問53 2021年1月応用

問53 問題文と解答・解説

問53 問題文

仮に、Aさんが現時点(2021年1月24日)で死亡し、妻Bさんが遺族基礎年金、遺族厚生年金および遺族年金生活者支援給付金の受給権を取得した場合、Aさんの死亡時における妻Bさんに係る遺族給付について、下記の〈条件〉に基づき、次の(1)〜(3)に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、年金額の端数処理は、円未満を四捨五入すること。
なお、年金額および給付金の額は年額とし、2020年度価額に基づいて計算するものとする。

【1】遺族基礎年金の年金額はいくらか。
【2】遺族厚生年金の年金額(本来水準による価額)はいくらか。
【3】遺族年金生活者支援給付金の額(年額)はいくらか。

〈条件〉
(1) 厚生年金保険の被保険者期間
・総報酬制導入前の被保険者期間 : 24月
・総報酬制導入後の被保険者期間 : 213月
(注)要件を満たしている場合、300月のみなし計算を適用すること。

(2) 平均標準報酬月額・平均標準報酬額(2020年度再評価率による額)
・総報酬制導入前の平均標準報酬月額 : 21万円
・総報酬制導入後の平均標準報酬額  : 32万3,000円

(3) 報酬比例部分の給付乗率
・総報酬制導入前の乗率 : 1,000分の7.125
・総報酬制導入後の乗率 : 1,000分の5.481

(4) 中高齢寡婦加算額
58万6,300円(要件を満たしている場合のみ加算すること)

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問53 解答・解説

遺族基礎年金・遺族厚生年金・遺族年金生活者支援給付金の支給額に関する問題です。

遺族基礎年金や遺族厚生年金の支給を受けるには、いずれも被保険者が、20歳〜死亡月の前々月までの期間のうち、納付済期間と免除期間の合計で3分の2以上、年金保険料を納付している必要があります。
ただし、2026(令和8)年3月31日までに65歳未満で死亡した場合は、死亡月の前々月までの1年間に未納期間がなければOKです。
本問の場合、Aさんが現時点で死亡しても、前々月まで1年間未納期間がないため、支給対象となります。

遺族基礎年金は、子供や子供のいる配偶者が支給対象で、子どもの人数に応じて、支給額が増加します。
子供の数 : 支給金額(年間・令和2年度額)
子供1人 : 781,700円+224,900円×1=1,006,600円
子供2人 : 781,700円+224,900円×2=1,231,500円
子供3人 : 781,700円+224,900円×2+75,000円=1,306,500円
子供4人以上 : 1人増えるごとに75,000円追加
※支給期間は子供が18歳になる年度末まで。
781,700円は満額の老齢基礎年金額と一緒で、子供2人までは1人当たり224,900円が増額され、3人目以降は1人当たり75,000円が増額されるわけですね。
よって、Aさんが現時点で死亡した場合の遺族基礎年金は、780,100円+224,900円×2=1,231,500円

次に、遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者が死亡した場合、その被保険者によって生計を維持されていた配偶者および子、父母、孫、祖父母(←支給順位順)に、支給されます(最高順位の者以外には受給権無し)。
支給額は死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で、被保険者期間が300月未満の場合は300月とみなして計算する最低保障がついています。

Aさんの被保険者期間は、24+213=237月で300月未満のため、被保険者期間を300月とみなして計算(報酬比例部分に300/237を乗じる)することになります 。

遺族厚生年金の計算式は、以下の通りです。
遺族厚生年金(報酬比例部分)=( I + II ) ×300月/実際の被保険者期間× 3/4
I 総報酬制導入前の期間分
平均標準報酬月額×乗率×総報酬制導入前の被保険者期間の月数
II 総報酬制導入後の期間分
平均標準報酬額×乗率×総報酬制導入後の被保険者期間の月数

よって本問の場合、
遺族厚生年金額=(T+U)×300/237×3/4
       =392086.06…
       →392,086 円(円未満四捨五入)
※I :210,000円×7.125/1,000×24月=35,910円
※II:323,000円×5.481/1,000×213月=377,087.319円

なお、夫死亡時に40歳以上で子のいない妻や、子があってもその子が遺族基礎年金における加算対象外となったときに40歳以上の妻には、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます。
妻Bさんには、遺族基礎年金の支給対象となる子であるCさん・Dさんがいるため、現時点では中高齢寡婦加算の対象外です。

最後に、年金生活者支援給付金は、消費税率引き上げ分を原資に、公的年金等の収入や所得額が一定額以下の年金受給者のために、年金に上乗せ支給されるものです。このうち、遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金の受給権者で所定の所得要件を満たす者が支給対象で、遺族基礎年金等の非課税収入は所得判定には含まれないため、受給資格者が1人である場合は遺族基礎年金の額の多寡にかかわらず、月額5,030円(2020年度価額)です。
よって年額の支給額は、5,030円×12月=60,360 円

以上により正解は、(1)1,231,500(円) (2)392,086(円) (3)60,360(円)

問52          第2問

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