問28 2019年9月基礎
問28 問題文
居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 納税者が所有する生活に通常必要な資産について災害、盗難または詐欺によって一定額以上の損失が生じた場合、確定申告をすることにより、納税者は雑損控除の適用を受けることができる。
2) 納税者の配偶者が受け取っている公的年金から特別徴収された介護保険料は、納税者と配偶者が生計を一にしている場合、納税者の社会保険料控除の対象とすることができる。
3) 納税者が、特定新規中小企業者に該当する一定の株式会社により発行される株式を、その発行の際に払込みにより取得した場合、その控除対象特定新規株式の取得に要した金額は、1,000万円を限度として寄附金控除の対象となる。
4) 納税者の扶養親族に、給与所得等の勤労による所得を有する学校等の学生であり、かつ、その合計所得金額が65万円以下である者がいる場合、確定申告をすることにより、納税者は勤労学生控除の適用を受けることができる。
問28 解答・解説
所得税の所得控除に関する問題です。
1) は、不適切。雑損控除の適用を受けると、災害や盗難にあった場合に、その損失額を確定申告することで、損失額の一部の金額を課税所得から控除してもらえますが、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除の対象外です。
2) は、不適切。65歳になると公的介護保険の第1号被保険者となるため、それまで扶養されていて第2号被保険者としての保険料負担がなかった人も、年金から介護保険料が源泉徴収されるようになりますが、保険料が年金から源泉徴収される場合、その人自身の社会保険料控除の対象となるため、配偶者や親族等の控除対象とすることはできません。
※国民年金の保険料については、同一生計の配偶者や親族の保険料を代わりに支払うと、支払った人の控除にできます。
3) は、適切。特定新規中小会社(株式会社)の株式は、取得金額1,000万円まで「寄附金控除」の対象となります。
これはいわゆる「エンジェル税制」で、ベンチャー企業などに出資した場合、1,000万円までが寄附金控除として所得控除され、税負担が軽減されるというものです(エンジェル=創業間もない企業に対し資金を供給する富裕な個人投資家)。
4) は、不適切。所得税の勤労学生控除は、年間の合計所得金額が65万円以下(給与収入だけなら130万円以下)の働いている学生であれば適用され、控除額は27万円です(給与所得等の勤労に基づく所得以外もある場合は、その所得が10万円以下であることも必要)。ただし、学生本人のみ適用されるため、扶養している納税者には適用されず、勤労学生控除を受けると扶養控除の対象外となることから、扶養している納税者の税負担が増えてしまうデメリットがあります。
よって正解は、3
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