問59 2021年5月応用
問59 問題文
法人税に関する以下の文章TおよびUの下線部(1)〜(3)のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。
〈特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例〉
I 「特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例」(オープンイノベーション促進税制。以下、「本特例」という)は、青色申告法人で一定の特定事業活動を行うものが、一定の特別新事業開拓事業者の株式を出資の払込みにより取得した場合に、所定の要件を満たせば、一定の金額を限度として、(1)その特定株式の取得価額の25%相当額以下の金額で特別勘定として経理した金額を法人税額から控除することができる特例である。
内国法人である特別新事業開拓事業者の株式を出資の払込みにより取得した中小企業者が本特例の適用を受けるためには、(2)その払込金額が1,000万円以上でなければならない。
なお、本特例の適用を受けた法人において、(3)その特定株式を取得した日から5年を経過する日までの間に、当該株式を譲渡した場合や当該株式に係る配当の支払を受けた場合には、特別勘定の金額のうちその対応する部分の金額を取り崩して益金の額に算入しなければならない。
〈法人税の確定申告・中間申告〉
II 法人税の申告には中間申告と確定申告がある。事業年度が6カ月を超える普通法人は、所轄税務署長に対し、原則として、(1)事業年度開始の日から6カ月以内に中間申告書を提出し、事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に確定申告書を提出しなければならない。
中間申告には、納付税額を、前事業年度の確定法人税額を前事業年度の月数で除した値に6を乗じて算出する方法(予定申告)と、当該事業年度開始の日以後6カ月の期間を一事業年度とみなして仮決算を行い、それに基づいて算出する方法がある。ただし、原則として、仮決算による中間申告税額が予定申告税額を超える場合や、(2)予定申告税額が10万円以下である場合には、仮決算による中間申告をすることはできない。
なお、納付すべき法人税の額がない場合であっても、確定申告書の提出は必要である。また、(3)事業年度開始時における資本金の額が1億円を超える内国法人は、原則として、中間申告書および確定申告書をe-Tax(国税電子申告・納税システム)で提出しなければならない。
問59 解答・解説
オープンイノベーション促進税制、法人税の確定申告・中間申告に関する問題です。
〈特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例〉
I オープンイノベーション促進税制では、スタートアップ企業の新規発行株式を一定額以上取得する場合、その株式の取得価額の25%を損金算入可能です(問題文の「法人税額から控除する」税額控除ではなく、損金算入することで課税所得を減らして法人税額を軽減できる制度です)。
また、オープンイノベーション促進税制の対象となる出資者側の中小企業は、青色申告法人であり、出資額が1件当たり1,000万円以上であることが必要です(大企業が出資者の場合は1件当たり1億円以上の出資が対象)。
なお、オープンイノベーション促進税制の適用を受けた場合、スタートアップ企業への出資により取得した株式を取得から5年以内に譲渡したり配当を受けたりすると、それまで損金算入していた部分のうち、譲渡したり配当を受けた株式に対応した額を譲渡した事業年度において益金算入する必要があります。
〈法人税の確定申告・中間申告〉
II 事業年度が6ヶ月超の法人の場合、法人税の中間申告書の提出期限は、事業年度開始日以降6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内で、法人税の確定申告書の提出期限は、各事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。
法人税の中間申告は、事業年度の中間で行う納税手続のことで、前期実績に基づく予定申告と、仮決算に基づく中間申告という2つの方法があります。
法人税の中間申告をする際に、それぞれの申告税額が、仮決算>前期実績となる場合や、前期実績が10万円以下の場合は、仮決算の中間申告はできません。
(原則は前期実績に基づく予定申告で行う、ということですね。)
なお、業績が赤字で納付する法人税が0円の場合でも、法人には確定申告書の提出義務があり、資本金1億円超の法人は、中間申告や確定申告をe-Tax(電子申告)で提出することが必要です。
以上により正解は、
I :(1) その特定株式の取得価額の25%相当額以下の金額で特別勘定として経理した金額を損金の額に算入することができる。
II:(1) 中間申告書は、事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内に提出しなければならない。
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