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2011年5月28日実技part2

2011年5月28日実技part2

part2 問題文

●設 例●
 三大都市圏に住むAさん(73歳)は、JR線甲駅近くに築40年の自宅(敷地400u、建物150u)と築30年のアパート(敷地400u、建物240u、ワンルーム×12室)を10年以上所有している。妻は数年前に死去し、現在は長男夫婦と自宅で同居している。子供はほかに長女がおり、隣接駅である乙駅近くに夫と暮らしている。Aさんの自宅は老朽化が進み、二世帯向きに作られていないため、現在の住まいに不便を感じている。
 アパートには現在、学生を中心に8室の入居がある。しかし、甲駅徒歩10分にある私立大学が来年3月に都心に移転することが決まっており、来年以降の入居については不安がある。Aさんは、不動産賃貸収入(1室4万円平均)がこれ以上減ると生活が苦しくなるので、なんとか不動産を活用して一定の収入を確保したいと考えている。アパート管理委託先のX不動産に相談したところ、仮に、競争力を維持するためにアパートの水回り等を改修する場合、700万円ほどの費用がかかるとのことであった。
 Aさんは、今後の賃貸事業のリスクや自身の生活資金のこと等を考えると自己資金を負担したくない旨の返事をしたところ、しばらくして、X不動産から、「それなら土地を時間貸駐車場用地として貸さないか。Y駐車場会社が、アパート敷地部分を月額40万円で借りたいと申し出ている。また、他に自己資金を必要としない活用手法もあるので、検討してもよいと思う。たとえば、等価交換方式でアパートと自宅の敷地全体にマンションを建てるという方法もある。店舗・事務所需要はあまり見込めないが、駅に近いのでマンションディベロッパーは興味を示すだろう」という提案があった。
 Aさんは、この提案を踏まえ、不動産をどのように活用するのがよいか、ファイナンシャル・プランナーに相談することにした。

〈Aさんの相談事項〉
1.アパートを解体して土地を駐車場として貸した場合、何か不利なことはないか。
2.自ら資金を出さなくても不動産を活用できる方法として、どのようなものがあるか。
3.保有不動産をどう活用すべきか、あなたがよいと思う方法を教えてほしい。


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part2 ポイント解説

● 顧客の相談内容・問題点に対する解決策。
1. アパートを解体して土地を駐車場として貸した場合のデメリット
 現在はアパートがあるため敷地は貸家建付地として、借地権・借家権・賃貸割合分が控除された評価額となるが、駐車場として貸した場合、駐車場会社が青空駐車場として貸していると自用地評価額となり、駐車場会社の負担で車庫等の構築物を設けていると自用地評価額から土地の賃借権価額を控除した評価額となる。
 いずれにしても、現在よりも相続税評価額は上がってしまうと考えられるため、将来の相続税負担の増大というデメリットがある。
  
2. 自ら資金を出さなくても不動産を活用できる方法
土地信託方式
 土地の権利者が信託銀行に土地を信託し、信託銀行が資金調達から建設・管理・運営まで行なう方法。
 資金負担無しで信託配当金を受け取れるが、土地の名義は契約期間(信託期間)中は信託銀行に移る(信託した土地による収益は、土地の所有権者に対して課税(実質所得者課税の原則))。
等価交換方式
 土地の権利者が、権利の一部または全部をデベロッパーに譲渡し、代わりにデベロッパーが建てたマンション等の一部を取得する方法。
 自己資金や借入金等の資金負担無しで建物を取得でき、買換えや交換で課税の繰り延べを適用できるが、その後の土地・建物の活用等については共有者全員の同意が必要
定期借地権方式
 土地に定期借地権を設定し、他者に土地を貸すことで有効活用する方法。
 資金負担無しで権利を維持できるが、一般に地代収入は他の方式による収益よりも低い。

3. 保有不動産の有効な活用方法
 等価交換方式による賃貸マンション建設が提案可能。
 Aさんはアパートの改修資金の自己負担を避けたいため、等価交換方式によりデベロッパーが賃貸マンションを建設し、各持分に応じたマンションの専有部分を得ることで、Aさんは資金負担無しに二世帯向けの新築住宅を入手できる。
 また、建物の専有部分を複数取得することで、将来の相続発生の際、長男と長女にそれぞれ専有部分を相続させるといったような遺産分割対策としてもメリットがある。
また、当該地域が既成市街地等およびそれに準じる地域であれば、地上3階建て以上で耐火構造の賃貸マンションを建設する場合、立体買い換えの特例の適用を受けることにより、不動産の譲渡益に関する課税を繰り延べることもできる。

4. FPと関連法規
 相続や不動産収入に係る具体的な税金の質問等に関しては、税理士を紹介すべきです。
また、媒介や契約代理等の宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、不動産業者を紹介すべきです。
 本問では、Y社やマンションディベロッパーとの不動産取引と、それに伴う税負担が大きな焦点であり、また顧客は既にX不動産から具体的な提案を受けていることから、今後の検討を行う際には、不動産業者・税理士の協力を仰ぐべきと考えます。

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