2010年6月12日実技part2
2010年6月12日実技part2
part2 問題文
●設
例●
三大都市圏にあるM市に住むAさん(50歳)は5代続く農家で、現在は農協に勤務する兼業農家である。農業収入と農協からの給与のほかに、地代収入ならびにアパート収入の不動産所得がある。
Aさんの自宅敷地は準幹線道路に面し、私鉄の最寄駅から徒歩10分で、学校やスーパー等の生活利便施設も徒歩圏内にある。自宅敷地の一部は貸駐車場にしている。自宅建物は古いためできれば建て替えたいが、建築資金の目処が立っているわけではない。
また、Aさんは、自宅敷地に隣接する所有地の宅地bと宅地cを、それぞれBさんとCさんに貸しており、いずれも、借地契約の更新時期が迫っている。
Bさんは、Aさんの父(故人)の代からの借地人で、宅地bの自宅家屋に住んでいるが、80歳と高齢なので、夫婦で有料老人ホームに入ることを考えており、Aさんに借地権の買い取りを打診している。Cさん(45歳)は、Cさんの父(故人)から代替わりし、宅地cの自宅家屋に住んでいる。その家屋は築40年近く経過しており、Cさんは建て替えたいと考えているが、建築費はローンで手当てするとしても、更新料等の借地に関する一時金の手当てについては苦慮している。
Aさんは、できれば早い段階でこの貸宅地の整理もしたいと考えている。
そのような折、Aさんの不動産を管理している地元のF不動産が「この際、等価交換事業でマンションを建てたらどうか。マンションデベロッパーG興産が興味を示しているので紹介する」と提案してきた。Aさんは、マンションに住むことについて支障はなく、F不動産の提案に魅力を感じているが、どのように進めてよいかわからない。
そこでAさんは、ファイナンシャル・プランナーに相談することとした。
〈Aさんの相談事項〉
1.等価交換事業でマンションを建設することには、どのようなメリットがあるか。
2.Bさんは借地権を買い取ってほしいと言っているが、どのように対応すべきか。
3.BさんとCさんは借地権者だが、等価交換事業に直接参加してもらうことは可能なのか。
4.等価交換事業を推進する場合、業者を選択するときの注意事項はなにか。また、事前に何かやっ
ておくことがあるか。
part2 ポイント解説
●顧客の抱える問題と解決策
1. 等価交換事業でマンションを建設するメリット
概要
等価交換とは、土地の所有権者や借地権者がその権利の一部をデベロッパーに譲渡し、代わりにデベロッパーが建てたマンション等の一部を取得するもの。
土地の所有権者や借地権者は、資金負担無しで建物を取得できるメリットがある。
また、複雑な借地関係を整理し、建物の専有部分を複数取得することで、遺産分割対策としてもメリットがある。
2. 借地権を買い取ってほしいBさんへの対応
問題
Bさんは夫婦での有料老人ホームへの入居を考えており、借地権の譲渡収入を老人ホームの入居一時金に充当する予定であれば、等価交換事業への参加は難しい可能性がある。その場合、Aさんは別途借地権の買取資金の手当が必要となる。
対策
Bさんに等価交換事業に参加してもらうことが難しい場合には、Aさんが借地権を買い取るか、底地とともに共同売却を検討する。
3. 借地権者BさんCさんに等価交換事業に直接参加してもらうことの可否
問題
借地権者BさんCさんに等価交換事業に直接参加してもらうことは可能。
対策
等価交換後における権利割合については、不動産鑑定士に鑑定依頼する必要がある。
4. 等価交換事業での業者選択の注意事項と事前にやっておくこと
問題
配分や細部の取り決めについて、デベロッパーと全て合意して事業を進められるとは限らず、意見の対立が起こることもあるため、複数のデベロッパーによる見積もりを取り、コストを抑えながら信頼できるデベロッパーを選定すること。
● FPと関連法規
不動産の買い換え・交換の各種特例に関わる、具体的な税金の質問等に関しては、税理士を紹介すべきです。
また、等価交換等における権利割合については不動産鑑定士、土地の分割については土地家屋調査士、建築可能な建物等については建築士を紹介すべきです。
本問では、顧客は主に土地の有効活用方法(等価交換事業)について不安を感じており、BさんCさんとの交渉次第で、各専門家の協力を仰ぐべきと考えます。
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