TOP > 実技過去問ポイント解説 > 2010年6月実技 > 2010年6月6日実技part1

2010年6月6日実技part1

2010年6月6日実技part1

part1 問題文

●設 例●
 営業・マーケティング専門のコンサルティング会社であるX社は、創業50年を迎える業界では名の知れた優良企業である。X社の社長であるAさん(58歳)は創業者の息子であり、創業者以上にその才能と営業的センスが優れているとの評判である。
 このX社は不況のなかでも安定した仕事の受注を確保しており、直近の経常利益は6千万円に達している。
 Aさんには長男と長女がいて、長男は現在、他のコンサルティング会社で修行中であるが、近い将来に後継者としてX社に呼び戻す予定である。
 また、長女は神社の神主と結婚しており、専業主婦となっていて特に生活に不安はない。
Aさんは長男をX社に呼び戻した後の事業承継を考えているが、長男は現在X社株式をまったく保有しておらず、またX社株式の買取資金も大きく不足しているため、どのようにすればよいのか悩んでいる。
 Aさんは友人に相談したところ、株式の承継については生命保険や金庫株の活用をアドバイスされたが、具体的にどのようにすればよいのかがわからないでいる。
 また、Aさんは相続税に関して、仲間のコンサルタントから、非上場株式に係る相続税の納税猶予制度の利用を勧められたが、これについても使えるかどうか不安に思っている。
 さらに、Aさんは個人的な資金運用として、先程の友人から個人年金保険の利用を勧められているが、商品性がよくわからないため躊躇している。
 現時点でのAさんの相続財産は約12億円であり、うち自宅(小規模宅地等の評価減適用後)の金額は4千万円で、相続税の見積額は約3億9千万円である。

〈Aさんの家族構成〉
Aさん (58歳):X社社長      妻  (58歳):専業主婦
長 男 (32歳):会社社員    長女(30歳):専業主婦

〈X社の概要〉
資 本 金           :1千万円         発行済株式総数:20万株
株 主 構 成       :Aさん100%         従 業 員 数  :21人
株式の相続税評価額:5,400円/株

ページトップへ戻る

part1 ポイント解説

● 顧客の相談内容・問題点に対する解決策。
1. 納税資金の不足・相続税の軽減対策
 (1) 株式の公開(上場)
 (2) 生命保険・金庫株の活用
 (3) 自社株式評価の引き下げ(配当・利益・純資産の引下げ)
 (4) 非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度の活用

2. 遺産分割・事業承継対策
 (1) 遺言の作成
 (2) 遺留分に関する民法の特例の活用
 (3) 代償分割
 (4) 長男へのX社株式の譲渡

3. 株式の承継に関わる生命保険や金庫株の活用
 (1) 株式の承継に関わる生命保険の活用
  法人を契約者(保険料負担者)とし、特定の役員を被保険者、その役員の遺族を保険金受取人とする
  生命保険を活用
することにより、法人は保険料を給与として全額損金として処理しながら、長男がX社
  株式を承継するための資金(納税資金)を用意することが出来る。
 (2) 株式の承継に関わる金庫株の活用
  企業が自社株式を相続人から買い取ることにより、相続人はその買い取り額を相続税の納税資金とすること
  が出来る。ただし、特定の者から買い受ける場合には株主総会の特別決議が必要であり、取得額は
  分配可能額の範囲内
という制限がある。

4. 非上場株式に係る相続税の納税猶予制度の利用
 非上場株式の相続税の納税猶予制度を活用することで、後継者である長男が先代経営者であるAさんから株式を相続した場合、課税価格の80%に対応する相続税について、長男が死亡するまで納税の猶予を受けることが出来る。
 ただし、経営承継円滑化法に基づき、承継会社が事業承継の計画的な取り組みを行っているかについて、経済産業大臣の確認を受ける必要があり、その他にも適用を受けてから5年間は毎年経済産業大臣への報告書提出義務がある等の厳しい要件がある。

5. 個人年金保険の検討
 個人年金保険は、国民年金や厚生年金といった公的年金とは異なる、文字通り個人の年金。加入者個人が掛け金を積み立て、一定期間後に、一定の利率を加算した毎年年金として受け取るもの。
 運用利率が確定している定額年金のほかに、運用成績次第で年金額の増加が期待できる変額年金タイプもあるが、元本の最低保証の有無について確認が必要
 また、掛け金が生命保険料控除の対象となるものであれば、所得税・住民税の節税効果も期待できる。

●FPと職業倫理
 FPの職業倫理は、顧客利益の優先、守秘義務、説明義務(アカウンタビリティ)、顧客の説明・同意(インフォームド・コンセント)の4つ。
 本問では、FPと顧客の利益相反や顧客の秘密漏洩を懸念する局面ではなく、顧客に対し金融商品取引法等における重要事項の説明義務に関わる段階でもなさそうですので、一番重要なのは、様々な納税資金対策・遺産分割対策の方法やそれを適用した結果をきちんと説明し、顧客の理解度を確認する「インフォームド・コンセント」ということになるかと思います。

  6月5日part2                6月6日part2
ページトップへ戻る

FP対策講座

<FP対策通信講座>

●LECのFP講座(キーワード検索欄で「1級」と検索) ⇒ FP(ファイナンシャル・プランナー)サイトはこちら

●1級FP技能士(学科試験対策)のWEB講座 ⇒ 1級FP技能士資格対策講座(資格対策ドットコム)

●通勤中に音声学習するなら ⇒ FP 通勤講座

●社労士・宅建・中小企業診断士等も受けるなら ⇒ 月額定額サービス【ウケホーダイ】

ページトップへ戻る

Sponsored Link

実施サービス

Sponsored Link

メインメニュー

Sponsored Link

サイト内検索

Sponsored Link

Copyright(C) 1級FP過去問解説 All Rights Reserved.