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2013年6月15日実技part1

2013年6月15日実技part1

part1 問題文

●設 例●
Aさん(62歳)は、服飾雑貨の企画・製造・販売を営むX社の創業者であり、現在も代表取締役である。35歳のときに勤務していた大手百貨店を辞めてX社を起業し、今年で27期目を迎える。企画した男性向けのバックブランドが人気を博し、底堅いファンに支えられ、景気の良し悪しの影響は少なからずあるものの、会社は総じて順調に成長を続けてきた。国内に子会社(すべてX社が100%支配)を保有しているが、余剰資金が溜まっていることもあり、子会社の株価も相当高くなっている。
Aさんには専業主婦の妻(59歳)と2人の子がいる。長男(32歳)は大学卒業後に商社に就職して8年勤務した後、2年前からX社に入り、現在は営業部のグループリーダーとして活躍している。まだ役員には就任していないが、経営会議には参加させており、今後は商社での経験を生かして海外進出事業の責任者にしようと考えている。長男は昨年結婚したが、子はまだいない。長女(29歳)は大学卒業後に証券会社に就職し、数年前に職場結婚をした。子供ができたことをきっかけに2年前に退職し、現在は1歳になる子の育児に専念しているが、夫の勤務先の経営が悪化しており、将来に不安を感じている。
AさんはX社が都心に保有する社宅に長年住んでいるが、建物は老朽化が進み、子供たちも独立したこともあり、妻と2人で暮らすにはいささか不便を感じている。
Aさんは昨年体調を崩して1週間ほど入院した。現在は回復しているものの、自分が死亡した場合の会社の経営、妻の生活、相続税の支払いなど、漠然とした不安を抱くようになっており、FPであるあなたのアドバイスを受けたいと思っている。
Aさんの財産の概要やX社の概況等は、以下のとおりである。
なお、現時点における相続税は1次2次合計で約389百万円と見込まれる。

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part1 ポイント解説

● 顧客の相談内容・問題点に対する解決策。
1. 納税資金の不足・相続税の軽減対策
(1) 生命保険・金庫株の活用
(2) 役員退職金の支給
(3) 自社株式評価の引き下げ(配当・利益・純資産の引下げ)
(4) 非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度の活用
(5) 株式保有特定会社としての評価見直し
(6) X社への貸付金の回収
(7) 小規模宅地の特例

2. 遺産分割対策・事業承継対策
(1) 遺言の作成
(2) 遺留分に関する民法の特例の活用
(3) 相続時精算課税制度による生前贈与の活用

3. 株式保有特定会社としての評価見直し詳細
会社の総資産価額に占める株式保有割合(相続税評価額ベース)が一定割合以上の場合、株式保有特定会社とされ、原則として純資産価額方式により評価される(中会社の場合は50%以上)。純資産価額方式の場合、類似業種比準方式よりも評価額が高くなりがちなため、相続税負担も大きくなる。
株式以外の資産保有額を増やすことや、子会社との合併・子会社からの事業譲受・子会社からの配当受取等により、株式保有割合が低下すれば、株式保有特定会社としての評価から外れることが出来る。
本問の場合、子会社株式の保有割合が総資産の50%を超えているため、株式保有特定会社として評価されている。余剰資金が溜まっている子会社から配当を受けることで、株式保有特定会社としての評価から外れれば、X社株式の評価額の減額に効果 があると思われる。

4. 小規模宅地の特例の活用方法
本問の場合、社宅が会社名義のため、このままでは小規模宅地の特例が適用できないが、例えば役員退職金としてAさんに現物支給すること、または融資を得て自宅・本社を買い取ること等で、特例適用 を狙うことが可能。

5. 円満な財産分割のアドバイス
Aさんの相続財産の大半は、X社株式のため、長男への事業承継を進めると、遺言を作成したとしても、長女の遺留分を侵害してしまい、将来の紛争のもととなる可能性がある。
長女は将来に不安を感じていることから、現在の社宅を一次相続では妻に相続させるものの、二次相続では長女に相続させることや、X社への貸付金を回収し、多くの金融資産を長女に相続させることで、遺留分相当額を相続させることにより、長女による遺留分減殺請求権の行使を抑制 することを提案する。


 FPと職業倫理
FPの職業倫理は、顧客利益の優先、守秘義務、説明義務(アカウンタビリティ)、顧客の説明・同意(インフォームド・コンセント)の4つ。
本問では、FPと顧客の利益相反や顧客の秘密漏洩を懸念する局面ではなく、顧客に対し金融商品取引法等における重要事項の説明義務に関わる段階でもなさそうですので、一番重要なのは、様々な納税資金対策・遺産分割対策の方法やそれを適用した結果をきちんと説明し、顧客の理解度を確認する「インフォームド・コンセント」 ということになるかと思います。

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