問59 2017年9月応用
問59 問題文
法人税に関する以下の文章TおよびUの下線部(1)〜(3)のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。
〈法人税の確定申告・中間申告〉
T 「 法人税の申告には中間申告と確定申告がある。法人の事業年度が6カ月を超える場合、法人は、所轄税務署長に対し、原則として、(1)事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内に中間申告書を提出し、事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に確定申告書を提出しなければならない。
法人税の中間申告には、納付額を、(2)前事業年度の確定法人税額を前事業年度の月数で除した値に6を乗じて算出する方法(予定申告)と、当該事業年度開始の日以後6カ月の期間を一事業年度とみなして仮決算を行い、それに基づいて算出する方法がある。ただし、仮決算による中間申告税額が予定申告税額を超える場合や、(3)予定申告税額が20万円以下である場合には、仮決算による中間申告をすることはできない」
〈所得拡大促進税制〉
U 「 平成29年度税制改正により、平成29年4月1日以後に開始する事業年度から、所得拡大促進税制の適用要件が見直された。具体的には、中小企業者等以外の法人について、従来、『平均給与等支給額(継続雇用者1人当たりの月平均給与額)が前事業年度の平均給与等支給額を超えていること』とされていた適用要件が、『(1)平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額と比較して2%以上増加していること』に変更された。
また、この新たな要件を満たした法人に対する税額控除額が拡充された。中小企業者等以外の法人については、雇用者給与等支給額の基準事業年度からの増加額の10%相当額に、基準事業年度からの増加額と前事業年度からの増加額のいずれか少ない金額の2%相当額を加えた金額が税額控除額となる。一方、中小企業者等については、(2)雇用者給与等支給額の基準事業年度からの増加額の10%相当額に、基準事業年度からの増加額と前事業年度からの増加額のいずれか少ない金額の10%相当額を加えた金額が税額控除額となる。
なお、当該税額控除額は、従来どおり、(3)適用を受けようとする事業年度の法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額が限度となる」
問59 解答・解説
法人税の確定申告・中間申告、所得拡大促進税制に関する問題です。
T
(1)は、適切。事業年度が6ヶ月超の法人の場合、法人税の中間申告書の提出期限は、事業年度開始日以降6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内で、法人税の確定申告書の提出期限は、各事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。
(2)は、適切。法人税の中間申告は、事業年度の中間で行う納税手続のことで、前期実績に基づく予定申告と、仮決算に基づく中間申告という2つの方法があります。
前期実績に基づく予定申告では、1ヶ月当たりの前期分法人税×6ヶ月を納付(前事業年度が1年なら、前期分の法人税額の半額)し、仮決算に基づく中間申告では、今期開始から6ヶ月を1事業年度とみなした税額を納付します。
いずれの方法も、まずは一年の折り返し地点で税金を先払いさせるという点では同じですね。
(3)は、不適切。法人税の中間申告をする際に、それぞれの申告税額が、仮決算>前期実績となる場合や、前期実績が10万円以下の場合は、仮決算の中間申告はできません。
(原則は前期実績に基づく予定申告で行う、ということですね。)
U
(1)は、適切。所得拡大促進税制を資本金1億円超の大企業が受けるには、平均給与額が前事業年度より2%増加していることが必要です(以前は「平均給与額が前事業年度を超えていること」が条件でしたが、平成29年度税制改正により、大企業については具体的な基準が定められました)。
(2)は、不適切。所得拡大促進税制を資本金1億円未満の中小企業が受ける際、前事業年度と比較した賃上げ率が2%を超えると、「基準事業年度と比較した給与の増額分の10%+基準事業年度または前事業年度と比較した給与の増額分(いずれか少ない方)×12%」を法人税額から控除できます(2%未満の場合は、基準事業年度と比較した増額分の10%のみ)。
(3)は、適切。所得拡大促進税制は、給与等の支給増加額の10〜22%を法人税額から控除できる制度で、増加額は適用年度の給与等の支給額から基準となる年度の給与等の支給額を差し引いて算出しますが、資本金・出資金1億円超の大企業は法人税の10%、1億円以下の中小企業等は法人税の20%相当額が税額控除の上限です。
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