問56 2023年5月応用
問56 問題文
《設例》の〈X社の財務データ等〉〈日本国債の利回り〉に基づいて、次の(1)および(2)に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。なお、イールド・スプレッドの計算は、日本国債の利回りから株式益回りを控除することとし、X社の株価は800円とする。
(1)X社のサスティナブル成長率はいくらか。
(2)X社株式と日本国債のイールド・スプレッドはいくらか。
問56 解答・解説
サスティナブル成長率、イールド・スプレッドに関する問題です。
サスティナブル成長率は、企業の今後の成長率を予測する指標で、以下の数式で表せます。
サスティナブル成長率=ROE×内部留保=ROE×(1−配当性向)
また、配当性向は、配当金支払額÷当期純利益 で表せます。
ここで、ROE(自己資本利益率)=当期純利益/自己資本×100(%)ですが、自己資本は純資産から非支配株主持分(少数株主持分、被支配株主持分)と新株予約権を差し引いたものです。
X社のROE=54,000/(469,000−14,000−1,000)×100=11.894…%
よってサスティナブル成長率は、
11.894…×{1−(18,000÷54,000)}=7.926…→7.93%(小数点以下第3位四捨五入)
次に、イールド・スプレッドは利回り面から株式や債券の割安・割高を判断する指標で、債券と株式を比較する際のイールド・スプレッドは、長期債利回りから株式益利回り(1株当り利益/株価×100(%))を差し引いて計算します(株式益利回りはPER(株価収益率)の逆数)。
よって、イールド・スプレッドが拡大=長期債利回りの方が高く、株式益利回りは低い=株価は割高と判断されます(低利回り=その投資先が値上がりしている、ですからね)。
イールド・スプレッド=長期債利回り−株式益利回り=長期債利回り−(1株当り利益/株価×100(%))
では、問題文の数値を式に当てはめてみましょう。
1株当り利益=54,000百万円/600百万株=90円
株式益利回り=90円/800円×100(%)=11.25%
設例には期間3年・5年・10年の国債利回りが記載されていますが、長期国債とは償還期間5年超10年以下の国債のことです。
よって、イールド・スプレッド=0.50%−11.25%=−10.75%
以上により正解は、(1)7.93(%) (2)−10.75(%)
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