問63 2018年1月応用
問63 問題文
《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、端数処理は、計算過程において1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年配当金額は10銭未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年利益金額は円未満を切り捨て、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。
なお、X社株式の類似業種比準価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、できるだけ低い価額となる方法を選択するものとする。
問63 解答・解説
非上場株式会社の類似業種比準方式による株価算定に関する問題です。
1株当たりの類似業種比準価額について、数式は以下の通りです。
株価=類似業種の株価×{(a/A+b/B+c/C)/3}×乗数×1株当たりの資本金額/50円
※a、b、c…評価会社の1株当りの配当金額、利益金額、純資産価額(簿価)
※A、B、C…類似業種の1株当りの配当金額、利益金額、純資産価額(簿価)
※乗数は、大会社は0.7、中会社は0.6、小会社は0.5
※類似業種の株価は、評価する月・前月・前々月・前年・前2年間の各平均のうち最も小さい金額。
平成29年度税制改正では、非上場株式の相続税評価額を算定する際、比準要素である配当・利益・簿価純資産の比重が1:3:1から1:1:1になり(b/Bを3倍せず、比準要素の合計を3で割る)、類似業種の株価に評価前2年間の平均が追加されるなど、業績好調な会社には有利な反面、内部留保の多い会社にとっては不利な評価額となっています。
問題文では「財産評価基本通達上の規模区分は「中会社」」という記述がありますので、乗数は0.6となります。
次に、「1株(50円)当たりの年配当金額:□□□円」となっていますが、年配当金額は、直近2年分の配当金の平均値を出し、それを発行済株式総数で除すことにより、1株当たりの年配当金額を求めます。
なお、直近2年分の配当金の平均値を求める際、記念配当や特別配当は除きます。
ただし、「1株(50円)当たりの年配当金額」は、1株当たりの資本金を50円とみなした場合の年配当金額です。
X社の資本金額は8,000万円ですので、これを50円で除すと、1株(50円)当たりの発行済株式総数が算出できます。
1株(50円)当たりの発行済株式総数=8,000万円÷50円=160万株
問題文での直近2年分の配当金の平均値は、
{(直前期の配当−記念配当)+直前々期の配当}÷2で表せますので、
{(680万円−120万円)+528万円}÷2=544万円
1株(50円)当たりの年配当金額=544万円÷160万株=3.4円
次に、「1株(50円)当たりの年利益金額」は、1株当たりの資本金を50円とみなした場合の年利益金額です。数式は以下の通り。
1株(50円)当たりの年利益額=所得金額÷発行済株式総数
ただし、年配当金額が直前2年分の配当の平均値から算出するのに対し、年利益金額は、直前1年分の所得か、直前2年分の所得の平均値かいずれかを選択できます。
(普通は所得が低い方が株の評価額も下がり、相続税も下がるので、低い方を選びます。)
X社の直前1年分の所得金額:3,720万円
X社の直前2年分の所得金額平均:(3,720万円+3,370万円)÷2=3,545万円
よって、直前2年分の所得金額平均3,545万円を用います。
1株当たり50円とみなした場合の発行済株式総数は、前述通り160万株です。
1株(50円)当たりの年利益額=3,545万円÷160万株=22.1… →22円(円未満切捨て)
最後に、問題文では、資本金額8,000万円で、発行済株式総数160,000株(16万株)ですから、
1株当りの資本金額=8,000万円÷16万株=500円 です。
よって、類似業種比準方式の株価は、
株価=235円×{(3.4/2.9+22/18+234/180)/3}×0.6×500円/50円
=235円×(1.17+1.22+1.30)/3×0.6×500円/50円 ←小数点第2位未満切捨て
=235円×1.23×0.6×10
=173.4 円×10 ←10銭未満切捨て
=1,734 円
以上により正解は、1,734(円)
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