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2013年6月9日実技part2

2013年6月9日実技part2

part2 問題文

●設 例●
Aさん(50歳)は、母親のBさん(75歳)が最近病気がちなこともあり、万一の場合にどのくらい相続税がかかるのか不安を感じている。Bさんは現在、大都市近郊のJR線M駅から徒歩5分の一戸建ての自宅に一人で暮らしており、また、自宅近くの甲借地上に建つ乙アパート(木造2階建て、築37年、延床面積240u、2DKタイプ6戸)も所有している。甲借地の内容は、借地権者Bさん、借地面積240u、旧法による非堅固建物所有の借地権、契約残存期間3年、建物の増改築には土地所有者の承諾が必要、となっている。乙アパートは老朽化が進んできたことから競争力が劣り、現在2室のみの入居となっている。一人息子であるAさんがアパート管理をしているが、老朽化によるトラブルもあり、建替えを検討しているところである。
Aさんは、3カ月前に地元で工務店と不動産業を営んでいるW建設に相談したところ、乙アパートを賃貸マンションに建て替えないかとの提案を受けた。賃貸マンションは鉄骨造4階建て、1階から4階まで各階専有面積160u(延床面積約700u)で、1Kタイプの住居・計24戸というプランである。W建設提案の建築費は約1億4,000万円であり、事業提案のキャッシュフロー表では毎期の利益により約9年で建築関係投資額が回収できるとなっている。
AさんはW建設の提案を基にY銀行に融資の相談をしたところ、Aさんが保証人となることを条件にBさんに1億円まで融資できるとの回答であった。融資で足りない資金はAさんとBさんの金融資産で何とか賄うことができるが、Bさん自身は金融資産を建築費に使うことに難色を示している。
甲借地の土地所有者(底地権者)のCさんは近隣の大きな地主でW建設は親しく、事前に本プランでの建替え相談をしたところ、建替えの承諾はもらえるが相応の承諾料は要求されるようである。
Aさんは、ファイナンシャル・プランナーに相談することにした。

〈Aさんの相談事項〉
1.建替えにあたり、土地所有者のどのような承諾が必要となるか。
2.乙アパートを母親名義で建て替えた場合、相続税においてどのような効果があるか。
3.W建設からの提案についてアドバイスがほしい。

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part2 ポイント解説

● 顧客の相談内容・問題点に対する解決策。
1. 建替えにあたって土地所有者から必要な承諾
木造アパートを鉄筋や鉄骨マンションに建て替えるといったように、旧借地法による非堅固建物を堅固建物に建て替える場合、借地条件の変更として、地主の承諾が必要となる。一般に、承諾料は更地価格の10%程度で、仮に地主が承諾しない場合でも、借地人が裁判所に条件変更(木造アパート所有から、鉄骨マンション所有)許可の申立てをすると、裁判所が承諾料の決定と条件変更を許可する。
なお、旧借地法による借地権の場合、建物の取り壊し・建替えに対して地主が異議を述べなければ、借地権の存続期間は延長される(延長期間:建物が消滅した日から堅固建物30年・非堅固建物20年)。しかし、地主が異議を述べた場合、存続期間は延長されず、期間満了時に更新手続きが必要となる。
更新手続きの場合、地主が正当事由(土地使用を必要とする事情)に基づいて異議を述べた場合には、更新されない(建物は時価で買取請求可能)
本問の場合、土地所有者Cさんには相応の承諾料を支払うことで、建替えの承諾を得られる見込みだが、借地権の存続期間の延長についても承諾を得ておくことが必要となる。

2. 母親名義でアパートを建替えた場合の相続税
被相続人の借入金や未払いの所得税・固定資産税等、相続開始時に納期限が到来していないものは、債務控除として相続財産から控除可能であるため、母親名義の融資1億円は、相続時には相続財産から控除され、相続税負担が軽減される。
また、借地権も小規模宅地の特例の適用対象であるため、相続後もAさんが貸付事業を継続することで、特例適用により200uを上限に50%の評価減 となる。

3. W建設からの提案に対するアドバイス
◆土地所有者からの存続期間延長の承諾
現在の借地権の残存期間3年に対し、建替えによる投資回収期間は約9年であるため、投資回収を確実にするためには存続期間の延長が必要となる。
Cさんへの承諾料支払いの際は、その点も含めて承諾を得ることが重要。

◆Bさんの建築費負担軽減策
Bさんの建築費負担を軽減する案として、甲借地の借地権と底地を交換した上で、土地所有者(底地権者)Cさんも資金負担し、賃貸マンションの共有持分を配分することを提案する。
借地人側には資金負担の軽減のほか、共有持分であれば自由に譲渡することが可能となる(借地権の譲渡・転貸は地主の承諾が必要)。
地主側も、借地関係の解消により、土地の収益性向上や権利関係の整理といったメリットが発生する。
※地主Cさんには資金負担が発生するが、近隣の大地主であることから、それなりの金融資産や融資余力があるものと考えられる。

 FPと関連法規
不動産取引に係る具体的な税金の質問等に関しては、税理士を紹介すべきです。
また、等価交換等における権利割合については不動産鑑定士、土地活用等の宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、不動産業者やデベロッパーを紹介すべきです。
本問では、既にW建設から提案を受けており、借地権と底地の交換を検討する際は不動産鑑定士、具体的な相続税の負担額等に関しては税理士の協力を仰ぐべきと考えます。

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