問9 2019年1月基礎
問9 問題文
生命保険会社の健全性・収益性に関する指標等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 保有契約高は、保険会社が保障する金額の総合計額であり、個人年金保険については、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資の額と年金支払開始後契約の責任準備金の額の合計額となる。
2) 基礎利益は、保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であり、経常利益から有価証券売却損益などの「キャピタル損益」と危険準備金繰入額などの「臨時損益」を除いて算出される。
3) ソルベンシー・マージン比率は、保険会社が有する保険金等の支払余力を表す指標であり、内部留保や有価証券含み損益などの合計である「ソルベンシー・マージン総額」を保険リスクや予定利率リスクなどを数値化した「リスクの合計額」の2倍相当額で除して算出される。
4) EV(エンベディッド・バリュー)は、保険会社の企業価値を表す指標であり、貸借対照表などから計算される「修正純資産」と保有契約に基づき計算される「保有契約価値」を合計して算出される。
問9 解答・解説
生命保険会社の健全性・収益性に関する指標に関する問題です。
1) は、適切。保険会社の業績を示す基本的な保険指標の1つである保有契約高は、保険会社が保障する金額の総合計額であり、個人年金保険の場合は、年金支払開始前契約の年金原資額と、年金支払開始後契約の責任準備金の合計です。
※年金原資額:年金支払開始時点に換算した将来支払う年金総額
※責任準備金:将来の年金支払いに備えて積み立てている準備金
2) は、適切。基礎利益は、生命保険会社の本業の利益を表す指標で、経常利益からキャピタル損益(有価証券売却損益等)と臨時損益(危険準備金繰入額等)を除いて算出されます。
3) は、不適切。ソルベンシー・マージン比率とは、大規模災害等の通常の予測を超えて発生する損失に対し、保険会社が有する支払余力を示す指標で、ソルベンシー・マージン総額(内部留保と有価証券含み損益などの合計=支払余力)を、リスクの合計額(保険リスクや予定利率リスク等を数値化した通常の予測を超える危険値)の2分の1で除して算出されます。
ソルベンシー・マージン比率(%)=ソルベンシー・マージン総額/(リスクの合計×1/2)×100
4) は、適切。エンベディッド・バリュー(EV)は、生命保険会社の株主に帰属する企業価値をあらわす指標で、貸借対照表等から計算される「修正純資産」と、保有契約に基づき計算される「保有契約価値」を合計して算出されます。
よって正解は、3
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