問64 2021年1月応用
問64 問題文
《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの(1)純資産価額および(2)類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額を、それぞれ求めなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は円未満を切り捨てて円単位とすること。
なお、X社株式の相続税評価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。
問64 解答・解説
非上場株式会社の併用方式による株価算定に関する問題です。
非上場株式会社の株式の原則的評価方式は、会社規模に応じて以下の通りとされています。
大会社:類似業種比準方式(純資産価額方式も選択可)
中会社:類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式(純資産価額方式も選択可)
小会社:純資産価額方式(併用方式の選択可)
※なお、同族会社の同族株主以外の株主等の場合は、特例的評価方式として、会社規模に関わらず配当還元方式で評価されます。
本問では]社は中会社ですから、類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式か、純資産価額方式のいずれかを選択できます。
類似業種比準方式による評価額は既に前問で1,235円と算出できていますので、純資産価額方式による評価額を算出します。
1株当たりの純資産価額について、数式は以下の通りです。
株価=(相続税評価額の総資産価額−負債合計額−評価差額の法人税相当額)÷発行済株式総数
※評価差額の法人税相当額=(相続税評価額の純資産額−帳簿価額の純資産額)×37%
よって、問題文の数値を数式に当てはめていくと、
相続税評価額の純資産価額=16,420万円−6,900万円=9,520万円
帳簿価額の純資産額=13,100万円−6,900万円=6,200万円
評価差額の法人税相当額=(9,520万円−6,200万円)×37%
=3,320万円×37%=1,228.4万円
ここで相続税評価額の総資産価額−負債の合計額=相続税評価額の純資産額 ですので、
株価=(9,520万円−1,228.4万円)÷40,000株
=8,291.6万円÷40,000株=2,072.9 →2,072円(円未満切り捨て)
類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式の計算式は、以下の通りです。
評価額=類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額×(1−L)
※Lは、中会社のうち大規模なものは0.9、中規模は0.75、小規模は0.6、小会社は0.5。
よって、問題文で「規模区分は「中会社の小」」とありますので、L=0.6となり、併用方式の評価額は、
評価額=1,235円×0.6+2,072円×(1−0.6)=741円+828.8円=1569.8 →1,569円 ←円未満切捨て
従って、併用方式1,569円<純資産価額方式2,072円 となり、評価額が低い方がX社にとって有利(相続税の評価額が低い)ですから、X社株式の1株当たりの相続税評価額(原則的評価方式)は、1,569円 です。
以上により正解は、(1)2,072(円) (2)1,569(円)
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