問17 2023年9月基礎

問17 問題文と解答・解説

問17 問題文

各種債券の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) 他社株転換可能債(EB)は、満期償還前の判定日に債券の発行者とは異なる会社の株式(対象株式)の株価が発行時に決められた価格を下回ると、金銭での償還ではなく、対象株式が交付される債券であり、投資家が償還方法を任意に選択することはできない。

2) 早期償還条項が付いている株価指数連動債(リンク債)は、参照する株価指数の変動によって満期償還日よりも前に償還されることがあるが、償還金額が額面金額を下回ることはない。

3) ストリップス債は、金利スワップを組み込むことでクーポンが市場金利と逆方向に変動するように設計された債券であり、市場金利が上昇すると受け取る金利が減少する。

4) 一般に、払込みと償還が円貨で行われ、利払いが米ドル等の外貨で行われる債券はデュアルカレンシー債と呼ばれ、払込みと利払いが円貨で行われ、償還が米ドル等の外貨で行われる債券はリバース・デュアルカレンシー債と呼ばれる。

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問17 解答・解説

債券投資に関する問題です。

1) は、適切。他社株転換可能債(EB債)は、一定の株価水準に達した場合は自動的に株式に転換されますので、満期償還時までにノックイン価格に到達した場合には、償還日には転換対象の株式と、売買取引の単位に満たない単元未満株(端株)の売却代金が支払われ、ノックイン価格に到達しなかった場合には、償還日に元本と利子が金銭で償還されます。

2) は、不適切。株価指数連動債(リンク債)は、日経平均などの株価指数に連動して償還金額や利率が変動する債券で、早期償還条項が付いていると、満期前に一定の株価水準を上回った場合には額面金額で早期償還され、一定の株価水準を下回った場合には償還金額が額面金額を下回り、損失が発生することがあります。

3) は、不適切。ストリップス債は、固定利付債の元本部分とクーポン(利子)部分を分離し、それぞれを償還日まで利払いがないゼロクーポン債(割引債)として販売される債券で、元本部分は利付債の償還日を満期とし、利子部分はそれぞれの支払期日を満期として設定されます。ストリップス債は利払いが無くキャッシュフローは得られませんが、少額の資金で投資できるメリットがあります。
なお、金利スワップを組み込むことで利率が市場金利と逆(リバース)方向に変動するように設計された債券はリバース・フローター債で、市場金利が上昇すると受け取る利払金は減少します。

4) は、不適切。デュアル・カレンシー(二重通貨建て)債とは、購入代金の払込みと利払いの通貨が同じで、償還されるときの通貨が異なる債券です(日本国内なら、「払込み=円建て」・「利払い=円建て」・「償還=外貨建て」、となります)。
通常の外国債券と異なり、デュアル・カレンシー債は為替変動リスクを元本部分のみに限定した債券で、逆に購入代金の払込みと償還されるときの通貨が同じで、利払いの通貨が異なるように設定し、為替変動リスクを利払いのみに限定した債券を、リバース・デュアル・カレンシー債(逆二重通貨建て債)といいます(「払込み=円建て」・「利払い=外貨建て」・「償還=円建て」)。

よって正解は、1

問16      問18

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