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2010年1月31日実技part1

2010年1月31日実技part1

part1 問題文

●設 例●
 Aさん(68歳)は、大都市近郊に住む資産家である。
 相続対策として2年前には「相続時精算課税制度」を活用し、長男Dに将来の住宅用地として土地(相続税評価額25百万円)を贈与している。
 今般、長男Dが住宅取得を計画しており、相続対策も兼ねて資金援助をするつもりである。
 タイミング良く、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」が新設されたが、その内容について知りたいと思っている。
 なお、長男Dは、Aさんからの住宅取得等資金贈与の他に、Eさん(長男Dの祖母)からも住宅取得等資金の贈与を受ける予定であり、父AさんかEさんのいずれの贈与に「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」の適用を受けるべきか迷っている。
 Aさんは、大口定期預金(期間6カ月)を120百万円保有しているが、利回りが低いので、60百万円は、利回りが良くリスクの少ない金融商品に変更したいと考えている。
 現時点での相続税の見込み額は約92百万円(一次・二次合計)である。
 Aさんは、ファイナンシャル・プランナーであるあなたに相談することとした。

○長男Dの住宅取得計画
土地   2年前に贈与を受けた土地に新築
建物   建築費予定金額 40百万円
資金計画 自己資金             3,900千円
       住宅ローン           10,000千円
       Aさん(父)からの資金贈与   20,000千円
       Eさん(祖母)からの資金贈与  6,100千円
Aさん(父)およびEさん(祖母)からの資金贈与は、新設された「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」の適用要件を満たすものである。

T 主な保有資産(各財産の金額は相続税評価額である)
自宅         土地   400u     40百万円(小規模宅地等の評価減適用後)
         建物   165u     10百万円
アパート     土地 1,000u    160百万円
          建物 1,200u     40百万円
駐車場            土地   400u     80百万円
現金預金                             30百万円
大口定期預金                       120百万円
 合計                   480百万円

U Aさんの家族
Aさん(68歳)
妻B  (65歳) 専業主婦
長女C(40歳) 既婚  夫は銀行員  子供1人
長男D(36歳) 既婚  公務員  妻は専業主婦  子供2人
母E (90歳) Aさんと同居

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part1 ポイント解説

● 顧客の相談内容・問題点に対する解決策。
1.  相続税の軽減対策
(1) 駐車場への賃貸物件の建設
駐車場に賃貸物件を建設することで、建物は(1−借家権割合)で評価され、土地は貸家建付地として(1−借地権割合×借家権割合)で評価されるため、相続税負担の軽減を図ることが出来る。

2. Aさん(父)とEさん(祖母)のどちらの贈与に非課税措置を適用するか
(1) Aさん(父)からの贈与に適用した場合
・ Aさん(父)からの贈与の取り扱い
直系尊属からの住宅取得資金贈与を受けた場合の500万円非課税措置には、通常の暦年課税の基礎控除110万円を併用できるが、Aさん(父)からは既に相続時精算課税制度の適用を受けているため、暦年課税は適用できない。
しかし、相続時精算課税制度における住宅取得資金贈与の特例である特別控除額1,000万円は併用できる。
従って、資金贈与2,000万円−非課税500万円−特別控除1,000万円=500万円
この場合税金は500万円×税率20%=100万円
・ Eさん(祖母)からの贈与の取り扱い
相続時精算課税制度は、通常父母からの贈与に限られるため、Eさん(祖母)からの贈与には適用できない。従って、通常の暦年課税の基礎控除110万円のみ適用できる。
従って、資金贈与610万円−基礎控除110万円=500万円
この場合税金は500万円×税率30%−控除額65万円=85万円
以上により、贈与税額は100万円+85万円=185万円

(2) Eさん(祖母)からの贈与に適用した場合
・ Aさん(父)からの贈与の取り扱い
相続時精算課税制度の特別控除2,500万円は既に住宅用地として贈与済みだが、住 宅取得資金贈与の特例として、さらに1,000万円上乗せできる。
従って、資金贈与2,000万円−特別控除1,000万円=1,000万円
この場合、税金は1,000万円×20%=200万円
・ Eさん(祖母)からの贈与の取り扱い
直系尊属からの住宅取得資金贈与を受けた場合の500万円非課税措置には、通常の暦年課税の基礎控除110万円を併用できる。
従って、資金贈与610万円−非課税500万円−110万円=0円
当然、税金も0円。
以上により、贈与税額は200万円+0円=200万円
(1)、(2)の結果、直系尊属からの住宅取得資金贈与の500万円非課税措置は、Aさん(父)に適用した方が良いと思われる。

※平成22年度税制改正の、22年中なら1500万円まで非課税を適用する場合も、父からの贈与に適用した方が税額は安くなる。
 ●父贈与に適用 …2,000万円−1,500万円=500万円、610万円−110万円=500万円
             500万円×20%=100万円、500万円×30%−65万円=85万円
             100万円+85万円=185万円(贈与税)
 ●祖母贈与に適用…2,000万円−1,000万円=1,000万円、
              610万円−500万円−110万円=0円
              1,000万円×20%=200万円(贈与税)

ただし、実際の税額検討の際は、個別具体的な税務相談となるため、税理士を紹介する必要がある。

3. 遺産分割対策
(1) 遺言の作成
(2) 代償分割
(3) 生命保険の活用

4. 大口定期預金120百万円の利回りが良く低リスクな運用方法
原則として、資産運用はハイリスクハイリターン・ローリスクローリターンであるため、利回りが良く低リスクな運用方法の提案は難しい。
従って、利回り・リスクに応じた代表的な金融商品を紹介し、顧客の検討を促す。
(1) 利回り高・リスク高 ⇒ 株式
(2) 利回り中・リスク中 ⇒ 不動産・REIT
(3) 利回り低・リスク低 ⇒ 国債・社債

※運営者コメント…ちょっとこの部分の回答は、これでいいのか自信がありません。普通こんな虫のいい質問されても、こう切り返すしかないような気がしますので…

2011.12..8追記
ただし、複数の金融商品を組み合わせたポートフォリオを組むことで、単一の金融商品と同程度のリターンでリスクを下げることも可能であるため、顧客の求める具体的なリターンの程度を確認しつつ、最適なポートフォリオを提案し、検討を促す。

●FPと職業倫理
FPの職業倫理は、顧客利益の優先、守秘義務、説明義務(アカウンタビリティ)、顧客の説明・同意(インフォームド・コンセント)の4つ。
本問では、FPと顧客の利益相反や顧客の秘密漏洩を懸念する局面ではなく、顧客に対し金融商品取引法等における重要事項の説明義務に関わる段階でもなさそうですので、一番重要なのは、様々な納税資金対策・遺産分割対策の方法やそれを適用した結果をきちんと説明し、顧客の理解度を確認する「インフォームド・コンセント」ということになるかと思います。

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