問62 2013年9月応用
問62 問題文
Aさんが〈Aさんの交換条件〉に基づき固定資産の交換の特例の適用を受けた場合の譲渡所得金額を求めなさい。計算過程を示し,答は千円単位とすること。なお,譲渡所得金額の計算上,選択すべき複数の方法がある場合は,Aさんにとって有利な方法を選択すること。
問62 解答・解説
固定資産の交換特例による譲渡所得に関する問題です。
固定資産の交換の特例は、交換する譲渡資産と取得資産の差額が、高い方の資産の時価の20%以内であることが必要です。
本問の場合、借地権3,000万円と底地2,400万円の交換ですから、差額=3,000万円−2,400万円=600万円。
よって、高い方3,000万円×20%=600万円≧差額600万円 ですので、特例適用が可能です。
また、固定資産の交換の特例は、土地や建物などの固定資産を同じ種類の固定資産と交換したときは、譲渡がなかったものとする特例ですから、Aさんの譲渡資産である借地権3,000万円と、交換取得資産である底地2,400万円については譲渡がなかったものとされ、課税されません。
しかし、特例を適用しても、交換に伴って交付された交換差金は、譲渡所得として課税対象となります。
本問の場合、Aさんは借地権と底地との差額の600万円を、交換差金として受け取っていますから、これに対して課税されるわけです。
固定資産の交換特例を適用した場合、受け取った交換差金から、交換差金分に対応する取得費・譲渡費用を差し引いた額が譲渡所得となります。
問題文では「交換譲渡資産の取得費:不明」となっていますが、取得費が不明な場合には、概算取得費として譲渡価額の5%とすることができます。
概算取得費=3,000万円×5%=150万円
また、譲渡費用のうち媒介手数料等のように譲渡と取得の費用区分が不明なものは、2分の1ずつを譲渡と取得のそれぞれに費用として配分します。
譲渡費用=100万円×1/2=50万円
これらの費用は、今回の交換全体(交換取得資産+交換差金)に関わる費用ですので、交換差金分の割合だけを算出することが必要です。
交換差金分の割合=交換差金/(交換取得資産の時価+交換差金)
=600万円/(2,400万円+600万円)=1/5
よって、
交換差金の譲渡所得=600万円−(150万円+50万円)×1/5
=600万円−200万円×1/5
=600万円−40万円=560万円
以上により正解は、5,600(千円)
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