問48 2010年9月基礎

問48 問題文と解答・解説

問48 問題文

 Aさんは,自己の所有する宅地(200u)に4階建ての建物を建て,その建物の1〜2階は賃貸し,3階は空室(賃貸募集はしていない),4階はAさん夫婦の居住用として利用していた。

Aさんが平成22年8月に死亡したため,この宅地と建物は妻が相続することになり,1〜2階は引き続き賃貸している。

この場合に「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下,「本特例」という)の適用を受けたときの当該宅地の相続税評価額として,最も適切なものは次のうちどれか。

なお,Aさんの所有する土地は当該宅地のみとし,他の条件は考慮しないこととする。また,本特例の適用を受けるために必要とされるほかの要件等は,すべて満たしているものとする。

2010年9月基礎 問48

・所有者:宅地および建物ともにAさん
  ・路線価(自用地価額):800千円/u
  ・借地権割合:70%
   ・借家権割合:30%

1) 28,640千円
   2) 55,400千円
   3) 79,600千円
   4) 80,400千円

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問48 解答・解説

「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」に関する問題です。
この特例は平成22年改正により、自宅兼賃貸マンションの場合には自宅部分は240uを上限に80%減額、賃貸部分は200uを上限に50%減額、賃貸募集していない空室は減額ゼロとなりました。
改正前は、敷地全てが80%減額対象

まず、敷地200uに4階建てのマンションが建っていますので、1階層当たりの敷地面積は200u÷4=50u です。
よって、自宅・空室・賃貸部分それぞれに対応する敷地面積は、
自宅部分50u・空室部分50u・賃貸部分50u×2となり、それぞれの評価額は、
自宅部分…800千円×50u=40,000千円(自用地評価額)
空室部分…800千円×50u=40,000千円(自用地評価額)
賃貸部分…800千円×50u×2×(1−70%×30%)=63,200千円(貸家建付地評価額

本特例により、自宅部分は80%減額、賃貸部分は50%減額されるため、
自宅部分…40,000千円−40,000千円×80%=8,000千円
賃貸部分…63,200千円−63,200千円×50%=31,600千円
従って、特例適用後の相続税評価額=自宅8,000+賃貸31,600+空室40,000=79,600
よって、正解は3)  79,600千円

なお、この問題では敷地面積が特例適用の上限である200u以下ですので、単純に自宅部分と賃貸部分に分けて減額するだけでしたが、200uを超えると調整計算が必要となります。

つまり、本特例の上限面積は、それぞれ合計して利用できるものではなく、例えば自宅部分の適用上限240uと賃貸部分の適用上限200uの合計480uまで利用可能とはなりません

従って、例えば敷地面積300uの4階建て自宅兼マンション(1〜3階賃貸、4階自宅)の場合、
自宅部分75uを80%減額した後、賃貸部分225uのうち200u上限一杯まで50%減額することは出来ず、調整計算が必要となります。

具体的には、自宅部分の適用枠のうち31.25%(75u÷240u)まで利用しているため、賃貸部分では上限200uのうち、68.75%までしか適用できないということです。
つまり、200u×68.75%=137.5uが減額対象面積となります。

1級FP試験でここまでのレベルの問題が出るかは分かりませんが、FPとして原理の理解だけはしておきたいところです。 

問47                       問49
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