問65 2020年9月応用

問65 問題文と解答・解説

問65 問題文

「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」および「遺留分に関する民法の特例」に関する以下の文章の空欄(1)〜(8)に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。

〈非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例〉
I 「 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」(以下、「本特例」という)の適用を受けるためには、その対象会社につき、所定の特例承継計画を策定して都道府県知事に提出し、その確認を受け、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく認定を受けなければならない。
本特例の適用を受ける後継者は、贈与の日まで引き続き( 1 )年以上にわたり対象会社の役員等の地位を有し、かつ、贈与の時において、後継者および後継者と特別の関係がある者で総議決権数の( 2 )%超の議決権数を保有することとなることなどの要件を満たす必要がある。なお、後継者が複数いる場合、所定の要件を満たせば、最大( 3 )人まで本特例の適用を受けることができる。
仮に、Aさんが所有するX社株式13万株のすべてを長男Cさんが贈与により取得し、本特例の適用を受けた場合、長男Cさんは、贈与により取得したX社株式に対応する贈与税額の( 4 )の納税猶予を受けることができる。
なお、本特例の適用を受ける受贈者が贈与者の推定相続人以外の者であっても、その年の1月1日において受贈者が20歳以上であり、かつ、贈与者が60歳以上である場合には、納税が猶予される贈与税額の計算上、受贈者は( 5 )課税を選択することができる。

〈遺留分に関する民法の特例〉
II 遺留分とは、相続財産の一定割合を一定の範囲の相続人に留保するものである。仮に、Aさんの相続が開始し、遺留分を算定するための財産の価額が4億円である場合、長女Dさんの遺留分の額は( 6 )万円となる。この遺留分を算定するための財産の価額には、被相続人が相続人に対して生前に行った贈与については、特別受益に該当する贈与で、かつ、原則として相続開始前( 7 )年以内にされたものの価額が算入される。
ただし、長男CさんがAさんから贈与を受けるX社株式について、「遺留分に関する民法の特例」(以下、「本特例」という)の適用を受けることにより、将来のAさんの相続開始時において、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない、または遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を( 8 )時における価額に固定することができる。なお、本特例の適用を受けるにあたっては、長男Cさん、妻Bさんおよび長女Dさんが書面によって合意し、経済産業大臣の確認を受けたうえで、家庭裁判所の許可を受ける必要がある。

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問65 解答・解説

非上場株式の贈与税の納税猶予・免除、遺留分に関する民法の特例に関する問題です。

〈非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例〉
I 贈与税の納税猶予・免除の特例を受ける際、後継者の要件は、事業を承継する会社の代表者であること、20歳以上、役員就任期間が3年以上等です。
また、総議決権数の50%超の議決権を持ち、親族間で最も多くの議決権を持っていることが必要です。
つまり、お飾りの後継者ではなく、きちんと議決権を集中させた事業承継が行われていることが必要なわけです。
なお、親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への承継も適用対象です。

贈与税の納税猶予・免除の特例は、適用対象の全株式が適用対象であり、納税猶予割合も100%ですので、本問のように先代経営者が所有する全株式を贈与された場合、特例適用により贈与税全額が納税猶予されます。
また、相続時精算課税の適用条件は、贈与年の1月1日時点で、贈与者は60歳以上の父母・祖父母、受贈者は推定相続人である20歳以上の子・孫であることですが、贈与税の納税猶予・免除の特例を受ける場合には、贈与年の1月1日時点で受贈者は20歳以上、かつ贈与者が60歳以上であれば、受贈者が推定相続人以外であっても相続時精算課税の対象です。

〈遺留分に関する民法の特例〉
II 遺留分とは、相続人が最低限受け取れる財産で、被相続人の兄弟姉妹以外に認められるものです。
その割合は、相続人が直系尊属のみ場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は法定相続分の2分の1
配偶者と子が相続人のとき、配偶者の相続分は2分の1、子の相続分は2分の1(子の人数分で分割)ですから、長女Dさんの遺留分は、法定相続分1/4の2分の1である8分の1です。
よって遺留分の額は、4億円×1/8=5,000万円 です。

また、特別受益は、相続人が被相続人から婚姻や養子縁組、生計のために贈与された財産で、原則として相続開始前10年以内のものについては、遺留分算定の基礎財産額に算入されます。つまり、生前に特別に財産を贈与されていた人は、その分遺留分として主張できる額は少なくなります。
以前は、特別受益については民法上遺留分の対象に含める時期や対象が限定されてはいませんでしたが、2019年7月1日以後の相続では、上記の通り明確にされました。

なお、遺留分に関する民法の特例を受けると、後継者に生前贈与された自社株式を、遺留分算定基礎財産価額に算入しないとする合意(除外合意)や、後継者に生前贈与された自社株式について、遺留分算定基礎財産価額に算入する価格を固定する合意(固定合意)により、円滑な事業承継・運営や遺産分割をすることが可能です。

以上により正解は、(1)3(年) (2)50(%) (3)3(人) (4)全額
(5)相続時精算(課税) (6)5,000(万円)
(7)10(年) (8)合意(時)

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