問5 2019年5月基礎
問5 問題文
Aさん(男性。1959年6月3日生まれ)が60歳到達月に老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰上げ支給の請求を行った場合、その年金額の合計額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、Aさんは、繰上げ支給を受けなかった場合、下記の〈Aさんに対する老齢給付の額〉の年金額を受給できるものとする。また、記載のない事項については考慮しないものとする。
〈Aさんに対する老齢給付の額〉
・64歳時の特別支給の老齢厚生年金の額
1,120,000円(報酬比例部分の額)
・65歳時の老齢基礎年金の額
779,300円
・65歳時の老齢厚生年金の額
1,510,500円
(報酬比例部分の額:1,120,000円)
(経過的加算額 :700円)
(配偶者加給年金額:389,800円)
1) 1,330,000円
2) 1,397,200円
3) 1,444,000円
4) 1,719,800円
問5 解答・解説
年金の繰上げに関する問題です。
まず、支給繰上げをした場合、年金は1カ月当たり0.5%減額されますので、65歳からの年金を、5年繰上げて60歳から受給することで、減額率は最大30%となります。
繰上げによる減額率=5年×12月×0.5%=30%
繰上げ支給額=本来の年金支給額×(1−0.5%×請求月から支給開始年齢到達月の前月までの月数)
よってAさんの老齢基礎年金の繰上げ支給額は、
779,300円×(1−30%)=545,510円
次に、65歳前の老齢厚生年金は、「特別支給の老齢厚生年金」として、定額部分と報酬比例部分があり、1959(昭和34)年4月2日〜1961(昭和36)年4月1日生まれの男性は、64歳〜65歳になるまで報酬比例部分のみ支給されます。
よって、1959年6月3日生まれの男性であるAさんには、64歳から特別支給の老齢厚生年金が支給されます。
特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢が61歳〜64歳で、かつ、受給要件を満たしている60歳以上の者は、支給開始年齢到達前に老齢厚生年金の繰上げ支給を請求可能ですが、年金額は月0.5%減額で、老齢基礎年金の同時繰上げが必要です。
よって本問の場合、64歳からの年金を、4年繰上げて60歳から受給することで、減額率は24%となります。
繰上げによる減額率=4年×12月×0.5%=24%
よって減額される報酬比例部分の支給額は、1,120,000円×(1−24%)=851,200円
なお、特別支給の老齢厚生年金を繰上げ受給をする場合、報酬比例部分と経過的加算が繰上げ対象となりますが、加給年金は65歳到達月の翌月から加算されるため、繰上げの対象外です。
経過的加算の場合、本来加算されるのは65歳時の老齢厚生年金からですので、5年繰上げて60歳から受給することで、減額率は30%となります。
繰上げによる減額率=5年×12月×0.5%=30%
よって減額される経過的加算の支給額は、700円×(1−30%)=490円
よってAさんの特別支給の老齢厚生年金の繰上げ支給額は、
851,200円+490円=851,690円
従って、Aさんが受給する、老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金の繰上げ支給額の合計は、
545,510円+851,690円=1,397,200円
よって正解は、2
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