は1.76%、平成28年3月期は2.00%となっています
また、企業の内部留保と利益率から今後の成長率を予測する際に用いる指標である(3)サスティナブル成長率は、『ROA×(1−配当性向)』の算式で算出することができます
なお、これらの指標は相対的なものであり、同業他社の数値や業界平均値などと比較しながら検討することが大切です」

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問54 解答・解説

複数の財務指標による指標値算出に関する問題です。

T
(1)は、不適切。自己資本当期純利益率=自己資本利益率(ROE)=当期純利益/自己資本×100 です。
自己資本は純資産から非支配株主持分(少数株主持分、被支配株主持分)と新株予約権を差し引いたものです。
27年3月期のX社の自己資本当期純利益率=110,000÷(2,100,000-319,000-3,000)×100≒6.19%
28年3月期のX社の自己資本当期純利益率=64,000÷(2,000,000-325,400-2,600)×100≒3.83%
よって、平成28年3月期の自己資本当期純利益率は3.83%で、前期比で大きく悪化しています。

(2)は、適切。総資本は資本と負債の合計ですから、総資産と値は同じ(総資本=総資産)なため、
財務データ上の「資産合計」=総資本=総資産 ということになります。

総資産(総資本)経常利益率は、経常利益に対する資本効率を示す指標で、ROA(使用総資本事業利益率)の代用指標としても用いられます。
計算式は、総資産経常利益率=経常利益/総資産×100です。
27年3月期の]社の総資産経常利益率=275,000÷5,520,000×100≒4.98%
28年3月期の]社の総資産経常利益率=274,000÷5,500,000×100≒4.98%
よって、前期比で総資産経常利益率はほぼ変わりません。

(3)は、適切。総資産(総資本)経常利益率は、売上高経常利益率と総資産回転率に分解できます。
売上高経常利益率=経常利益/売上高×100
総資産回転率=売上高/総資産 ですので、
総資産(総資本)経常利益率=売上高経常利益率×総資産回転率 となるわけです。
27年3月期の]社の売上高経常利益率=275,000÷3,900,000×100=7.05%
28年3月期の]社の売上高経常利益率=274,000÷4,000,000×100=6.85%
27年3月期の]社の総資産回転率=3,900,000÷5,520,000=0.706≒0.71回
28年3月期の]社の総資産回転率=4,000,000÷5,500,000=0.727≒0.72回
よって、それぞれの前期比は、売上高経常利益率は悪化、総資産回転率は良化しています。

U
(1)は、適切。配当性向=1株当たり配当額÷1株当たり当期純利益×100(%)ですが、配当金支払額÷当期純利益×100(%) でも表せます。当期純利益のうち配当に回した割合を示しているため、配当性向が高い銘柄ほど、株主に対する利益還元の割合が高いと考えることができます。
27年3月期の]社の配当性向=37,000÷110,000×100≒33.64%
28年3月期の]社の配当性向=40,000÷64,000×100=62.50%

(2)は、適切。純資産配当率(DOE)=配当÷純資産×100(%)で、純資産に占める配当の比率を示すため、DOEが高いほど、株主から預かった資本に対する利益還元の割合が高いと考えることができます。
27年3月期の]社のDOE=37,000÷2,100,000×100≒1.76%
28年3月期の]社のDOE=40,000÷2,000,000×100=2.00%

(3)は、不適切。サスティナブル成長率は、企業の今後の成長率を予測する指標で、以下の数式で表せます。
サスティナブル成長率=ROE×内部留保=ROE×(1−配当性向)
※ROEは自己資本に対する利益を表し、ROAは外部資金も含めた総資産に対する利益を表します。

第2問          問55

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