問65 2024年1月応用

問65 問題文と解答・解説

問65 問題文

X社による「自己株式の買取り」および「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)」(以下、「本特例」という)に関する以下の文章の空欄(1)〜(7)に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。

〈自己株式の買取り〉
I 「X社がAさんの弟EさんからX社株式を買い取るためには、特定の株主からの取得となるため、X社の株主総会の特別決議が必要となります。特別決議とは、原則として、株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の( 1 )以上に当たる多数をもって行われる決議です。なお、弟Eさんは、原則としてこの株主総会において議決権を行使することができません。弟Eさんが、X社株式をX社に譲渡した場合、譲渡価額のうち当該株式に対応する資本金等の額を超える部分の金額については、( 2 )所得として総合課税の対象となります。
仮に、弟Eさんが死亡し、弟Eさんの相続人がX社株式を相続により取得した場合、X社が定款の定めにより弟Eさんの相続人に対してX社株式の売渡請求を行うときは、X社は相続があったことを知った日から( 3 )年以内にしなければなりません」

〈非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)〉
II 「本特例の適用を受けるためには、その対象会社につき、所定の特例承継計画を策定して都道府県知事に提出し、その確認を受け、『中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律』に基づく認定を受けなければなりません。
本特例の適用を受ける後継者は、贈与の日まで引き続き( 4 )年以上にわたり対象会社の役員等の地位を有し、かつ、贈与の時において、後継者および後継者と特別の関係がある者で総議決権数の( 5 )%超の議決権数を保有することとなることなどの要件を満たす必要があります。なお、後継者が複数いる場合、所定の要件を満たせば、最大( 6 )人まで本特例の適用を受けることができます。
仮に、Aさんが所有するX社株式8万株のすべてを長男Cさんが贈与により取得し、本特例の適用を受けた場合、長男Cさんは、贈与により取得したX社株式に対応する贈与税額の( 7 )%の納税猶予を受けることができます」

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問65 解答・解説

金庫株、非上場株式の贈与税の納税猶予・免除に関する問題です。

〈自己株式の買取り〉
I 株式を発行した会社自身が、その自己株式を取得する場合(金庫株)、取得する株式数や取得代金等に関する株主総会決議さえあれば、いつでも、何度でも取得可能です。ただし、特定の者から買い受ける場合には、株主総会の特別決議が必要です。

また、特別決議は議決権を行使可能な株主の議決権の過半数を定足数とし、出席株主の議決権の3分の2以上により決議します。
なお、売主である相続人は原則として議決権を行使できません

また、個人が非上場株式をその発行会社に譲渡した場合、買い取ってもらった金額のうち資本金等の額を超える分については、「みなし配当」(配当所得)となります(相続や遺贈で取得した株式の場合は、譲渡所得とされます)。
みなし配当の課税関係は、総合課税として累進税率が適用されます。つまり、普通の配当所得と同じです(「配当としてみなす」のだから当たり前と言えば当たり前ですが)。

なお、相続人が承継した株式の売渡し請求は、相続があったことを知った日から1年以内に行わなければなりません。

〈非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)〉
II 贈与税の納税猶予・免除の特例を受ける際、後継者の要件は、事業を承継する会社の代表者であること、18歳以上、役員就任期間が3年以上等です。また、後継者と同族関係者等で総議決権数の50%超であり、かつ、後継者と同族関係者等内で筆頭株主であることが必要です。
なお、親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への承継も適用対象です。

また、贈与税の納税猶予・免除の特例は、適用対象の全株式が適用対象であり、納税猶予割合も100%ですので、本問のように先代経営者が所有する全株式を贈与された場合、特例適用により贈与税全額が納税猶予されます。

以上により正解は、(1)3分の2(以上) (2)配当(所得) (3)1(年) (4)3(年)
(5)50(%) (6)3(人) (7)100(%)

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