問32 2011年1月基礎
問32 問題文
法人とその役員の間の取引における法人税および所得税の取扱いに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
1)
法人がその役員の保有する資産を時価よりも高額で買い入れた場合,法人側では時価と売買価額との差額について,役員に対して給与を支払ったものとして取り扱われ,役員側では時価と売買価額との差額は,給与所得として課税される。
2)
法人がその役員の保有する資産を時価よりも低額で買い入れた場合,法人側では時価が取得価額となり,時価と売買価額の差額について受贈益として取り扱われ,役員側では時価と売買価額との差額は,給与所得として課税される。
3)
法人がその役員の保有する土地を建物の所有を目的として賃借する場合,法人から役員へ権利金や相当の地代の支払がなく,「土地の無償返還に関する届出書」についても提出がないときは,法人側では,原則として借地権の受贈益が認定課税される。
4)
法人がその役員に対して資金の貸付を行う場合で,法人が金融機関から借り入れてその資金を調達したことが明らかなときは,その借入金の利率によりその役員への貸付を行っていれば,法人側では受取利息の認定が行われることはなく,役員に対しても給与所得として課税されない。
問32 解答・解説
法人と役員間の取引における法人税・所得税に関する問題です。
1)
は、適切。法人は役員から、本当はもっと安いはずの資産を高く買い入れたわけです。
このような場合、法人側では時価と売買価額との差額が役員に対して給与を支払ったものとされ、損金不算入となります。役員側では時価と売買価額との差額は、給与所得として課税されます。
2)
は、不適切。法人は役員から、もっと高いはずの資産を安く買い入れたわけです。このような場合、法人側では時価が取得価額となり、時価と売買価額の差額が受贈益として取り扱われます。役員側では、売買価額が時価の2分の1以下の場合、差額がみなし譲渡所得として課税されます。(2分の1以上だと、実際の売買価額で譲渡所得を計算)。
3)
は、適切。法人が役員保有の土地を建物の所有を目的として賃借する場合、法人から役員へ権利金や相当の地代の支払がなく、「土地の無償返還に関する届出書」についても提出がないときは、法人側では原則として借地権の受贈益が認定課税されます。
(権利金の慣習がある地域の場合は、権利金相当額が認定課税されます。)
4)
は、適切。法人が金融機関から資金を借入れ、その借入金を役員に貸し付けた場合、金融機関からの借入利率と役員への貸付利率が同じなら、法人側では受取利息の認定課税がされませんし、役員に対しても給与所得として課税されません。
(なんでこんな面倒なことをするかといえば、社長個人ではお金を借りられないとき、会社名義なら借りられる、ということがあるからなんですね。)
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