問12 2024年1月基礎
問12 問題文
契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を役員とする生命保険契約の保険料の経理処理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、保険契約は2019年7月8日以後に契約したもので、保険期間は3年以上あり、保険料は年払いかつ全期払いであるものとする。
1) 死亡保険金受取人を法人とする最高解約返戻率が70%超85%以下の定期保険に加入した場合、保険期間の当初6割相当期間において支払保険料の4割相当額を資産に計上する。
2) 死亡保険金受取人を法人とする最高解約返戻率が85%超の定期保険に加入した場合、保険期間の当初6割相当期間の経過後は、支払保険料の全額を損金の額に算入し、資産計上額を残存期間で均等に取り崩して損金の額に算入する。
3) 死亡保険金受取人を法人とする最高解約返戻率が50%超70%以下、1人の被保険者につき年換算保険料相当額が100万円の定期保険に加入した場合、支払保険料の全額を損金の額に算入する。
4) 死亡保険金受取人を被保険者の遺族、被保険者を特定の役員とする定期保険に加入した場合、支払保険料はその役員に対する給与となる。
問12 解答・解説
法人の生命保険の経理処理に関する問題です。
1) は、不適切。最高解約返戻率70%超85%以下の保険商品では、原則として、支払保険料の資産計上期間は、保険期間における開始日から100分の40経過日(前半4割)まで、資産計上額は、当期に支払った保険料の100分の60(60%)とし、残額を損金算入します。また、資産計上期間終了後は、支払った保険料を期間の経過に応じて損金算入します。
さらに、資産計上した金額は、保険期間の100分の75経過後から保険期間の終了の日までに均等に取り崩し、期間の経過に応じて損金算入します。
2) は、不適切。最高解約返戻率85%超の保険商品では、原則として、保険期間の開始日から最高解約返戻率の適用期間の終了日までは、「支払保険料×最高解約返戻率×70%(保険期間開始日から10年経過日までは90%)」で資産計上し、残額を損金算入します。資産計上期間終了後は、資産計上額を期間の経過に応じて均等に取り崩して損金算入します。
つまり、契約開始から30〜40年後くらいに最高解約返戻率が適用される場合、その時点までは支払った保険料の多くが資産計上され、節税効果が規制されているわけですね。
3) は、不適切。保険期間3年未満の第三分野の保険や、最高解約返戻率が50%超70%以下かつ一被保険者あたりの年換算保険料相当額が30万円以下の定期保険については、支払保険料の全額を損金算入可能です(ただし、被保険者1人で複数の保険商品に加入していた場合、保険料は全て合算して計算)。
4) は、適切。保険金受取人が被保険者本人やその遺族で、被保険者を特定の役員等とする定期保険の場合、最高解約返戻率に応じた損金算入規制は適用されず、支払保険料はその役員等に対する給与となります。
よって正解は、4
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