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2012年6月9日実技part1

2012年6月9日実技part1

part1 問題文

●設 例●
 Aさん(55歳)は、都心で不動産賃貸業を営むX社の代表取締役社長である。
 Aさんの親族関係は、下記のとおりである。X社の先代社長である父親Pさん(80歳)は、代表権をAさんに譲り、取締役会長(過去に退職金の支給はしていない)として会社経営には携わっているが、業務運営等はAさんに任せており、弟Bさんもそのことに異論はない。
 X社の所有不動産については、Aさんが3代目ということもあり建物は老朽化が進んでいるが、きめ細かいメンテナンスを行っているため、家賃は下落傾向にあるものの入居率は高い。また、ほぼ満車状態の駐車場も3カ所あり、不動産経営としては十分成り立っている。
 Aさんは、新たな投資を行い事業収入を増やしたい気持ちがある一方で、人口減少等、経営環境の負の要素を鑑みた場合の今後の不動産賃貸事業に対する不安から、当面は事業を継続するにしても徐々に事業を縮小すべきかもしれないという考えもあり、今後の事業の方向性について悩んでいる。仮に事業縮小の方向に進める場合は、X社所有不動産を個別に売却し将来的に会社を清算することや会社そのものを売却することを視野に入れつつ、そのうえで親族一同に上手く財産を分配したいと思っているが、X社株式の承継やPさんに係る相続との兼ね合いから、今後の事業の方向性についてアドバイスを受けたいと考えている。
 X社の株主構成は下記のとおりである。Aさんは、どのような持株構成にするのが最良で、Pさん所有株式をどのような方法で移転すべきかについてのアドバイスも望んでいる。
 Pさんの財産は下記のとおりであり、仮に現時点でPさんに相続が発生した場合の相続税の総額は270百万円(小規模宅地等の評価減適用前)であるとの試算結果が出ている。なお、Pさんは1人住まいだが、近所にAさんが住んでおり、生活に不自由はない。
 またAさんは、X社保有の投資有価証券およびPさんからX社への貸付金を含む金融資産の運用に関しても、アドバイスを受けたいと思っている。

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part1 ポイント解説

● 顧客の相談内容・問題点に対する解決策。
1. 納税資金の不足・相続税の軽減対策
 (1) 生命保険・金庫株の活用
 (2) 役員退職金の支給
 (3) 自社株式評価の引き下げ(配当・利益・純資産の引下げ)
 (4) 非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度の活用
 (5) 保有投資信託の売却・解約
 (6) X社への貸付金の債権放棄・株式転換

2. 遺産分割・事業承継対策
 (1) 遺言の作成
 (2) 将来的な会社の清算・売却
 (3) 遺留分に関する民法の特例の活用

3. 今後の事業方向性へのアドバイス
X社の経営状況は良好といえるが、人口減等により今後の不動産関連の経営環境は厳しいものになる可能性は十分にある。
X社の場合、従業員数は2名と非常に少なく、またAさんの長男も海外勤務で帰国の可能性は低く、Aさん以降の親族への事業承継は難しいと思われる。
以上の点から、Aさんに強い事業拡大意欲がないのであれば、当面の間は事業を継続しつつも、事業縮小に向けて(将来的な会社の清算・売却等も視野に入れつつ)検討を始めていくことを提案する。

4. 今後の株主構成と株式の移転方法のアドバイス
まず、今後の事業運営をスムーズに進めるために、株主構成は出来る限りAさんに集中させることが望ましい。具体的には、非上場株式の贈与税の納税猶予制度を活用することで、後継者である長男が先代経営者であるAさんから株式を生前贈与された場合、課税価格の100%に対応する贈与税について、Aさんが死亡するまで納税の猶予を受けることが出来る。
ただし、後継者が贈与前から所有していた分を含め、発行済議決権株式等の総数の3分の2までが適用対象であるため、対象外となる分はAさんが自己資金で買い取るか、X社が金庫株として買い取り、対価を納税資金とすることもできる。
なお、特例で猶予された贈与税は、贈与したPさんが死亡すると相続税の納税猶予特例を受けることにより、納税額の80%までさらに猶予を受けることが出来る。
ただし、将来会社を清算・売却する場合、猶予された相続税は原則免除されない ため、一定の納税資金は確保しておくことが必要。

5. X社保有の投資有価証券と個人金融資産(X社への貸付金含む)の運用アドバイス
投資有価証券とは、会計上固定資産に分類される「投資その他の資産」の仕訳のひとつであり、取引先との持ち合い株式や私募債・国債等が該当するものであり、投資目的のために長期間所有する有価証券。よって、基本的には積極的な運用を目指すものではないはずであるため、当面そのまま保持しておくことを提案する。
また、個人金融資産のうちX社への貸付金は、同族会社への貸付金であっても相続税の課税対象となるため、債権放棄するか、債権を株式に転換(増資)することで、相続税の課税対象から外すことが出来る。なお、債権放棄の場合、貸付金は消滅し、X社には債務免除益に応じた法人税が課され、債権を株式に転換すると、株式が相続税の課税対象となるため、総合的な判断が必要となる。

6. 遺産分割方法の提案
会社経営上は、株式をAさんに集中しておくことが望ましいが、将来Pさんの相続発生時に弟Bさんの遺留分を侵害してしまうことによる遺留分減殺請求を回避するため、PさんがAさんに贈与した]社の株式について、遺留分算定基礎財産価額に算入しない「除外合意」や算入額を固定する「固定合意」を取り付けておく。
また、相続財産の分割割合についても、将来X社を清算した場合に保有株式数に応じて配分されるX社の残余財産も考慮 したうえで検討し、Pさんに遺言を作成しておいてもらうことを提案する。

 FPと職業倫理
FPの職業倫理は、顧客利益の優先、守秘義務、説明義務(アカウンタビリティ)、顧客の説明・同意(インフォームド・コンセント)の4つ。
本問では、FPと顧客の利益相反や顧客の秘密漏洩を懸念する局面ではなく、顧客に対し金融商品取引法等における重要事項の説明義務に関わる段階でもなさそうですので、一番重要なのは、様々な納税資金対策・遺産分割対策の方法やそれを適用した結果をきちんと説明し、顧客の理解度を確認する「インフォームド・コンセント」 ということになるかと思います。

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