問57 2022年9月応用

問57 問題文と解答・解説

問57 問題文

設例のX社の当期の〈資料〉と下記の〈条件〉に基づき、同社に係る〈略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)〉の空欄(1)〜(6)に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、別表中の「***」は、問題の性質上、伏せてある。

〈条件〉
・設例に示されている数値等以外の事項については考慮しないものとする。
・所得の金額の計算上、選択すべき複数の方法がある場合は、所得の金額が最も低くなる方法を選択すること。

〈略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)〉 (単位:円)

(注)法人税額から控除される復興特別所得税額を含む。

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問57 解答・解説

法人税申告書別表四に関する問題です。

まず、(1)の「損金経理をした納税充当金」ですが、納税充当金は、当期に確定した法人税等を翌期の支払いに充てるために計上するもので、本問では当期確定申告分の見積納税額2,500千円が該当します。
法人税等は企業会計上では費用としますが、税務上では損金不算入のため、当期利益に加算されるわけです。
よって、(1)の正解は、2,500,000(円)

次に(2)の「役員給与の損金不算入額」ですが、<資料>の2.で、当期の役員給与は4月〜9月までは月額900千円ですが、10月〜3月までは月額1,100千円に増額しています。
役員給与は、定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与のいずれかの場合損金算入されますが、毎月の定額支給分以外で、税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出していない給与については、損金不算入となります(使用人兼務役員に支給する場合は損金算入可)。
よって、10〜3月の増額分(200千円×6ヶ月分=1,200千円)が損金不算入となりますので、
(2)の正解は、1,200,000円 です。

次に(3)の「交際費等の損金不算入額」ですが、資本金1億円超の法人は、交際費のうち、飲食用の支出の50%まで損金算入可能で、資本金1億円以下の法人は、交際費のうち800万円まで、または飲食用の支出の50%までは損金算入することができます(有利な方を選択可能)。
本問の場合、資本金1,000万円ですので、いずれか有利な方を選択可能です。
また、1人当たり5,000円以下の社外の人との飲食費等で、所定の事項を記載した書類も保存されている場合の金額は、税務上損金不算入となる交際費に含まれません
本問の交際費は990万円ですから、このうち1人当たり5,000円以下の飲食費30万円は交際費に含まれず、990万円から30万円を差し引いた残りの960万円のうち、800万円を超える分である160万円が損金不算入となるわけです。
これに対し、接待飲食費の50%までを損金とすると、まず接待飲食費における不算入額は500万円÷2=250万円。
さらに、接待飲食費以外の交際費(1人当たり5,000円以下の飲食費30万円は含まず)は全額損金不算入となるため、960万円−500万円=460万円も不算入となります。
よって、接待飲食費の50%損金算入を選択した際の不算入額の合計は、250万円+460万円=710万円。
損金不算入額が少ない(=損金算入額が多い)ほうが企業には有利ですから、800万円まで損金算入を選択することになります。
よって、(3)の正解は、1,600,000(円)

次に(4)の「受取配当等の益金不算入額」ですが、他の法人への出資(投資)により法人が配当を受け取った場合、「受取配当金」として法人税の課税の対象となりますが、出資割合に応じて、受け取った配当金の一部または全額が益金不算入となります。
例えば、完全支配関係がある内国法人(普通法人)において、親会社が100%子会社から受け取った配当金は、全額益金不算入になります。また、株式等の保有割合が5%以下の場合、非支配目的株式等として、受取配当等×20%相当額が益金不算入となります。
よって、受取配当等の益金不算入額=500千円×20%=100千円
従って、(4)の正解は、100,000(円)

次に(5)の「法人税額から控除される所得税額(注)」ですが、問題文にある「預金の利子について源泉徴収された所得税額15千円・復興特別所得税額315円、受取配当金について源泉徴収された所得税額75千円・復興特別所得税額1,575円」が該当します。
既に源泉徴収されている所得税・復興特別所得税については、法人税を計算するときに控除されるわけですね(ただし、源泉徴収時に所得税・復興特別所得税は経費計上されているため、別表4では一旦所得に加算し、その後税額計算時に控除します)。
従って、15,000円+315円+75,000円+1,575円=91,890円
従って、(5)の正解は、91,890(円)

最後に(6)の「所得金額または欠損金額」ですが、これは以下の数式で表せます。
所得金額または欠損金額=当期利益+加算分−減算分+法人税・復興特別法人税額から控除される所得税・復興特別所得税額+欠損金・災害損失金等の当期控除額
従って、
加算分小計=2,500,000+1,200,000+1,600,000=5,300,000
減算分小計=680,000+100,000=780,000

(6)所得金額または欠損金額=4,388,110+5,300,000−780,000+91,890+0=9,000,000円 です。

※計算結果がマイナスの場合は欠損金額、プラスの場合は所得金額となります。

以上により正解は、(1)2,500,000(円) (2)1,200,000(円) (3)1,600,000(円)
(4)100,000(円) (5)91,890(円) (6)9,000,000(円)

第3問          問58

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