問65 2019年1月応用

問65 問題文と解答・解説

問65 問題文

平成30年度税制改正により創設された「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」および「遺留分に関する民法の特例」に関する以下の文章IおよびIIの下線部(1)〜(3)のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。

〈非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例〉
I 「 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」(以下、「納税猶予特例」という)の適用を受けるためには、認定経営革新等支援機関の指導および助言を受けて特例承継計画を作成し、平成35年(2023年)3月31日までに都道府県知事の確認を受け、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく認定を受けなければならない。この特例承継計画には、(1)後継者、後継者が非上場株式等を取得するまでの期間における経営の計画および後継者が非上場株式等を承継した後5年間の経営計画を定める必要がある
仮に、Aさんが所有するX社株式10万株のすべてを長男Cさんに贈与により移転し、納税猶予特例の適用を受けた場合、(2)長男Cさんは、原則として、Aさんの死亡の日まで、贈与を受けたX社株式のうち7万株に対応する贈与税額の全額の納税が猶予される
また、長男Cさんが、AさんからのX社株式の贈与について納税猶予特例の適用を受けた後、妻Bさんが所有するX社株式の贈与を受けた場合、(3)贈与の時において長男CさんがX社の代表権を有し、妻BさんがX社の代表権を有していなければ、妻Bさんから贈与を受けたX社株式についても納税猶予特例の適用を受けることができる

〈遺留分に関する民法の特例〉
II 長男Cさんは、Aさんから贈与を受けるX社株式について「遺留分に関する民法の特例」(以下、「民法特例」という)の適用を受けることにより、(1)贈与を受けたX社株式について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこと、または遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を合意の時における価額に固定することができる
また、長男Cさんが贈与を受けたX社株式について除外合意、固定合意の双方またはいずれかを行う際には、それと併せて、(2)長男CさんがAさんから贈与を受けたX社株式以外の財産や長男Cさん以外の推定相続人がAさんから贈与を受けた財産について、除外合意や固定合意を行うことができる
なお、長男Cさんが民法特例の適用を受けるためには、(3)妻Bさん、長女Dさんおよび二男Eさんと書面によって合意し、経済産業大臣の確認を受けたうえで、家庭裁判所の許可を受ける必要がある

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問65 解答・解説

非上場株式の贈与税の納税猶予・免除、遺留分に関する民法の特例に関する問題です。

〈非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例〉
非上場株式等についての贈与税の納税猶予・免除を受けるには、会社・後継者(経営承継受贈者)それぞれの適用要件を満たした上で平成35年3月31日までに特例承継計画を都道府県知事に提出して確認を受け、経営承継円滑化法に基づく都道府県知事の認定を受けることが必要です。
ただし、非上場株式の贈与税の納税猶予・免除における特例承継計画には、会社概要や先代経営者・後継者の氏名、後継者の承継時までの経営計画と、承継後5年間の経営計画を定めることが必要です。

また、平成30年度税制改正により、非上場株式の贈与税の納税猶予・免除の特例は、適用対象の株式数の上限が撤廃され全株式が適用対象となっています(以前は後継者が贈与前から保有していたものを含めて発行済議決権株式の3分の2までが上限でした)。
つまり、問題文のように10万株を贈与された場合には、贈与された全株式に対応する贈与税全額の納税が猶予されるわけです。

さらに、非上場株式等についての贈与税の納税猶予・免除は、贈与者は先代経営者に限定されず、親族外や過去に会社の代表権を有したことがない者を含む複数の株主からの贈与に対しても適用可能です(以前は会社の代表権のある、議決権の過半数を所有する株主(つまり先代経営者)だけが対象でした)。

〈遺留分に関する民法の特例〉
II 遺留分に関する民法の特例を受けると、後継者に生前贈与された自社株式を、遺留分算定基礎財産価額に算入しないとする合意(除外合意)や、後継者に生前贈与された自社株式について、遺留分算定基礎財産価額に算入する価格を固定する合意(固定合意)により、円滑な事業承継・運営や遺産分割をすることが可能です。

また、遺留分に関する民法の特例では、除外合意や固定合意において、後継者以外の推定相続人が旧代表者から贈与された自社株式や、後継者が旧代表者から贈与された自社株式以外の財産について、遺留分算定基礎財産価額に算入しないと合意することも可能です(固定合意は不可)。

なお、遺留分に関する民法の特例を受けるには、推定相続人全員の合意を得た上で、書面により一定の内容を定め、後継者が合意日から1ヶ月以内に経済産業大臣の確認と、その確認日から1ヶ月以内に家庭裁判所に申立てを行い、許可を受ける必要があります。

以上により正解は、
I :(2) 贈与を受けたX社株式のすべてに対応する贈与税額の全額の納税が猶予される。
II:(2) 除外合意を行うことができる(固定合意を行うことはできない)。

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