問65 2022年5月応用
問65 問題文
X社株式に関する以下の文章の空欄(1)〜(6)に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。
〈Dさんが所有するX社株式の相続税評価額〉
I 「Dさんの相続人がX社株式を相続により取得した場合、X社株式は配当還元方式により評価されます。《設例》の〈X社の概要〉に基づく、X社株式の1株当たりの配当還元方式による価額は( 1 )円になります」
〈Dさんが所有するX社株式の買取り〉
II 「 実際の売買価額は、配当還元方式による価額と原則的評価方式による価額の範囲内で、Dさんとの相対交渉で決まると思われます。同族株主である長男Cさんが、原則的評価方式による価額以下の低額譲渡によりDさんのX社株式を買い取った場合、その差額が長男Cさんへの( 2 )となることが想定されます」
〈取引相場のない株式の評価上の区分〉
III 「 非上場株式の相続税評価額を計算するうえでの会社規模は、業種、総資産価額、従業員数、直前期末以前1年間における取引金額(売上高)により判定します。正社員の積極採用を計画しているX社の従業員数が( 3 )人以上になれば、X社の会社規模は大会社と判定されます。また、従業員数が( 3 )人未満であっても、直前期末以前1年間における取引金額(売上高)が( 4 )億円以上になれば、大会社と判定されます」
〈X社株式の移転〉
IV 「X社株式の移転方法には、相続時精算課税制度の活用、非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例の活用、長男CさんがAさんから買い取るなど、いくつかの方法を検討することができますが、X社株式の相続税評価額を引き下げてから実行に移すことが肝要です。
Aさんに対する役員退職金の支給は、1株当たりの利益金額を引き下げる効果が大きいと思われます。1株当たりの利益金額を引き下げるために、新会社を設立するなど、高収益部門を分社化することも検討することができますが、設立した新会社は、開業後( 5 )年未満の会社に該当し、原則として、当該株式は( 6 )方式により評価されます。
役員退職金の支給は、純資産額も減少させます。また、純資産額を減少させる効果を目的に、賃貸物件を購入する対策も考えられますが、( 5 )年以内に取得した土地および建物は、相続税評価額ではなく、通常の取引価額(取得価額)により評価することに注意してください」
問65 解答・解説
非上場株式・土地の相続税評価に関する問題です。
〈1株当たりの配当還元価額〉
I 1株当たりの配当還元価額は、1株(50円)当たりの年配当金額を10%の利率で還元して、元本である株式の価額を求めたものです。計算式は以下の通り。
配当還元価額=その株式の年配当金額/10%×その株式の1株当たり資本金額/50円
年配当金額は9.0円、1株当たり資本金額は3,000万円÷60,000株=500円
よって、1株当たりの配当還元価額=9.0円/10%×500円/50円=900円
〈個人間の低額譲渡〉
II 個人間で低額譲渡した場合、買い手に対しては時価と譲渡価額との差額がみなし贈与として贈与税の課税対象となり、売り手に対しては譲渡価額に基づいた譲渡所得が所得税の課税対象となります。
〈取引相場のない株式の評価上の区分〉
III 非上場株式の相続税評価額を算定する際、直前期末以前1年間の従業員数が70人以上の会社は「大会社」、70人未満の会社は業種・総資産価額・従業員数・取引金額に応じて「中会社」「小会社」に分類されます。ただし、従業員数70人未満でも、卸売業・小売・サービス業以外の業種の場合には、直前期末以前1年間の取引金額(売上高)が15億円以上の会社は「大会社」と判定されます。
本問の場合、X社は製造業ですので、従業員70人未満でも売上高次第で大会社になる可能性があるわけです。
〈株式の移転〉
IV 開業後3年未満の会社の株式については、会社規模にかかわらず、純資産価額方式で評価することとされています(開業間もない時点では、上場株式との比準や配当還元による算定は、評価法として不適当なため)。
また、純資産価額を計算する場合、課税時期開始前3年以内に取得・新築した土地等家屋等は、課税時期における通常の取引価額相当額で評価します(通常は路線価や固定資産税評価額で評価)。
以上により正解は、(1)900(円) (2)みなし贈与 (3)70(人) (4)15(億円)
(5)3(年) (6)純資産価額(方式)
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