問56 2019年5月応用
問56 問題文
Mさんは、Aさんに対して、上場株式の配当や譲渡に係る税金について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)〜(8)に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、X社株式以外の取引や手数料等は考慮しないものとする。
〈上場株式の配当の課税上の取扱い〉
I 「 Aさんが特定口座でX社株式を購入し、配当を受け取る場合、原則として、その支払の際に、( 1 )%の税率による所得税および復興特別所得税と、( 2 )%の税率による住民税が源泉徴収等されます。その配当所得については、確定申告不要制度、( 3 )課税、総合課税のいずれかを選択することになり、総合課税の対象とした配当所得については、一定のものを除き、配当控除の適用を受けることができます。
例えば、配当所得の金額が30万円で課税総所得金額等が1,000万円以下である場合、配当控除の控除額は所得税で( 4 )円、住民税で( 5 )円となり、その金額を納付すべき税額の計算上控除することができます」
〈上場株式の譲渡益の課税上の取扱い〉
II 「 Aさんが特定口座でX社株式を株価4,800円で1,000株購入し、同年中に株価5,000円で全株売却した場合、譲渡益である20万円から、所得税および復興特別所得税、住民税の合計で( 6 )円が源泉徴収等されます。なお、譲渡所得の金額の計算上、取得費は、その購入価額となりますが、同一銘柄の上場株式を2回以上にわたって購入している場合には、( 7 )法に準ずる方法によって算出した1株当たりの金額に譲渡株数を乗じて得た金額が、その取得費となります。
他方、上場株式を売却して譲渡損失が生じた場合は、確定申告をすることにより、その年分の他の上場株式に係る譲渡所得のほか、( 3 )課税を選択した上場株式の配当等や特定公社債等の利子等と損益通算することができ、損益通算してもなお控除しきれない譲渡損失の金額については、翌年以後( 8 )年間にわたり、上場株式に係る譲渡所得等の金額から繰越控除することができます」
問56 解答・解説
上場株式の税務に関する問題です。
〈上場株式の配当の課税上の取扱い〉
T上場株式の配当金は、所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%の合わせて20.315%が源泉徴収(特別徴収)されます。
上場株式の配当金は、原則として総合課税の対象ですが、申告分離課税や確定申告不要制度も選択できます(大口株主(発行済株式の総数等の3%以上保有)を除く)。
また、上場株式の配当金は、総合課税を選択すると、確定申告時に一定額を配当控除として税額控除を受けることができます。
<課税総所得金額等が1,000万円以下の場合 >
所得税の配当控除額=配当所得額×10%
住民税の配当控除額=配当所得額×2.8%。
<課税総所得金額等が1,000万円超の場合>
所得税の配当控除額=(1,000万円超部分に含まれる配当所得額)×5%+その他の配当所得×10%
住民税の配当控除額=(1,000万円超部分に含まれる配当所得額)×1.4%+その他の配当所得×2.8%
本問の場合、課税総所得金額等が1,000万円以下、配当所得30万円ですから、
所得税の配当控除額=30万円×10%=3万円、
住民税の配当控除額=30万円×2.8%=8,400円 となります。
〈上場株式の譲渡益の課税上の取扱い〉
II 源泉徴収有りの株式の特定口座で取引する場合、株式の売却代金や配当金から、所得税・復興特別所得税と住民税を合わせて20.315%が源泉徴収されます。
よって、譲渡益が20万円の場合、源泉徴収されるのは、20万円×20.315%=40,630円 となります。
また、同一銘柄の株式を2回以上購入し、その後一部を譲渡した場合の取得費は、総平均法に準ずる方法として、「加重平均した1株当たりの価額×売却株式数」で計算します(総平均法に準ずる方法=加重平均)。
なお、上場株式の譲渡損失は、同一年の上場株式の譲渡所得や申告分離課税を選択した配当所得等と損益通算できますが、それでも損失が上回る場合は、確定申告することで翌年以降3年間その損失額を繰り越せます。
以上により正解は、(1)15.315(%) (2)5(%) (3)申告分離(課税)
(4)30,000(円) (5)8,400(円) (6)40,630(円) (7)総平均(法) (8)3(年間)
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