問59 2010年9月応用

問59 問題文と解答・解説

問59 問題文

法人税において,資本金の額または出資金の額が100百万円以下の法人には各種の中小企業に対する特例制度がある。

平成22年度税制改正において,これらに該当する中小企業であっても,資本金の額または出資金の額が500百万円以上の大法人等の100%子法人等である場合には,中小企業向け特例措置の一部が適用されないことになった。

この適用されないことになった特例措置を4つ挙げなさい。

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問59 解答・解説


平成22年度の税制改正で、資本金1億円以下の中小企業でも、資本金5億円以上の大企業の100%子会社には、中小企業向け特例措置の一部(以下5つ)が適用されなくなりました。
1.法人税の軽減税率
2.特定同族会社の特別税率の不適用
3.貸倒引当金の法定繰入率
4.交際費の損金不算入制度における定額控除
5.欠損金の繰戻しによる還付制度

以下、それぞれ簡単に説明します。

1.法人税の軽減税率
  これは問58で出てきた、所得800万円までは税率18%で、それを超える部分は税率30%とする、という特例です。

2.特定同族会社の特別税率の不適用
  「特定同族会社の特別税率」とは、特定同族会社に一定額を超えて内部留保がある場合、通常の法人税のほかに、その限度額を超えた内部留保に対し特別税率による法人税が課される制度です。
留保金課税制度)。
 平成19年度の税制改正で、資本金1億円以下の中小企業は、特定同族会社であってもこの特別税率は不適用(留保金課税なし)とされていました。

3.貸倒引当金の法定繰入率
  これは問57の(2)で出てきた、貸倒引当金を貸倒実績率と法定繰入率のどちらかを選択できる、という特例です。

4.交際費の損金不算入制度における定額控除
  これは問57の(1)で出てきた、中小企業の場合、交際費600万円までは、その90%まで損金算入することができる、という特例です。

5.欠損金の繰戻しによる還付制度
  これは、平成21年2月1日以降終了の事業年度で赤字(欠損金)があれば、過去の黒字(所得)と相殺し、納付した法人税を還付してもらえる、という特例です。

本問題では、この5つの特例措置のうち、3つは前の問題で出てきています。
FP試験では軽減税率や交際費の損金不算入における定額控除は定番問題のため、つい中小企業のための特例措置であることを忘れがちかもしれないので、注意ですね。 

問58                       第4問
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