問31 2012年1月基礎
問31 問題文
法人(同族会社等を除く)とその役員の間の取引における法人税および所得税の原則的な取扱いに関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
1) 役員が所有していた資産を適正な時価よりも高い価額で法人に譲渡した場合は,役員側では譲渡対価の額と取得費等の価額との差額部分が譲渡所得となる。
2) 役員が所有していた資産を適正な時価よりも低い価額で法人に譲渡した場合は,譲渡価額が時価の2分の1以上であっても,役員側では時価で譲渡があったものとされ,時価と取得費等の価額との差額部分が譲渡所得となる。
3) 法人が所有していた資産を適正な時価よりも高い価額で役員に譲渡した場合は,法人側では時価で譲渡したものとされ,時価を超える差額については,法人側の受贈益として益金算入となる。
4) 法人が所有していた資産を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合は,法人側では時価で譲渡したものとされ,その時価との差額については,役員に対する給与となり,損金算入となる。
問31 解答・解説
法人と役員間の取引における法人税・所得税に関する問題です。
1) は、不適切。法人は役員から、本当はもっと安いはずの資産を高く買い入れたわけです。
このような場合、法人側では時価と売買価額との差額が役員に対して給与を支払ったものとされ、損金不算入となります。役員側では時価と売買価額との差額は、給与所得として課税されます。
2) は、不適切。法人は役員から、もっと高いはずの資産を安く買い入れたわけです。
このような場合、法人側では時価が取得価額となり、時価と売買価額の差額が受贈益として取り扱われます。役員側では、売買価額が時価の2分の1以上の場合、実際の売買価額で譲渡所得が計算されます。(2分の1未満だと、差額がみなし譲渡所得として課税)。
3) は、適切。法人は役員に、もっと安いはずの資産を高く売ったわけです。このような場合、法人側では時価で譲渡したものとされ、時価と売買価額の差額が受贈益として益金算入されます。役員側では、差額が法人への寄付金として取り扱われます(寄附金控除の対象外)。
4) は、不適切。法人は役員に、本当はもっと高いはずの資産を格安で売っちゃったわけです。
このような場合、法人側では時価で譲渡したものとされ、時価と売買価額の差額が役員給与として損金不算入となります。役員側では時価と売買価額との差額は、給与所得として課税されます。
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