問50 2021年5月基礎
問50 問題文
「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」(以下、「本制度」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 本制度の適用を受けるためには、受贈者は贈与者が事業の用に供している特定事業用資産のすべてを贈与により取得する必要があり、特定事業用資産の一部の贈与について本制度の適用を受けることはできない。
2) 本制度の対象となる特定事業用資産は、贈与者の事業の用に供されていた宅地等、建物、棚卸資産および減価償却資産で、贈与者の前年分の事業所得に係る青色申告書に添付された貸借対照表に計上されているものとされている。
3) 贈与により特定事業用資産を取得した受贈者が本制度の適用を受けた場合、当該受贈者が納付すべき贈与税額のうち、本制度の適用を受ける特定事業用資産の課税価格の80%相当額に対応する贈与税額の納税が猶予される。
4) 本制度の適用を受けた受贈者が死亡し、相続が発生した場合、相続税額の計算上、本制度の適用を受けた特定事業用資産について「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることはできない。
問50 解答・解説
事業承継における贈与税の納税猶予・免除に関する問題です。
1) は、適切。個人事業用資産の贈与税の納税猶予・免除を受けるには、贈与者から特定事業用資産の全てを贈与で取得することが必要であり、一部の贈与では適用対象外です。
2) は、不適切。個人版事業承継税制(個人事業用資産の贈与税・相続税の納税猶予・免除)の対象となる特定事業用資産は、被相続人の事業用の宅地等・建物のほか、自動車や乳牛・果樹等の生物、特許権等の無形固定資産といった減価償却資産で、贈与者の前年分の青色申告書に添付された貸借対照表に計上されているものに限られますが、棚卸資産は対象外です。
3) は、不適切。個人版事業承継税制(個人事業用資産の贈与税・相続税の納税猶予・免除)の適用を受けると、特定事業用資産の課税価格に対応する贈与税や相続税の全額が納税猶予されます。
4) は、不適切。個人事業用資産の贈与税の納税猶予・免除の適用を受けた場合、贈与者が死亡すると猶予税額は全額免除となり、納税猶予の対象だった特定事業用資産は、相続により取得したものとみなして贈与時の価格で相続財産に含める必要があります。ここで、改めて個人事業用資産の相続税の納税猶予・免除の適用を受けなければ、特定事業用資産に小規模宅地の特例を適用可能です。
よって正解は、1
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