問4 2021年1月基礎
問4 問題文
公的年金制度の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
1) 10年前から国民年金の第3号被保険者であった妻が死亡し、妻と生計を同じくしていた夫(40歳)と子(10歳)がいる場合に、夫の前年の収入が年額850万円未満であるときは、夫に遺族基礎年金が支給される。
2) 10年前から厚生年金保険の被保険者であった妻が死亡し、妻と生計を同じくしていた夫(50歳)と子(22歳)がいる場合に、夫の前年の収入が年額850万円未満であるときは、夫に遺族厚生年金が支給される。
3) 20年前から国民年金の第1号被保険者であった夫が死亡し、夫と生計を同じくしていた妻(40歳)と子(10歳)がいる場合に、妻の前年の収入が年額850万円未満であるときは、妻に遺族基礎年金と死亡一時金が支給される。
4) 国民年金の保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が20年で、老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給していた夫が死亡し、夫と生計を同じくしていた妻(60歳)がいる場合に、妻の前年の収入が年額850万円未満であるときは、妻に遺族厚生年金が支給される。
問4 解答・解説
公的年金の遺族給付に関する問題です。
1) は、適切。遺族基礎年金や遺族厚生年金の支給を受けるには、いずれも被保険者が、20歳〜死亡月の前々月までの期間のうち、納付済期間と免除期間の合計で3分の2以上、年金保険料を納付している必要があります。
ただし、2026年3月31日までに65歳未満で死亡した場合は、死亡月の前々月までの1年間に未納期間がなければOKです(以前は2016年3月31日まででしたが、10年延長されました)。
よって、国民年金の第3号被保険者には保険料負担がありませんが、その期間は納付済期間として年金の受給資格期間と支給額に算入されるため、保険料の納付要件を満たします。
また、遺族基礎年金は、子供や子供のいる配偶者が支給対象で、支給要件は以下全てを満たすことが必要です。
●配偶者の場合:被保険者(夫・妻)が死亡した当時、生計維持関係にあり、子どもと同一生計。
●子の場合 :被保険者(父・母)が死亡した当時、生計維持関係にあり、18歳未満(18歳到達年度末まで可)、または20歳未満で障害有り。かつ、結婚していない。
遺族基礎年金は、配偶者と子それぞれ別個に受給権が発生しますが、配偶者に対する遺族基礎年金が優先して支給されます(子に対する遺族基礎年金は支給停止)。
なお、生計維持関係は死亡した被保険者の配偶者や子の年収が850万円以下であることが要件です。
よって、国民年金の第3号被保険者が死亡し、生計維持関係にあった配偶者と18歳未満の子がいる場合、配偶者に遺族基礎年金が支給されます。
2) は、不適切。遺族厚生年金の支給対象は、死亡した被保険者によって生計を維持されていた「配偶者および子、父母、孫、祖父母(←支給順位順)」で、最高順位の者以外には受給権がありません。
また、妻以外の遺族の場合、子・孫は18歳未満(18歳到達年度末まで可)または20歳未満で障害有り、夫・父母・祖父母は55歳以上(支給は60歳から)が支給対象です。
なお、生計維持関係は死亡した被保険者の遺族の年収が850万円以下であることが要件です。
よって厚生年金の被保険者であった妻が死亡し、生計維持関係にあった夫(50歳)と子(22歳)がいる場合、遺族厚生年金の支給対象外です。
3) は、不適切。国民年金の死亡一時金とは、遺族基礎年金の受給権者(配偶者・子)がいない場合に遺族に支給されるものですが、遺族基礎年金は18歳未満の子供がいる配偶者や、18歳未満の子供に対して(障害がある場合は20歳未満)支給されます。
よって、死亡した夫と生計同一の妻には、10歳の子がいることから遺族基礎年金が支給されるため、死亡一時金は支給対象外です。
4) は、不適切。遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者が死亡した場合(短期要件)以外にも、老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合にも、遺族に支給(長期要件)されます。
2017(平成29)年8月1日以降、老齢年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されましたが、遺族年金の長期要件としての受給資格期間は、以前と変わらず25年のままとなっています。
よって、国民年金の保険料納付済期間や免除期間等の合計が25年未満の場合には、老齢年金を受給していた被保険者が死亡しても、遺族厚生年金は遺族に支給されません。
よって正解は、1
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