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2019年6月16日実技part2

2019年6月16日実技part2

part2 問題文

●設 例●
会社員のAさん(60歳)は、大阪府内の持家で妻(58歳)と2人で暮らしている。Aさんの母親Bさん(90歳)は、東京都内の自宅マンション(以下、「自宅」という)で1人暮らしをしている。現時点において、母親Bさんの意思能力に問題はないと思われるが、足が不自由になり、公的介護サービスを受けながら生活をしている。Aさんは、今後のことを考え、自宅を処分して介護付き有料老人ホームに入居させたほうがよいのではないかと考えている。母親Bさんは、10年前に他界した夫(Aさんの父親)から現在の自宅および賃貸アパートを相続により取得している。なお、母親Bさんの相続について、Aさん以外の相続人はいない。また、自宅および賃貸アパートに係る借入金はない。
Aさんは、東京にある知り合いの不動産会社X社のC社長に自宅の売却について相談したところ、C社長からは自宅の売却に関して、以下のような懸念を持っていると聞かされた。

【C社長の発言】
「先日、お母様にご挨拶させていただきましたが、売却の方針を理解されているご様子でした。通常、決済時には司法書士が売却の意思確認を直接売主にお会いして確認することになっているのですが、万一、決済時に意思表示ができない場合、あるいは売却意思そのものが曖昧である場合などは決済ができないという事態もありえます。そういう事態を回避できる方法を考えておきましょう」

【母親Bさんの所有財産および収入等の概要】
(1)自宅マンションの概要
・RC造8階建ての5階、南向き、2LDK(80u)、築16年
・売却予定額:9,500万円
 購入価格 :9,700万円(土地2,350万円、建物7,350万円)
・管理費25,000円/修繕積立金10,000円/その他費用2,000円(月額)
・償却費の計算式:建物購入代金×0.9×償却率(0.015)×経過年数

(2)賃貸アパート
・土地300u、延べ床面積200u(1Kタイプ計6戸)、築27年
・年間の賃料収入は450万円

(3)金融資産等
・預貯金3,000万円
・年金収入月額20万円

Aさんは、不動産会社のC社長の懸念に対して、どのように対応したらよいか、FPであるあなたに相談することにした。

(FPへの質問事項)
1.Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか。以下の(1)および(2)に整理して説明してください。
(1)Aさんから直接聞いて確認する情報
(2)FPであるあなた自身が調べて確認する情報
2.意思能力に不安のある高齢者の不動産取引・不動産管理に関して、事前に検討できる方法(制度・手法等)を説明してください。
3.母親Bさんが自宅マンションを売却した場合の課税上の取扱いを説明してください。
4.本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

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part2 ポイント解説

1. アドバイスに当たって必要な情報

(1) Aさんから直接聞いて確認する情報
Aさんは、Bさんに介護付き有料老人ホームへの入居を勧めているが、Bさん自身の意向(Aさんとの同居希望の有無)も確認したい。
家族の問題でもあるため、まずはAさんからBさんに確認を促す。

(2) FP自身が調べて確認する情報
顧客が関知していない状況や、忘れている事項がある可能性もあるため、物件の登記簿と、現地の確認を行うことで、所有権・抵当権等の権利状況や土地の物理的状況を、実際に確認することが必要。
特に、本問では自宅と賃貸アパートは10年前に夫から相続したものであるため、売却時には相続した母親Bさん名義にしておく必要があることから、必ず登記簿上の名義の確認が必要。

2. 意思能力に不安のある高齢者の不動産取引・不動産管理に関して、事前に検討できる方法(制度・手法等)

母親Bさんの財産管理の方法として、成年後見制度や後見制度支援信託の利用が挙げられる。
成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した場合に、財産管理や契約締結の支援を行う制度
法定後見制度と任意後見制度の2つがあり、法定後見制度では家庭裁判所で後見人を選任するのに対し、任意後見制度では本人の判断能力が十分なうちに、あらかじめ後見人を選任し、公正証書で任意後見契約を締結しておくことができる。

後見制度支援信託は、被後見人にとって日常生活で必要な分を除いた金銭を、信託銀行等に信託する仕組みで、被後見人の生活の安定を目的に、信託財産を金銭に限定して設定される。後見制度支援信託は、信託契約の締結や信託財産の払い戻し、信託契約の変更・解約には、家庭裁判所の指示書が必要になるため、後見人による勝手な払戻しや解約を防ぐ効果が期待できる。

本問の場合、自宅売却における意思確認がスムーズに進むよう、自宅売却に関してはAさんを後見人とした手続きを進め、老人ホーム入居後にAさんに万一のことがあっても母親Bさんの財産管理が安定するよう、後見制度支援信託も併せて活用していくことを提案する。

3. 母親Bさんが自宅マンションを売却した場合の課税上の取扱い

本問の場合、自宅の購入価格9,700万円に対して売却予定額9,500万円であるが、建物の減価償却を考慮すると、売却時の建物の取得費は以下の通りとなる。

減価償却費=建物購入代金×0.9×償却率×経過年数
     =7,350万円×0.9×0.015×16年
     =1,587.6万円
取得費=購入価額−減価償却費
   =7,350万円−1,587.6万円
   =5,762.4万円

従って、建物の減価償却分を考慮すると、譲渡所得の計算上は自宅の取得費が土地2,350万円+建物5,762.4万円=8,112.4万円となり、売却額9,500万円との差額で1,300万円程度の譲渡所得が発生する可能性がある。

ただし、居住用財産の譲渡所得の特例のうち、3,000万円特別控除の適用により、税負担は回避できるものと思われる。

4. 関与すべき専門職業家

自宅の売却による譲渡損失の損益通算・繰越控除といった具体的な税金の質問等に関しては税理士、自宅の譲渡の際の土地・建物の所有権移転登記は、司法書士、測量結果に基づいた適正な不動産価格の算定は、不動産鑑定士が適当。
また、成年後見人の選定や任意後見契約については、司法書士や弁護士、土地売却における宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、不動産業者やデベロッパーが適当。

2019年6月16日part1          目次
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