問30 2011年1月基礎
問30 問題文
平成22年度税制改正において創設されたいわゆるグループ法人税制(完全支配関係がある法人間の税制等)に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。なお,各選択肢において,ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1)
いわゆるグループ法人税制は,完全支配関係がある内国法人(普通法人)については,原則として,強制適用される。
2)
平成22年4月1日以後に開始する事業年度において,資本金500百万円以上の法人に株式の99%を保有されており,完全支配関係のない資本金100百万円以下の子法人(内国法人で普通法人)は,欠損金の繰戻しによる還付制度の適用を受けることができない。
3)
平成22年10月1日以後に,完全支配関係がある法人グループ内の内国法人(普通法人)間で,譲渡損益調整資産(一定の資産等で帳簿価額が10,000千円以上の資産)の移転を行ったことによる譲渡損益は,一定の事由が生じるまでの期間,繰り延べられるが,この譲渡損益調整資産に減価償却資産は含まれない。
4)
平成22年10月1日以後に,完全支配関係がある法人グループ内の内国法人(普通法人)間で行われる現物分配(金銭以外の資産の交付)については,時価で譲渡したものとされ,譲渡益に対して法人税が課される。
問30 解答・解説
グループ法人税制に関する問題です。
簡単に言えば、グループ法人間での資産(帳簿価格1千万円以上)譲渡の損益は、税務上無かったものとして扱われるということです。
また、グループ法人間での寄付金(資金・利益提供等)も、税務上無かったものとして扱われ、損金にも益金にも不算入となりました。
これにより、グループ法人間での資産譲渡や寄付金による利益調整や節税を制限されることになりました(いずれも平成22年10月1日以降の取引に適用)。
1)
は、適切。グループ法人税制は、完全支配関係がある内国法人(普通法人)については、原則強制適用されます。
「完全支配関係」とは、発行済株式や出資の全部を、直接・間接的に保有している関係で、完全子会社・100%子会社などと言われます。
2)
は、不適切。1)で記載した通り、グループ法人税制は完全支配関係にある法人が適用対象ですので、例え支配割合が99%であっても、原則適用対象となりません。
従って、資本金100百万円以下の子法人は、中小企業扱いとなり、法人税の欠損金の繰戻し還付を受けることが出来ます。
3)
は、不適切。グループ法人間での資産(帳簿価格1千万円以上)譲渡の損益は、税務上繰延べられますが、この資産には減価償却資産も含まれます。
4)
は、不適切。グループ法人間での現物分配(金銭以外の資産の交付)の損益も、税務上繰延べられます。
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