問32 2009年9月基礎

問32 問題文と解答・解説

問32 問題文

会社と役員間の取引における法人税法上の取扱いに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

1) 通常権利金の授受をすべき地域において,権利金の授受がなく法人の所有する土地を役員へ通常の賃料(相当の地代ではない)で賃貸し,役員が居住用家屋を建設した場合に無償返還届の提出がないときは,法人には権利金相当額を受領したものとして認定課税が行われる。

2) 通常権利金の授受をすべき地域において,権利金の授受がなく役員の所有する土地を法人へ通常の賃料(相当の地代ではない)で賃貸し,法人が社屋を建設した場合に無償返還届の提出がないときは,法人には権利金相当額の受贈益があったものとして認定課税が行われる。

3) 法人が役員の所有する資産を高額で買い入れた場合には,買い入れた価額と時価との差額は,役員給与となり,損金不算入となる。

4) 法人がその所有する資産を役員へ低額で譲渡した場合には,譲渡価額と時価との差額について譲渡損が発生し,損金算入となる。

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問32 解答・解説


会社と役員間の取引における法人税に関する問題です。

1) は、適切。「法人所有の土地を権利金無しで役員に賃貸し、役員が居住用家屋を建設した場合」ですから、法人は、本来だったら権利金を受け取るべきところを、オマケしている(役員は権利金分だけ法人から利益を得ている)状態です。この場合、税務上は「法人は、役員から権利金相当額を受領し、同時にその分を役員に給与として支給した」として取り扱います。
本来法人は経済合理性のある取引しかしないことを前提にしているため、今回のようなケースでは、「一度役員からお金を受け取って、その分をまた役員にあげたんです。無償の利益供与じゃないんです。」という扱いにするわけです。

2) は、適切。1)と問題文は似ていますが、法人と役員の役割が逆。これは割と分かりやすくて、法人は本来権利金を支払わないといけないのに、オマケしてもらってる(法人は権利金分だけ役員から利益を得ている)状態なので、法人には権利金相当額の受贈益があったものとして認定課税が行われます。

3) は、適切。法人は役員から、本当はもっと安いはずの資産を高く買い入れたわけです。
このような差額の損金算入を認めてたら、みんな同じようなことをやって税金払わないようにしちゃいますから、損金不算入とするわけです。

4) は、不適切。法人は役員に、本当はもっと高いはずの資産を格安で売っちゃったわけです。こういった場合の損失額の損金算入を認めてたら、やっぱりみんな同じようなことやっちゃいますから、これは損金不算入になります(正確には、差額は役員給与となり、損金不算入となります)。

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